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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ
PHASE-55
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――――。
「本日の宴は私が取り仕切るわ」
館がある浜辺ではシズクさんの配下だけでなく、冒険者の方々も集まっていた。
――――皆さんを復活させるのには時間を要したよ……。
ヴィン海域で僕とシズクさん以外、皆々様が故人になっちゃったからね。
後方待機の裏方であるロッケンジーさん達もカチコチだったから……。本当に、どれだけ広範囲を一瞬で氷の世界にしたんだろうね……。
「勝者に対するもてなしを頼むぜ!」
「美人を横に置いてくれ! 氷竜王に酌でもしてもらうか」
やめなさい! 調子にのって発言をするんじゃないよ。シズクさんに酌しろ発言で、途端に氷竜王軍サイドに緊張が走ったよ。
戦いが始まるから。
現にシズクさんがイラッとしてるから。僕の横で手に薄氷を纏ってるから。
いいかい? 皆仲良く氷漬けになった事を忘れてはいけないよ。
短気直上ばかりがそろって宴なんてしたら、即、刃傷沙汰だな。
毎回、死ぬまで戦ってるんだから、ここくらいは大人しくしてもらいたいね。
――。
「どうぞ!」
「どうも……」
ここにきて慣れない事ばかりだけど、半漁人さんが運んでくれる魚料理ほど慣れないものはないよ。
いっつも快活良く運んでくれるけど、僕はこれをどういう思いで食せばいいのかと考えさせられる。
編み目の焼きが入ったマグロ。食欲をそそる香草のよい匂いだ。
更に続くスモークサーモンのカルパッチョにシュリンプタコス。
スモーガスボード形式だから、自分で手にしたいけど、ありがたい事に運んで来てくれる。けども、手当たり次第って感じがね……。各々の善意はありがたいけども……。
メインの次に前菜が運ばれる……。おかげで食事の進み方がバラバラだ。
マグロの香草焼きを食べるにしても、カルパッチョの後が良かったよ。
――――美味しいからいいけど。
「ああぁぁぁぁぁぁぁっ!」
食べる度に、毎度、叫ぶのやめてもらえませんかね……。
半漁人さんの冗談は本気で笑えない。どや顔を向けてくるけど、僕の貧困なボキャブラリーでは返す事も出来ない……。
しっかりとした下処理に味付け。冒険者サイドでは味わえないもの。
さっきまで勝者面していたけど、美味に舌鼓を打って、一心不乱に口に運んでいる。
この方々は年中満腹にしとけば、戦いなんてしないんじゃなかろうか?
「どうですか?」
「本日も最高の味です」
「どうぞ」
「ありがとうございます」
食事だけがここでの幸せだからね。
シズクさん自ら、僕のグラスにシトラス系のエードを注いでくれる。
「加減は?」
「氷が張らない程度に」
便利だ。シズクさんの能力。
注がれるグラスから冷気が立ち上る。エードを僕が求める冷たさまでシズクさんが調整してくれる。
手に伝わる冷たさ――――。
――――グビグビと飲めば――――。
キンキンに冷えてやがる!
オレンジエードなんかの甘みの強さより、スッキリとした味わいのエード。
マグロの香草焼きでこってりした口の中をリセットしてくれる。この冷たさがやはりいい!
血生臭いことさえなければ、シズクさんって本当に最高の美人様なのにな~。
おっぱいがちっぱいのが悔やまれるけど。
でも、船で僕を守って抱きしめてもらった時の感触はよかった――――。
「どうしました?」
「いえ、別に」
蘇る感触を思い出してたら、美人の顔が急接近。紺碧と深紅の瞳に見つめられる。
美しさに対処出来ない僕は、自分でも情けなくなるくらいに、弓なりに背を反らせてしまった。
「模擬海戦はいかがでしたか?」
「迫力ある海戦になるのかと思ったら、接舷攻撃がメインになりましたね」
「コンクエストとあまり変化がありませんでしたね」
「遠距離からの撃ち合いが見られると期待してましたから。そこは残念ですね」
ガルイルさんが一番それらしい戦い方だったな~。最後は蚊帳の外になってたけど。
残念ってのは正直、社交辞令。
そもそも戦闘に興味なんて持ってないし。
「本日の宴は私が取り仕切るわ」
館がある浜辺ではシズクさんの配下だけでなく、冒険者の方々も集まっていた。
――――皆さんを復活させるのには時間を要したよ……。
ヴィン海域で僕とシズクさん以外、皆々様が故人になっちゃったからね。
後方待機の裏方であるロッケンジーさん達もカチコチだったから……。本当に、どれだけ広範囲を一瞬で氷の世界にしたんだろうね……。
「勝者に対するもてなしを頼むぜ!」
「美人を横に置いてくれ! 氷竜王に酌でもしてもらうか」
やめなさい! 調子にのって発言をするんじゃないよ。シズクさんに酌しろ発言で、途端に氷竜王軍サイドに緊張が走ったよ。
戦いが始まるから。
現にシズクさんがイラッとしてるから。僕の横で手に薄氷を纏ってるから。
いいかい? 皆仲良く氷漬けになった事を忘れてはいけないよ。
短気直上ばかりがそろって宴なんてしたら、即、刃傷沙汰だな。
毎回、死ぬまで戦ってるんだから、ここくらいは大人しくしてもらいたいね。
――。
「どうぞ!」
「どうも……」
ここにきて慣れない事ばかりだけど、半漁人さんが運んでくれる魚料理ほど慣れないものはないよ。
いっつも快活良く運んでくれるけど、僕はこれをどういう思いで食せばいいのかと考えさせられる。
編み目の焼きが入ったマグロ。食欲をそそる香草のよい匂いだ。
更に続くスモークサーモンのカルパッチョにシュリンプタコス。
スモーガスボード形式だから、自分で手にしたいけど、ありがたい事に運んで来てくれる。けども、手当たり次第って感じがね……。各々の善意はありがたいけども……。
メインの次に前菜が運ばれる……。おかげで食事の進み方がバラバラだ。
マグロの香草焼きを食べるにしても、カルパッチョの後が良かったよ。
――――美味しいからいいけど。
「ああぁぁぁぁぁぁぁっ!」
食べる度に、毎度、叫ぶのやめてもらえませんかね……。
半漁人さんの冗談は本気で笑えない。どや顔を向けてくるけど、僕の貧困なボキャブラリーでは返す事も出来ない……。
しっかりとした下処理に味付け。冒険者サイドでは味わえないもの。
さっきまで勝者面していたけど、美味に舌鼓を打って、一心不乱に口に運んでいる。
この方々は年中満腹にしとけば、戦いなんてしないんじゃなかろうか?
「どうですか?」
「本日も最高の味です」
「どうぞ」
「ありがとうございます」
食事だけがここでの幸せだからね。
シズクさん自ら、僕のグラスにシトラス系のエードを注いでくれる。
「加減は?」
「氷が張らない程度に」
便利だ。シズクさんの能力。
注がれるグラスから冷気が立ち上る。エードを僕が求める冷たさまでシズクさんが調整してくれる。
手に伝わる冷たさ――――。
――――グビグビと飲めば――――。
キンキンに冷えてやがる!
オレンジエードなんかの甘みの強さより、スッキリとした味わいのエード。
マグロの香草焼きでこってりした口の中をリセットしてくれる。この冷たさがやはりいい!
血生臭いことさえなければ、シズクさんって本当に最高の美人様なのにな~。
おっぱいがちっぱいのが悔やまれるけど。
でも、船で僕を守って抱きしめてもらった時の感触はよかった――――。
「どうしました?」
「いえ、別に」
蘇る感触を思い出してたら、美人の顔が急接近。紺碧と深紅の瞳に見つめられる。
美しさに対処出来ない僕は、自分でも情けなくなるくらいに、弓なりに背を反らせてしまった。
「模擬海戦はいかがでしたか?」
「迫力ある海戦になるのかと思ったら、接舷攻撃がメインになりましたね」
「コンクエストとあまり変化がありませんでしたね」
「遠距離からの撃ち合いが見られると期待してましたから。そこは残念ですね」
ガルイルさんが一番それらしい戦い方だったな~。最後は蚊帳の外になってたけど。
残念ってのは正直、社交辞令。
そもそも戦闘に興味なんて持ってないし。
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