拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです！

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帰任からの休日

PHASE-01

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　　　＊　　　　＊　

「あ～何だろう……。寝たのに疲れがとれていない気がする。みょうに落ち着かなかったしな～」
　独白しつつストレッチ。
　久しぶりの自分のベッドだから、体が感触になれなかったのかな？

「ボーイ、おはよう。すっきりする為に、冷たい水でもどうだい」

「いただこうかな」

「おう、だがまず歯を磨け。いいか、寝起きの口内は細菌だらけだ。そのまま水を飲めば体内に細菌が入る。体に悪影響をおよぼす事もある。そして、歯を磨く前に入念に水で口内をすすいでから、ブラッシングだ。これによって、細菌除去が更に効果アップするんだ」
　はい……。喋々と知識ありがとう。
　
　――――歯も磨いて、顔も洗ってスッキリだよ。
　
　――じゃあ、早速、冷たい水でも――――、あれ？　うちにあったかな？　二ヶ月ちょっと離れてたし、ないと思うよ。
　冷蔵保存用の氷結系の魔石も機能してないと思うんだけど……。僕が寝ている間に、ケーシーさんのとこで貰ってきてくれたのかな？

「ボーイ。グラスだ」

「ありがとう。――――？　入ってないよ」

「待っていろ」
　ふわふわと飛翔しながら、僕のために持ってきてくれたグラスに口を近づけると――――、
「オロロロロロロロロロロロロ――――」
　――……なんという事でしょう……。
　冷たい水って、シュパーブ君の口から出て来るものなんだね……。
　確かに親であるドレッドノートさんも、小島を吹き飛ばす水を口から出してたけど、吐瀉物のような感じで出されてもさ……。
　しかも歯を磨く前に、口には細菌がうんたらかんたら言っておいての後には、ハードル高いってもんだよ。

「ほれ」
　やめて、グラスを僕の頬に当てないで……。
　確かに氷でも入っているのかと思えるくらいにひんやりとしたものだけど……。今は欲していないな～。
　もしここが、熱砂の砂漠地帯ならいただいてただろうけど、水道設備が整っている王都では、御免こうむる。

「遠慮するな。飲めボーイ」

「ありがとう。でも、今はいいかな～」

「そうか？」
　そう言うと、シュパーブ君は自分で飲んだ。――――戻したって方が正しい表現なのかな？

「冷たくて美味いぞ。本当にいいのか？」
　No thanks.
　
　――――。

「いらっしゃい。どうする？」
「軽いのでお願いします」
「俺ちゃんは分厚いベーコンをくれい。表面を炙る程度で頼む」
「お、おう……」
　昨晩も夕餉をいただいたけど、幼龍ドラゴネットの愛くるしさからかけ離れた声に、驚いてた。
　今朝もやはりケーシーさんは、シュパーブ君の声に戸惑いを隠せない。
　
　オーダーをする方も、受ける方も低音の渋い、いい声である。

「レインちゃんは？」

「…………」
　どうやら、あの子は未だにおじきと呼ばれる方の所にこっそりと行っているようだな。危険だな～。大丈夫かな。
　ケーシーさんが行動に出ないから大丈夫なんだろうけど。あまり危険ところには行ってほしくないね。

「休日はどうすごす？」

「久しぶりの王都だからね。街中をぶらついてみようかな」
　ヴァイツェンブロートにトマトスープでさっぱりといただく。

「う～ん、美味い。炙り加減が絶にして妙」
　テーブルの上に直接すわって、自分の顔ほどあるベーコンを、子供用のナイフとフォークを手に持って丁寧に切り分けて食べてる。
　前脚とか手とかの定義が面倒くさいので、手に統一してあげる。
　
　行儀がいいな。お父さんは……、思い出すと気持ち悪くなってくる……。バロニアさんをパクリだったから……。
　
　食べる仕草はとても愛らしいけど。声がそれを台無しにしている。

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