拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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PHASE-12

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「ゲイアード・マヒューズって名乗ってるんだっけ? こうやって近くで拝めるなんて。常日頃の行いがいい証拠だね♪」
「ケルプト山の森の中で、不快な視線を私に向けていたようだが、近づけない臆病者なのは相変わらず。陰湿な性格も変わらないな」
「そんなことを言われると怒ってしまうよ」
「仮面をしているから、感情変化の表情など分からないさ。分かりたくもないが」
 ゲイアードさん、ヘイターの事を知ってるのか。
 何となくだけど、関係性は理解できるかな。髪と瞳の色が一緒だから。

「ヘイター。彼との関係は?」
 僕に代わって、局長が質問している。

「言ってませんでしたね。ただの兄と弟の関係ですよ。ねえ、兄さん」

「抑揚が特徴的すぎて気分を害してしまう語り口だ」

「味があるって言うんだよ。お兄様」
 ふざけているってのは理解できる。ゲイアードさんに対する一人称に統一性がないし。
 余裕があるのは実力者の証拠。素人は詮索するよりも――――、回復弾を装填してから、脱力感から脱しきれないシュパーブ君に撃つことが大事だ。
 ――――淡く青い光に包まれるシュパーブ君。あれ? レインちゃんの時と輝きが違う。

「――――便利だな。助かったぞ。ボーイ」
 まあ、シュパーブ君が復活したからいいとしよう。
 僕でも後方支援くらいなら出来るかな。
 ゲイアードさんにシュパーブ君。向こうはヘイターとアルコン。素人は僕と局長。
 と、思っても、局長の底が知れないから、油断は出来ないけども。

「ヘルムさんは下がっていいですよ」
 ヘイターが局長を下がらせた。となると、僕同様に、ずぶの素人か。

「なんだ、怯えて逃げるんじゃないのか?」
 もちろん逃げるわけがないと、ゲイアードさんの前で構えるヘイター。

「愚かな選択だ」

「そうかな~」

「ああ、すでに詰んでいることに気付いていないからな」
 ゲイアードさん、すでに何かを仕掛けた後なんだろうか?

「おにいたま、何のことかわけが――――あれ? なんで、おれっちのお腹からナイフが突き出してんの……」

「ヘイター!? なんだ!」
 急な状況に、アルコンが頬から首筋に汗を流し、ヘイターの状況に戸惑っている。
 
 ナイフで刺されたヘイターは、
「痛いよ……、当方のお腹がいたいよ~」
 泣き声のまざった弱々しい声を出しつつ苦しんでいる。

「お前たちは怒らせてはならない人を怒らせた。虎の尾を踏みながら、逆鱗に触れたんだ」
 眼鏡を整えながら口を開く。
 突然の事に、硬直して立っている局長が目を向けるのは、ヘイターの背後に立つ人影。
 え、あれ? 黒茶のオールバックで緩めのパーマは見たことあるぞ。

「ケーシーさん!?」

「またせたな、ピート。そしてすまん。反対側を闇雲に探していた俺の馬鹿っぷりを許してくれ」
 なにあれ怖い。いつものケーシーさんじゃない。
 気配を感じないんですけど。
 いくら素人の僕でも、近距離なら気配は感じ取れる。眼界に入っているなら尚更だ。
 でも、ケーシーさんからはそれを感じ取れない。
 目の前にいるし、見えてるし、声だって聞こえる。
 でも、なんだろう。意識をしていないと、そこにいるケーシーさんが見えなくなってしまいそうなんだよね。
 
 背中から突き刺したナイフを引き抜くと、ヘイターが力なく崩れ落ちる。

「貴様ら、これですむとは思っていないよな」
 凄んでる。低音の渋い声だから、余計に迫力がある。
 勇者であるアルコンがおののいて後退りしてる。

「娘を痛めつけて、ピートの命まで奪おうとしたな」

「何が娘だ。汚れた存在が!」
 硬直していた局長が、はたと我に返り反論。この人のレインちゃんに対する言動は何なんだ? 小さな女の子になにを怯えて――――いぃぃ!?

「レインちゃん!?」
 何これ!! レインちゃんがさっきの桃色の光よりも濃い、紫色の光りに包まれている――――。
 というより、自らが光を放ってる?
 
 光を目にして、局長が歯を軋らせた。これが激しい言動の理由なのか?
 仰向けだった小さな体が起き上がる。
 手を使ったり、体の反動を使用してじゃない。重力がなく、見えない糸で引き起こされるようにして立ち上がった。

「レインちゃん?」
 ――――ではない。
 だって、光沢ある黒いおかっぱ頭が、紫水晶アメジストみたいな色に変わってる。瞳は銀色だ。で、黒目が縦に長い。

「レインちゃん……?」
「三度も呼ばずともよい」
「レインちゃん!?」
「四度目じゃな」
 なんだこの高慢ちきなしゃべり方は。いや、元々、高慢ちきというか、天真爛漫で自由な子だからな。
 
 でも、いつもの明るい口調ではない。落ち着きのある、とても七歳児とは思えない、風格ある存在になっている。
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