拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

文字の大きさ
400 / 604
変転

PHASE-11

しおりを挟む
「自分に使わないとは。無駄なことをする」
 うるさい。確かにこの状況でレインちゃんを優先しても、逃げられないなら意味は無いかもしれない。
 ――――でも、この間に誰かが来てくれる可能性はゼロじゃない。

「正義の味方ってさ、タイミングを見計らったように、来てくれるんだよ……」

「時宜か――――。君のその姿を見る限り、時宜はとっくにすぎていると思うんだがね」
 か細い僕の台詞に、哀れむような視線を向けつつ、局長が返す。
 そんな中で僕たち二人の間に入ってきて、蹲踞の姿勢になるのは――――、
「面白いね。君~」
 ヘイターだ。
 小馬鹿にしたように、僕を見下ろしながらフードを脱ぐ。
 現れたのは光沢のある白髪……。
 え……。

「うそ……だ……」
 覗き込んでくる仮面の奥に見える瞳の色は、綺麗な琥珀色。
 まったく、悪い冗談だよ…………。

「さて、復活されるのも面倒だ。とどめをさそう」
 酷薄な局長の発言。
 視線の先にはレインちゃん。蹲踞の姿勢から立ち上がるヘイターは、その言葉に従うようにコキコキと指を鳴らす。

「よせ……」
 もう、声もはっきりと出せやしない。
 誰か! と、願い縋るしか出来ない。

「バン♪」
 ヘイターが食指を一本立てると、その先端から光の弾が現出。レインちゃんに向かって飛んでいく。

「ゲイアードさん……」
 違うと信じたいのに、ヘイターに対してその名を口にしてしまった……。

「なんだい?」
 光が弾け飛ぶ。
 そして、同じような光が雨のように降り注ぎ、局長たちに襲いかかる。
 ヘイターによって局長は着弾位置から脱する。
 そして、声の主は僕の横に音もなく立つ。
 
 見覚えのあるデスクワーク用のピカピカに磨かれた革靴。
 以前はそれで、森の中の道無き道を素早く移動してたな~。

「まったく、無茶もすれば、自分の事よりも、まずは他の人間を優先。君は最高だな」
 膝を曲げて、僕の体に手を当てる。艶のある白髪と琥珀の瞳。

「よかった……」

「ん? この子は無事だよ。大魔法の回復が封じられた弾を使用したようだね。まあ、この子よりも、先に自分に使っても問題なかっただろうけど」
 先ほどの攻撃と同時に、倒れていたレインちゃんを回収したようだ。
 いまは肩に担がれている。
 でも――――、よかったってのは、そういう意味じゃないんですよ。ゲイアードさん。

「あの仮面の存在がゲイアードさんじゃなくてよかった……」

「本当に優しいね。君は。でも、あんな頭の悪そうな下品な存在と私を一緒にしないでくれ。治癒聖杯ヒギエイア
 ――ああ、温かい。
 凄く気持ちのいい温もりに包まれている。
 と、同時に、
「ん? んん――――!」
 凄く楽になった。ほら! 直ぐに立てる! おお! 絶好調だよ。漲る力!!
 
 ふぁ!? 傷口を見たら、拳大の穴が空いてるんですけど。つなぎが……。なるほど、これで生きてたから、ヘイターも感心したわけだ。
 よく生きてたな……。僕。
 まあ、傷口は完全に消えてるし、問題なしだ!

「ありがとうございます。ゲイアードさん。凄い魔法を使えるんですね」

「少々ね。この子も直ぐに目覚めるだろう」
 ゆっくりとレインちゃんを地面に仰向けで寝かせながら返事をくれる。
 レインちゃんは、いまも桃色の光に包まれている。ゲイアードさんが目覚めると言っているんだから、安心だな。

 しかし――――、とんでもない嘘をさらっと口にしましたね。
 治癒聖杯ヒギエイアって言ってましたからね。
 
 ワギョウで、サージャスさんとリムさんが使用した大魔法だ。
 しかも、サージャスさん同様に、詠唱破棄スペルキャンセルでの使用。そんな高等魔術は少々とは言わないんですけども。
 
 まあ、分かってましたよ。ケルプト山の麓での動きで素人じゃないって事は、分かってはいたけど、この人、本物の凄い人だ。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...