拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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PHASE-14

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 娘に怪我を負わせてるからね。激怒エンレージは当たり前だ。
 でも、怖いというより、周囲を凍らせるような、シズクさんを思わせる、体の芯から冷え切ってしまうような重圧。
 サージャスさんやエルンさんのように、闘気みなぎる熱い感情ってのとは正反対だな。

「捉えどころがない気配――――、流石はと言うべきか」

「俺のことを知っているようだな」
 僕の知らないケーシーさんの事を、局長は知っているようだ。
 得意げに自分の右食指を見せてくる。
 指には乳白色の指輪。

「あれは?」
 僕の隣に立つ魔王さんに、指輪の情報を求めるケーシーさん。

看破の乙女アルヴィトじゃ。所持者に全てを見抜く力を与えてくれる。妾が作り出した兵仗の一つじゃ」
 えぇ! なんで局長がそんな物を持ってるのさ。
 兵仗って、邪神を封じてたアイテムでしょ?
 邪教の皆さんが頑張って、邪神シスコンの部位を集めるために、神殿やら封印塚やら…………、攻めた時には、兵仗なんてなかったと言ってたっけ…………。

「局長。まさか……」
「その通りだよ」
「僕の考えてることが分かるんですね」
「心を読みたいと思う者に意識を向ければね。といっても、コレは自前だ」
 とんでもない物を所持してやがる! てゆうか自前って何だよ! 盗んだんだろ!

 局長が兵仗を奪った存在か。
 アルコンに、倒れているヘイター。こいつらみたいなのを集めて、組織を作っていると考えるべきか。
 
 王都周辺で発生した事にも関与してそうだな。
 ケルプト山から戻ってきた時の報告でもそうだ。
 カグラさんに何かあったのかと、憶測で語ろうとした時に、あの大声。誤魔化したかったのか?
 局長は、カグラさんの現状を知っているのだろうか。

 ――――――! 
 記憶をさかのぼっていって、会話の内容が蘇ってくる。

「僕がヴィン海域に行く前のことですが」

「聞こう」

「局長は、化石を地表に出した存在がいると僕が語った時、こう言いましたね。第三者って。複数犯だと知っていたから、達って言えたんですよね? 普通、第三者に、達って使用しませんから。複数だと知っていたから、知らず知らずに達をつけたんでしょ。化石に、カグラさんの現状。何か知ってますね。というか関与してますね?」
 一歩前に出て、強い語調で問いただす。

「――――――魔王よ」
「なんじゃ? 妾に語りかけるより、ピートの問いに答えぬか」
「そうなのだが、どうしても言いたくてな」
「発言を許そう」
「傲慢だな。貴様に許しを請わなくても私は口を開く。で――――、どうかな、私の部下は。看破の乙女アルヴィトがなくとも、ここまで推理できる。神が作った物を使わずとも、人間はここまで出来る。貴様らが不要な存在だというのを立証してくれているようじゃないか」
 つまりは、僕の発言は間違いではないということか。

「ウィザースプーン君。やはり警務局に異動したらどうかね。出世するぞ」

「どうも」
 なんだよ。まさか職場に犯罪者がいたなんてね。笑えないよ。全くさ!

「私は犯罪者ではない」
 ああ……。考えを覗けるんだったな。神が作り出した物を使わずとも――、とか言ってる割には、自分は使ってるんだからな。

「いいのだよ使用しても。我々は正義なのだから。全てが許される」

「正義は、小さな女の子に力を振るわないし。全てが許されるとも思ってない。そう思っている者達を打倒するのが――――、正義だと思いますよ」

「正義に対しての価値観の相違だな。あと、私も幼子に手を出す事はしたくない。だがそれは、災いをもたらした存在だからな」
 魔王さん。元は戦女神。
 兄である邪神を封じるために人々に力を与えて、曲がりなりにも平和をもたらした存在なのに、それを災いと言い張るなんて、訳が分からないよ。
 そもそも、なんで魔王って名乗ってんだ?

「魔王と名乗る原因は兵仗だ。結局は自身が作り出した物で、魔王と名乗るはめになったのだ」
 心の声を聞かれるのって、本当に嫌なもんだな……。

「何を言うか。欲に溺れた勇者たちが原因であろう」

「その欲を与えた者こそが悪よ。過ぎた力を持てば人間は驕るのだ。それを見誤った貴様の罪だ」
 僕が銃を使用した時も、語気を荒げて言ってたけど、その根幹は兵仗か。

「とんだ言いがかりじゃな」
 その昔、邪神を封じたわけだけども。内容は、壮大な兄妹げんかなんだよな……。
 
 
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