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変転
PHASE29
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「話の流れからして、僕がヴィン海域で死ねばいいとか思ってただろ」
僕がカグラさんを詮索し始めて、もし調べ始めでもしたら鬱陶しいと考えたはずだ。
大公様の案の、ヴィン海域への出向は渡りに船だったんだろうな。
「仕方が無いだろう。今回のことで理解したが、君は思慮深い。放置しておくわけにはいかなかった。私に先見の明があったという事だな。しかし、ヴィン海域から帰任してくるとはね。噂ほどではないようだな。あそこは」
現場を知らない奴はそう思うだろうよ。あそこが地続きの異世界だって事を理解出来ないだろうね。
行って過ごした人間じゃないと分からないよ。あそこの地獄っぷりは……。
でもって、もう一つ分かったことがある。
【放置しておくわけにはいかなかった】この台詞。
こいつ、大公様が提案したとか言ってたけども、憶測を口にした次の日には、ふわふっわの内容でヴィン海域に出向を命じてきた。
間違いなくヘルムが僕を厄介払いしたな。大公様はこの事には関与してないだろ。
――――――ニヤリと口角を上げやがった! こいつぅ!
「テメー! マジでボッコボコにしてやんよ! 方面軍大移動を本気で見舞ってやるかんな! お前は死ぬ!!」
「やれるもんなら、やってみな。と――、言えばいいのかね?」
クソォォォォォォ! それは僕の台詞だぞ!
「食らってやるわけにもいかんな」
『準備できたぞ。いつでも撃てる』
「そうか――――」
何だよ? 撃つって? 明らかによからぬ事が起きる気がしてならない。
「まずいのう」
魔王さん? なんなんだい? なにがまずいんだい?
僕を見上げると、
「これは撤収準備にかからねばならん」
この方がこう言うって事は、本当に危機なんだな。
王都に何かが撃たれるって事だろ。
「魔王、貴様は後だ。初弾はあそこだ」
ヘルムが食指を向ける先は――――、白亜の巨大な建造物。平たく言うと城だ。
おいおい……、嘘だよな。
流石に標的が城と知ると、戦闘を行っていたケーシーさん、ゲイアードさん達が動きを止める。
「考え直せ。やめるならいまだぞ」
「歪んだ世界を作りだした悪しき象徴だよ」
この人、暴走している。
箍が外れやがった。
いままで溜め込んでいた負の感情が決壊したようだ。
こうなったら、とことんまでやるな。で、終われば世界のためだったと、自身の決断を正当化してしまうだろう。
「王都を守る結界魔法など飾りだ。捷利嚮導の乙女の一撃ならば、容易く城まで届く」
「やめろ!」
「――――準備」
『おうよ。念じて狙いを王城へと定める』
どうする!? ――……どうしようもない…………。
ケルプト山で起こっている事をここから対処なんて出来っこない。
後はンダガランさん達に託すだけしか出来ないけど、カグラさんが囚われの身となっているから何も出来ないだろう。
どうにもならない。王都の結界なんて簡単に破られる……。
「では――――、撃て」
『あいよ。発射!』
平然とやりやがって! この人の怨嗟には躊躇が入る隙間もないのか。
「身をかがめて!」
ここにヘルムがいる限り、この場は安全と考えられるけど、この一撃で更なるパニックが起きることは間違いない。
王城内では多くの死傷者だって出るだろう。その中には王族の方も含まれる。
それでも撃つことが出来るってことは、ヘルムは世界を敵に回しても、太刀打ち出来るだけの力を有したという事になる。
――――ケルプト山の方角から、一筋の赤い光。光は周囲に黒い雷みたいなのを纏わせ、王都に迫ってくる――――。
「直撃!」
強烈な光が結界に触れる。
光によって、強制的に目を閉じさせられる。
終息し瞳を開けば、最悪の光景を目の当たりにする事になるんだろう…………。
鼓動を大きくしながら、恐る恐る王城に目を向けてみる。
――――何事もないように、白亜の輝きが威光を放っていた。
「馬鹿な!!」
ヘルムが僕よりも驚きの声を上げる。笑みを浮かべていた口元は、ポカンと開いている。
仕方が無いことだ。僕だって、終わったと思ったもの。
簡単に破壊されるイメージしかない結界が耐えたのだ。確かにそこそこの魔法は防げるよ。
でも、あの光の帯を防げるとは到底思えないんだけど。
あれか? 派手なだけで、大したことなかったのか?
実をいうと、結界は凄いものだったのか? いや、凄くないと困るけども……。
「ありえん。十分に破壊可能なはずだ。どういうことだ、ダイアン!」
『俺かよ! ちゃんと現状の最大出力で撃ったぜ』
「ではなぜだ……」
困惑しつつ空を見上げている。
魔法陣が健在なことで、表情が苦々しいものに変わっていく。
でもなぜなんだ? ヘルム達の会話が真実なら、なんで無事なんだ。
――――あ!? そういえば!
以前サージャスさんと魔道開発局に赴いていた道すがら、馬車の上からサージャスさんが結界を目にして大層に褒めてたな。
クリネアでもこれほどの結界は展開されてないとかなんとか。
その時は信じられないと思ってたけど、現に防いだからな……。
サージャスさんの言は正しかったのか。
でも、これカグラさんが、空飛ぶ移動要塞こと、ブラッドシップさんに乗って王都に被害を出した時に簡単に壊れたからね。
つい最近だと、邪神が整備局にダイナミック入室した時に、知らず知らずに壊してたし。
その程度の強度でしか――――、ん? 邪神?
――――確か、邪神が来て、ロールさんが公務員最強の真言である【規則なんで】を発動。
で、壊した結界を修復させるために、邪神に魔力供給を――――、
魔力供給……。あの邪神が魔力を結界内に流し込んだ事になるんだよな…………。
――………………。
「邪神かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
僕がカグラさんを詮索し始めて、もし調べ始めでもしたら鬱陶しいと考えたはずだ。
大公様の案の、ヴィン海域への出向は渡りに船だったんだろうな。
「仕方が無いだろう。今回のことで理解したが、君は思慮深い。放置しておくわけにはいかなかった。私に先見の明があったという事だな。しかし、ヴィン海域から帰任してくるとはね。噂ほどではないようだな。あそこは」
現場を知らない奴はそう思うだろうよ。あそこが地続きの異世界だって事を理解出来ないだろうね。
行って過ごした人間じゃないと分からないよ。あそこの地獄っぷりは……。
でもって、もう一つ分かったことがある。
【放置しておくわけにはいかなかった】この台詞。
こいつ、大公様が提案したとか言ってたけども、憶測を口にした次の日には、ふわふっわの内容でヴィン海域に出向を命じてきた。
間違いなくヘルムが僕を厄介払いしたな。大公様はこの事には関与してないだろ。
――――――ニヤリと口角を上げやがった! こいつぅ!
「テメー! マジでボッコボコにしてやんよ! 方面軍大移動を本気で見舞ってやるかんな! お前は死ぬ!!」
「やれるもんなら、やってみな。と――、言えばいいのかね?」
クソォォォォォォ! それは僕の台詞だぞ!
「食らってやるわけにもいかんな」
『準備できたぞ。いつでも撃てる』
「そうか――――」
何だよ? 撃つって? 明らかによからぬ事が起きる気がしてならない。
「まずいのう」
魔王さん? なんなんだい? なにがまずいんだい?
僕を見上げると、
「これは撤収準備にかからねばならん」
この方がこう言うって事は、本当に危機なんだな。
王都に何かが撃たれるって事だろ。
「魔王、貴様は後だ。初弾はあそこだ」
ヘルムが食指を向ける先は――――、白亜の巨大な建造物。平たく言うと城だ。
おいおい……、嘘だよな。
流石に標的が城と知ると、戦闘を行っていたケーシーさん、ゲイアードさん達が動きを止める。
「考え直せ。やめるならいまだぞ」
「歪んだ世界を作りだした悪しき象徴だよ」
この人、暴走している。
箍が外れやがった。
いままで溜め込んでいた負の感情が決壊したようだ。
こうなったら、とことんまでやるな。で、終われば世界のためだったと、自身の決断を正当化してしまうだろう。
「王都を守る結界魔法など飾りだ。捷利嚮導の乙女の一撃ならば、容易く城まで届く」
「やめろ!」
「――――準備」
『おうよ。念じて狙いを王城へと定める』
どうする!? ――……どうしようもない…………。
ケルプト山で起こっている事をここから対処なんて出来っこない。
後はンダガランさん達に託すだけしか出来ないけど、カグラさんが囚われの身となっているから何も出来ないだろう。
どうにもならない。王都の結界なんて簡単に破られる……。
「では――――、撃て」
『あいよ。発射!』
平然とやりやがって! この人の怨嗟には躊躇が入る隙間もないのか。
「身をかがめて!」
ここにヘルムがいる限り、この場は安全と考えられるけど、この一撃で更なるパニックが起きることは間違いない。
王城内では多くの死傷者だって出るだろう。その中には王族の方も含まれる。
それでも撃つことが出来るってことは、ヘルムは世界を敵に回しても、太刀打ち出来るだけの力を有したという事になる。
――――ケルプト山の方角から、一筋の赤い光。光は周囲に黒い雷みたいなのを纏わせ、王都に迫ってくる――――。
「直撃!」
強烈な光が結界に触れる。
光によって、強制的に目を閉じさせられる。
終息し瞳を開けば、最悪の光景を目の当たりにする事になるんだろう…………。
鼓動を大きくしながら、恐る恐る王城に目を向けてみる。
――――何事もないように、白亜の輝きが威光を放っていた。
「馬鹿な!!」
ヘルムが僕よりも驚きの声を上げる。笑みを浮かべていた口元は、ポカンと開いている。
仕方が無いことだ。僕だって、終わったと思ったもの。
簡単に破壊されるイメージしかない結界が耐えたのだ。確かにそこそこの魔法は防げるよ。
でも、あの光の帯を防げるとは到底思えないんだけど。
あれか? 派手なだけで、大したことなかったのか?
実をいうと、結界は凄いものだったのか? いや、凄くないと困るけども……。
「ありえん。十分に破壊可能なはずだ。どういうことだ、ダイアン!」
『俺かよ! ちゃんと現状の最大出力で撃ったぜ』
「ではなぜだ……」
困惑しつつ空を見上げている。
魔法陣が健在なことで、表情が苦々しいものに変わっていく。
でもなぜなんだ? ヘルム達の会話が真実なら、なんで無事なんだ。
――――あ!? そういえば!
以前サージャスさんと魔道開発局に赴いていた道すがら、馬車の上からサージャスさんが結界を目にして大層に褒めてたな。
クリネアでもこれほどの結界は展開されてないとかなんとか。
その時は信じられないと思ってたけど、現に防いだからな……。
サージャスさんの言は正しかったのか。
でも、これカグラさんが、空飛ぶ移動要塞こと、ブラッドシップさんに乗って王都に被害を出した時に簡単に壊れたからね。
つい最近だと、邪神が整備局にダイナミック入室した時に、知らず知らずに壊してたし。
その程度の強度でしか――――、ん? 邪神?
――――確か、邪神が来て、ロールさんが公務員最強の真言である【規則なんで】を発動。
で、壊した結界を修復させるために、邪神に魔力供給を――――、
魔力供給……。あの邪神が魔力を結界内に流し込んだ事になるんだよな…………。
――………………。
「邪神かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
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