拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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変転

PHASE-38

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「下だ下。整備局員」
 む、明らかに僕に投げかけられたぞ。僕を知っている人かな?
 下方からの声に目を向ければ、グレーチング。

 この中だと僕がペーペーなので、代表して排水路のグレーチングを覗き込む。

「――――ひ!?」
 目があった。
 格子状のグレーチングの下に、確かに誰かがいる。怖いよ……。

「え、衛兵!」
 またも託そうとする僕に、ノムロのおっさんの時とは違い、声の語調から真剣さが伝わったようで、抜剣してからの接近。
 恐怖の中で、一言を発すれば機敏に動いてくれる近衛の方々に、気持ちよくなってしまう。
 これが偉い人が、普段から行使できる特権なんだな。
 一言いえば、そく対応。そりゃ子爵みたいに勘違いするのも出てくるよ。

「出てきなさい」
 と、優しく近衛の方が言うと、
「待ってくれよ。俺は敵じゃない」

「敵は自分の事を敵と言って近づかないですからね」
 と、僕が返答。
 その通りだとばかりに、衛兵さん達が更に警戒レベルを上げた。
 抜いた剣を構える姿勢に変わる。

「本当に違うからよ!」
 ムキになるところが怪しいけども、なんだろうか。聞いた事のある声なような、ないような。
 グレーチングを持ち上げてずらし、頭をひょっこり出して、諸手を上げて、戦闘の意思がない事を示してきた。

「ああ! ガリンペイロのセイロンティーさん」

「バラクーダのセイロンだよ! ギルドが違う! ティーは余計だ!!」
 でしたっけ? まあいいや。お元気そうで何より。
 とても変な場所から現れてるけども。

「何してんですか?」
「何って、地下道を通ってきたんだよ」
「地下道?」
「そうか地下道か!」
 僕たちの間に大きな体で割って入るブールさん。
 この地を新たに王都と定め、ノイ・ヴォールと名が変更された時よりも以前から地下道は存在していたそうだ。
 平和な状況下になった現在では、お偉い方々もその存在を忘れ去っていたようで、ブールさんは虚空の彼方に旅立っていた記憶を引き戻したようだ。
 修復、復興を手がける整備局の中でもこの存在を知っている者はいないのだろう。僕は今日まで地下道の話は耳にした事がないからね。
 長い期間、メンテナンスはされてないだろう。
 まあ、お偉方はいいとしても、整備局員ぼくたちがその存在を知らないってのは恥だな……。
 多分、局の書庫で誰も入った事のない奥の、埃がたまってる所なんかには、昔の情報が眠っているのかもしれないな。

「手つかずって事は、経年劣化が著しいんじゃ?」
「大変だったぜ、ここを利用している身としては、王都市場までのルートを俺たちで整備、修復したからな」
「なるほど、つまりは普段は門を通過せずに、便利な地下道を利用していると?」
「おう!」
 元気な返答ですね。
 ――――王都には生活必需品を購入するために、ここを利用していると……。
 自分たちが嫌われ者のトレジャーハンターだからと、人目を避けるようにとの事だったんだけども……。

「言質とりました」

「見事だピート」
 宰相様であるブールさんが、お食事処にいる時みたいに、フランクに拇指を立てての笑顔だ。

「なんだよ?」
 周囲は王様の家臣団。貴族の方々ばかり、気品ある方々に囲まれて圧を受けてしまっている。
 未だに穴から出てないから、見下ろされているために、更に圧は強いだろう。
 
 ここは僕が。と、セイロンさんの前で蹲踞の姿勢になり、
「不法侵入ですよ。ちゃんと門から入っていただかないと。事が済んだら、セイロンさん及び、その他のここを利用しているバラクーダの方々からは違反金を払ってもらいますからね」

「いや、そこかよ! この状況下でそんな事を気にすんのかよ!!」

「規則なんで」
 いつだってぶれずに仕事をこなす。それが整備局員のあり方だと――――、僕は思う。
 僕はいま、仕事が出来る男前な表情になっていると思うんだ。
 キメ顔で真言マントラを言ってあげたからね。
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