拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

文字の大きさ
429 / 604
変転

PHASE-40

しおりを挟む
「さあさあ、ここのブロックを撤去するのを手伝ってくれ」
 セイロンさんが柏手を数回打って、注目を自分に向けさせてから指示を出せば、王様やブールさんが首肯で返し、それを目にした近衛の方々が動き、住民もそれに協力。
 
 多くの人が地下道に入れるようにと、バケツリレーの要領でブロックを外していく。
 勤労君にやらせると、勤労君の自重で地下道が崩落する可能性があるので、ここは人力である。
 
 物量に物を言わせて作業を進めていく。
 命がかかると、人間ってのは凄い力を発揮する。
 
 普段は麦の入った麻袋を持つのもきついといった感じの、足腰が弱そうなおじいさんでも、それより重いであろうブロックを手にして横の人に渡している。
 
 ――――ブロックをどけると、それを支えていた木の板が姿を見せる。

「よし、壊せ」
 支柱となっている木の棒を、下で待機している方々が斧で切りたおし、自重を支えられたくなった木の板が崩れて、粉塵を巻き上げる。
 視界が鮮明になると、地下道ではバラクーダの方々が等間隔で松明を手にして待機している。
 
 門。壊された城壁。地下道と、三つの避難経路が出来上がり、更に人の流れが円滑になっていく。

 ――。

「王様は?」
 まったく動こうとしない姿を見て、セイロンさんが疑問符を浮かべる。

「あの方は最後の一人を見送るまで動こうとしないでしょうね。東門はこのままなら問題なく避難が済みそうです。でも、南門は……」
 ゲイアードさんが対応に向かったけど、避難と、戦うのとでは訳が違うからな。

「心配するな。向こうはくそったれな穴掘りどもが動いている。理由は俺たちと同じだ」
 なんだよ。命を奪い合うようなライバル関係だと思ったら、こういう時は連帯感を見せるんだな。
 悪名高いトレジャーハンターギルドだけども、根は冒険者としての矜持をちゃんと有しているようだ。
 バラクーダも、ガリンペイロも――――。

「あと、情報提供ありがとうございます」
「何だよ情報提供って?」
「ガリンペイロの方々も違反を犯してるって事ですから、違反金の徴収を行わないと」
「告発って事で、俺たちは情状酌量って事で――――」
 下手で覗き込んでくるので、
「駄目ですね。規則なんで」
 と、すげなく返してあげた。
 にべもなし。違反に関して僕たちはそのスタイルを貫く。例外としては、まっとうに頑張ってるサージャスさんとかには優しく接しますけども。
 決して、可愛いからとか、そんな事は――――、あるけども。

「コレだから、公僕は」
 おっと、聞き捨てならないよ。公僕って言われると、そこは僕たちも人間ですから、ムッとしますよ。
 言い捨てるようにして、セイロンさんは先に地下道に下りていった。
 
 ――――。

 うん。いいぞ。これなら逃げ切れるな。

「ピート君って、知らないところでいろんな人と関係を作っていくね」
 僕同様に残っているロールさん。
 東門からの避難が滞りなく進んでいるようで、余裕が出来たのか、地下道ルートの方の手伝いに来てくれた。

「こんな仕事ですから」
「だったら私だって関係を多く気付いていると思うんだけど、ピート君に比べると少ないような」
「いやいや、邪神っていう、濃いのがいるじゃないですか」
「ああ、うん……」
 やはり、嫌なんだな。まあ、義妹とか言うような神は嫌だよな。

「デスクワークと思っていたら、いろんな所に行かされてそこで知り合った。不思議と協力してくれるのはありがたいですけど」
 悪名高いギルドが手伝ってくれるってのも不思議ではある。

「純粋に、ピート君が人として立派だから、皆、協力してくれるんだよ」
 あらやだ! 可愛らしい笑顔で言ってくれて。
 ロールさんの中で、僕のポイントがぐんぐんと上がってるんじゃないでしょうか。
 明るい家族計画も可能な状態なんじゃないのかコレ!
 ――――って、素直に喜びたいんだけども、カグラさんの現状が脳裏から離れないからね。本気でにやつく事が出来ないよ……。
 
 にやつく事が出来るように、カグラさんも救い出して、ヘルムを思いっ切りぶん殴らないとな!
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...