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変転
PHASE-40
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「さあさあ、ここのブロックを撤去するのを手伝ってくれ」
セイロンさんが柏手を数回打って、注目を自分に向けさせてから指示を出せば、王様やブールさんが首肯で返し、それを目にした近衛の方々が動き、住民もそれに協力。
多くの人が地下道に入れるようにと、バケツリレーの要領でブロックを外していく。
勤労君にやらせると、勤労君の自重で地下道が崩落する可能性があるので、ここは人力である。
物量に物を言わせて作業を進めていく。
命がかかると、人間ってのは凄い力を発揮する。
普段は麦の入った麻袋を持つのもきついといった感じの、足腰が弱そうなおじいさんでも、それより重いであろうブロックを手にして横の人に渡している。
――――ブロックをどけると、それを支えていた木の板が姿を見せる。
「よし、壊せ」
支柱となっている木の棒を、下で待機している方々が斧で切りたおし、自重を支えられたくなった木の板が崩れて、粉塵を巻き上げる。
視界が鮮明になると、地下道ではバラクーダの方々が等間隔で松明を手にして待機している。
門。壊された城壁。地下道と、三つの避難経路が出来上がり、更に人の流れが円滑になっていく。
――。
「王様は?」
まったく動こうとしない姿を見て、セイロンさんが疑問符を浮かべる。
「あの方は最後の一人を見送るまで動こうとしないでしょうね。東門はこのままなら問題なく避難が済みそうです。でも、南門は……」
ゲイアードさんが対応に向かったけど、避難と、戦うのとでは訳が違うからな。
「心配するな。向こうはくそったれな穴掘りどもが動いている。理由は俺たちと同じだ」
なんだよ。命を奪い合うようなライバル関係だと思ったら、こういう時は連帯感を見せるんだな。
悪名高いトレジャーハンターギルドだけども、根は冒険者としての矜持をちゃんと有しているようだ。
バラクーダも、ガリンペイロも――――。
「あと、情報提供ありがとうございます」
「何だよ情報提供って?」
「ガリンペイロの方々も違反を犯してるって事ですから、違反金の徴収を行わないと」
「告発って事で、俺たちは情状酌量って事で――――」
下手で覗き込んでくるので、
「駄目ですね。規則なんで」
と、すげなく返してあげた。
にべもなし。違反に関して僕たちはそのスタイルを貫く。例外としては、まっとうに頑張ってるサージャスさんとかには優しく接しますけども。
決して、可愛いからとか、そんな事は――――、あるけども。
「コレだから、公僕は」
おっと、聞き捨てならないよ。公僕って言われると、そこは僕たちも人間ですから、ムッとしますよ。
言い捨てるようにして、セイロンさんは先に地下道に下りていった。
――――。
うん。いいぞ。これなら逃げ切れるな。
「ピート君って、知らないところでいろんな人と関係を作っていくね」
僕同様に残っているロールさん。
東門からの避難が滞りなく進んでいるようで、余裕が出来たのか、地下道ルートの方の手伝いに来てくれた。
「こんな仕事ですから」
「だったら私だって関係を多く気付いていると思うんだけど、ピート君に比べると少ないような」
「いやいや、邪神っていう、濃いのがいるじゃないですか」
「ああ、うん……」
やはり、嫌なんだな。まあ、義妹とか言うような神は嫌だよな。
「デスクワークと思っていたら、いろんな所に行かされてそこで知り合った。不思議と協力してくれるのはありがたいですけど」
悪名高いギルドが手伝ってくれるってのも不思議ではある。
「純粋に、ピート君が人として立派だから、皆、協力してくれるんだよ」
あらやだ! 可愛らしい笑顔で言ってくれて。
ロールさんの中で、僕のポイントがぐんぐんと上がってるんじゃないでしょうか。
明るい家族計画も可能な状態なんじゃないのかコレ!
――――って、素直に喜びたいんだけども、カグラさんの現状が脳裏から離れないからね。本気でにやつく事が出来ないよ……。
にやつく事が出来るように、カグラさんも救い出して、ヘルムを思いっ切りぶん殴らないとな!
セイロンさんが柏手を数回打って、注目を自分に向けさせてから指示を出せば、王様やブールさんが首肯で返し、それを目にした近衛の方々が動き、住民もそれに協力。
多くの人が地下道に入れるようにと、バケツリレーの要領でブロックを外していく。
勤労君にやらせると、勤労君の自重で地下道が崩落する可能性があるので、ここは人力である。
物量に物を言わせて作業を進めていく。
命がかかると、人間ってのは凄い力を発揮する。
普段は麦の入った麻袋を持つのもきついといった感じの、足腰が弱そうなおじいさんでも、それより重いであろうブロックを手にして横の人に渡している。
――――ブロックをどけると、それを支えていた木の板が姿を見せる。
「よし、壊せ」
支柱となっている木の棒を、下で待機している方々が斧で切りたおし、自重を支えられたくなった木の板が崩れて、粉塵を巻き上げる。
視界が鮮明になると、地下道ではバラクーダの方々が等間隔で松明を手にして待機している。
門。壊された城壁。地下道と、三つの避難経路が出来上がり、更に人の流れが円滑になっていく。
――。
「王様は?」
まったく動こうとしない姿を見て、セイロンさんが疑問符を浮かべる。
「あの方は最後の一人を見送るまで動こうとしないでしょうね。東門はこのままなら問題なく避難が済みそうです。でも、南門は……」
ゲイアードさんが対応に向かったけど、避難と、戦うのとでは訳が違うからな。
「心配するな。向こうはくそったれな穴掘りどもが動いている。理由は俺たちと同じだ」
なんだよ。命を奪い合うようなライバル関係だと思ったら、こういう時は連帯感を見せるんだな。
悪名高いトレジャーハンターギルドだけども、根は冒険者としての矜持をちゃんと有しているようだ。
バラクーダも、ガリンペイロも――――。
「あと、情報提供ありがとうございます」
「何だよ情報提供って?」
「ガリンペイロの方々も違反を犯してるって事ですから、違反金の徴収を行わないと」
「告発って事で、俺たちは情状酌量って事で――――」
下手で覗き込んでくるので、
「駄目ですね。規則なんで」
と、すげなく返してあげた。
にべもなし。違反に関して僕たちはそのスタイルを貫く。例外としては、まっとうに頑張ってるサージャスさんとかには優しく接しますけども。
決して、可愛いからとか、そんな事は――――、あるけども。
「コレだから、公僕は」
おっと、聞き捨てならないよ。公僕って言われると、そこは僕たちも人間ですから、ムッとしますよ。
言い捨てるようにして、セイロンさんは先に地下道に下りていった。
――――。
うん。いいぞ。これなら逃げ切れるな。
「ピート君って、知らないところでいろんな人と関係を作っていくね」
僕同様に残っているロールさん。
東門からの避難が滞りなく進んでいるようで、余裕が出来たのか、地下道ルートの方の手伝いに来てくれた。
「こんな仕事ですから」
「だったら私だって関係を多く気付いていると思うんだけど、ピート君に比べると少ないような」
「いやいや、邪神っていう、濃いのがいるじゃないですか」
「ああ、うん……」
やはり、嫌なんだな。まあ、義妹とか言うような神は嫌だよな。
「デスクワークと思っていたら、いろんな所に行かされてそこで知り合った。不思議と協力してくれるのはありがたいですけど」
悪名高いギルドが手伝ってくれるってのも不思議ではある。
「純粋に、ピート君が人として立派だから、皆、協力してくれるんだよ」
あらやだ! 可愛らしい笑顔で言ってくれて。
ロールさんの中で、僕のポイントがぐんぐんと上がってるんじゃないでしょうか。
明るい家族計画も可能な状態なんじゃないのかコレ!
――――って、素直に喜びたいんだけども、カグラさんの現状が脳裏から離れないからね。本気でにやつく事が出来ないよ……。
にやつく事が出来るように、カグラさんも救い出して、ヘルムを思いっ切りぶん殴らないとな!
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