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変転
PHASE-41
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「ほら来い」
ふて腐れていたセイロンさんが松明を持って、下から僕たちに語りかけてくる。
「ブールさん」
顔見知りの宰相様に後を託す。
平民の僕が直接言うよりも、ブールさんが述べるのがいいだろう。
承知したと頷き、王族、貴族の方々を誘導してくれる。
貴族の女性陣はお召し物が汚れると抵抗を見せるも、旦那さんと思われる方にそんな状況ではない! と、一喝されていた。
それでも抵抗があったようだが、
「行こうか」
と、住人の避難を見届けた王様が、先頭を切って地下道に続く階段に足をつけると、不満を口には出来なくなってしまい、皆さん素直に後に続いた。
僕の横を通り過ぎる時に、
「必ず奪還しないとね」
と、言いつつ、崩れ去った王城を少しの間ながめ、羅紗の陣羽織を纏った瓦礫の主が、地下道へと消えていく。
――続々と地下道に入っていく方々を僕たちが誘導し、魔王さんの小さな手を握ったところで、
「お前たちもだ」
ケーシーさんが殿は自分がするからと、魔王さんと共に僕たちを先に行かせる。
――――。
なるほど、湖の近くに出るのか。
王都から南に位置するシダール湖のほとりに出る。
風光明媚で人気のある湖だ。
四季によって木々が表情を変え、水鳥が優雅に羽を休めている。
王都で爆発が起こった事もどこ吹く風とばかりに、森閑に支配されている。
湖の位置が王都から南という事もあり、僕たちよりも先に南門から続く地下道を通った人達が安堵から、腰を下ろして休んでいた。
周囲は木々で覆われているので、外周からは見つかりにくいというのも、心にゆとりを与えてくれるんだろう。
ゲイアードさんとリューディアさん。共に健在。
それに、ゴートさんもいる。
「ご無事でなによりです」
「おお! ピート君。君も無事で。自分は南門付近を部下と警邏していた時に、こういう状況になってね。そのまま誘導に尽力していたよ」
相も変わらずな恰幅のよい体から、滝のように流れる汗をタオルで拭きつつ経過報告をしてくれる。
東門同様に、南門も取り乱す事なく避難を終える事が出来たそうだ。
子爵の私兵が迫ってきていたけど、ここでもゲイアードさんの魔法が効果を発揮。
背後に築かれた壁の存在が、人々を安心させたとのこと。
「ここからが大変だな」
恰幅の良さなら負けないとばかりに、ブールさんが僕たちの会話に参加。
初めてお目にかかる方に疑問符を浮かべるゴートさんだったけど、ブールさんの立場を理解すると、汗を拭くのをやめ、背筋を空に向かって真っ直ぐに伸ばす。
大変というのは、王都在住の方々の現状は流民だということ。もちろん僕もその中に含まれる。
近隣の町村に一時的な避難となるだろうけど、これから先、王都以外にも侵攻があると考えられると、近くだと不安になるだろうし、そこに住まう人達も恐怖に支配されるだろう。
実際に、王都から避難している人達を目にする事になるんだから、これほど説得力のある恐怖もないだろう。
それに殆どの方々が、着の身着のままで避難している。
先立つ物もないから、心に余裕もなくなるってもんだ。
お金なんて無くても生きていけるって考えを持つ人もいるけど、普通に生活を営んでいた人達にそれは無理だからね。
無いだけで、精神的な負担も大きくなるもんだ。
僕だって怖いもの……。
ヘルムが世界なんて手にした日には、蓄えた分がゼロになる恐れもあるからね。
「お困りかね?」
「神出鬼没って、貴男のためにあるんですかね」
「なんだ。そこまで驚かないな」
へっ、胆力を鍛えられた僕は、貴男の登場でも問題なく、超然とした態度が出来るってもんですよ――――。大公様。
お隣には護衛役なのか、王城庭園と同様に、深紅のローブを纏ったワイトのホーリーさん。
叙勲式後の会食での経験が活かされているようで、フードを目深に被っている。
歩く髑髏を目にしたら、大抵の人はパニックに陥ってしまうからね。
ふて腐れていたセイロンさんが松明を持って、下から僕たちに語りかけてくる。
「ブールさん」
顔見知りの宰相様に後を託す。
平民の僕が直接言うよりも、ブールさんが述べるのがいいだろう。
承知したと頷き、王族、貴族の方々を誘導してくれる。
貴族の女性陣はお召し物が汚れると抵抗を見せるも、旦那さんと思われる方にそんな状況ではない! と、一喝されていた。
それでも抵抗があったようだが、
「行こうか」
と、住人の避難を見届けた王様が、先頭を切って地下道に続く階段に足をつけると、不満を口には出来なくなってしまい、皆さん素直に後に続いた。
僕の横を通り過ぎる時に、
「必ず奪還しないとね」
と、言いつつ、崩れ去った王城を少しの間ながめ、羅紗の陣羽織を纏った瓦礫の主が、地下道へと消えていく。
――続々と地下道に入っていく方々を僕たちが誘導し、魔王さんの小さな手を握ったところで、
「お前たちもだ」
ケーシーさんが殿は自分がするからと、魔王さんと共に僕たちを先に行かせる。
――――。
なるほど、湖の近くに出るのか。
王都から南に位置するシダール湖のほとりに出る。
風光明媚で人気のある湖だ。
四季によって木々が表情を変え、水鳥が優雅に羽を休めている。
王都で爆発が起こった事もどこ吹く風とばかりに、森閑に支配されている。
湖の位置が王都から南という事もあり、僕たちよりも先に南門から続く地下道を通った人達が安堵から、腰を下ろして休んでいた。
周囲は木々で覆われているので、外周からは見つかりにくいというのも、心にゆとりを与えてくれるんだろう。
ゲイアードさんとリューディアさん。共に健在。
それに、ゴートさんもいる。
「ご無事でなによりです」
「おお! ピート君。君も無事で。自分は南門付近を部下と警邏していた時に、こういう状況になってね。そのまま誘導に尽力していたよ」
相も変わらずな恰幅のよい体から、滝のように流れる汗をタオルで拭きつつ経過報告をしてくれる。
東門同様に、南門も取り乱す事なく避難を終える事が出来たそうだ。
子爵の私兵が迫ってきていたけど、ここでもゲイアードさんの魔法が効果を発揮。
背後に築かれた壁の存在が、人々を安心させたとのこと。
「ここからが大変だな」
恰幅の良さなら負けないとばかりに、ブールさんが僕たちの会話に参加。
初めてお目にかかる方に疑問符を浮かべるゴートさんだったけど、ブールさんの立場を理解すると、汗を拭くのをやめ、背筋を空に向かって真っ直ぐに伸ばす。
大変というのは、王都在住の方々の現状は流民だということ。もちろん僕もその中に含まれる。
近隣の町村に一時的な避難となるだろうけど、これから先、王都以外にも侵攻があると考えられると、近くだと不安になるだろうし、そこに住まう人達も恐怖に支配されるだろう。
実際に、王都から避難している人達を目にする事になるんだから、これほど説得力のある恐怖もないだろう。
それに殆どの方々が、着の身着のままで避難している。
先立つ物もないから、心に余裕もなくなるってもんだ。
お金なんて無くても生きていけるって考えを持つ人もいるけど、普通に生活を営んでいた人達にそれは無理だからね。
無いだけで、精神的な負担も大きくなるもんだ。
僕だって怖いもの……。
ヘルムが世界なんて手にした日には、蓄えた分がゼロになる恐れもあるからね。
「お困りかね?」
「神出鬼没って、貴男のためにあるんですかね」
「なんだ。そこまで驚かないな」
へっ、胆力を鍛えられた僕は、貴男の登場でも問題なく、超然とした態度が出来るってもんですよ――――。大公様。
お隣には護衛役なのか、王城庭園と同様に、深紅のローブを纏ったワイトのホーリーさん。
叙勲式後の会食での経験が活かされているようで、フードを目深に被っている。
歩く髑髏を目にしたら、大抵の人はパニックに陥ってしまうからね。
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