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変転
PHASE-44
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濛々と立ち上がる土埃が背後の風景を消し去っている――――。
王様が前へと出ると、近衛の方々が布陣。更にその前に一般の兵士の方々。その前に立つのはゲイアードさんとケーシーさん。続いて王都から共に避難してきた冒険者の方々に、悪名高き二大ギルドのトレジャーハンターの面々。
お留守番役とはいえ、戦闘に関しては一般の兵士よりは優秀だ。
「数はざっと百。数だけなら、こちらが有利だな」
ルビーのような瞳で、向かってくる騎馬の数を口頭で伝えるシュパーブ君。いい目をしている。
整備局に、警務局、魔道開発局の公務員は、立場的に一般の方々の矢面に立たなければならないポジション。
中でも、警務局の面々は僕たちよりも前に立ち、守りに入る。
布陣が素早く整ったところで、向かってくる集団の足並みが襲歩から駈歩、常歩となり――――、停止。
先頭の人物が馬上の人から地面へと下りて、自らの足でこちらに歩み寄ってくる。
左手が左腰に帯びた鞘に触れたので、こっちの警戒が一気に跳ね上がるも――――、次には帯びていた鞘を右の腰に移動させた。
戦闘の意思がないと暗に伝えているんだろう。
それを見た王様が更に前へと歩むと、近づいてきた人物が膝を折って、王様に頭をさげる。
「モルドー領主、ハワード様のご命令により、エギンバの鎮守府より参じました。百人隊長のエルギー・リトナでございます」
白銀の体に沿った作りである、フルプレートからなる鎧で身を包んだ方が兜をとれば――――、百人隊長殿は長身の美人だった。
遠目で見ても、僕よりも背が高いのが分かる。
兜から解放されて、栗毛の長い髪がふさってなるのはぐっとくるものがある。
美人が百人隊長ってのも、男爵様の趣味が反映されていそうだよな。子爵同様に助平なところは血筋なのかもしれない。
などと思いつつも、僕の足はそちらに向かっていく。
――。
「モルドーの中央よりわざわざすまない。ありがとう」
「いえ、当然の事です」
立つように王様に促されて、やおら立ち上がると、労いの言葉に頭を深く下げるエルギーさん。
「しかし、モルドーの、しかもエギンバからとなると、ここへの到着が一日、二日は早いようだが」
怪しむブールさん。
「あ、はい……」
それに対して、含みのある返事と、表情が仄暗くなる。
これは怪しいと、王様を一歩後ろに下がらせようとしたところで、
「大公様が……」
二の句を継いで出た単語に、下がらせる必要がないと判断したようだ……。
王様は現状の立ち位置のまま話を聞く。
――――シタール湖に訪れた時、男爵様が全面的に協力すると言っていたが、あの段階で、完全にモルドーを大公様が掌握していたそうだ……。
大公様、シタール湖を訪れるその前に、出迎えの兵と、輜重隊を至急に出兵させ、王様と流民を救出せよと伝えたらしい。
王都が攻撃を受けたと同時に、その情報は瞬時に古都へと伝えられたとの事だ。
捷利嚮導の乙女が敵の手に落ちた事を知った不死王さんは、現状の戦力で王都に救出に行けば犠牲が出ると判断。
そこで、大公様が立案したのが、態勢を立て直すための準備。
王都の近くで、王都に攻めやすい場所を手に入れるべきと不死王さんに進言。
空間移動魔法を使用し、アンデッドの軍勢をエギンバの男爵様の館に向けて手ずから指揮し、侵攻。
最上位幽霊長さんや吸血鬼さんに、ホーリーさん達からなる幹部を引き連れての侵攻だったそうだ。
――――あの人、接収とか言ってたし、乗っ取る気満々だとは思ってたけど、そういう次元じゃなく、すでに乗っ取ってたんだな……。
仕事の速さは流石だな。
侵攻は禁止で、内政に力を入れるのが魔王軍のルールだったはずだけど、まあ、今回はいいのかな。
子爵の事が問題だからね。
子爵と血縁関係である男爵様には、不死王軍幹部としてではなく、王様の叔父――――、つまりは大公としての立場を利用して侵攻したんだろうな。
王様が前へと出ると、近衛の方々が布陣。更にその前に一般の兵士の方々。その前に立つのはゲイアードさんとケーシーさん。続いて王都から共に避難してきた冒険者の方々に、悪名高き二大ギルドのトレジャーハンターの面々。
お留守番役とはいえ、戦闘に関しては一般の兵士よりは優秀だ。
「数はざっと百。数だけなら、こちらが有利だな」
ルビーのような瞳で、向かってくる騎馬の数を口頭で伝えるシュパーブ君。いい目をしている。
整備局に、警務局、魔道開発局の公務員は、立場的に一般の方々の矢面に立たなければならないポジション。
中でも、警務局の面々は僕たちよりも前に立ち、守りに入る。
布陣が素早く整ったところで、向かってくる集団の足並みが襲歩から駈歩、常歩となり――――、停止。
先頭の人物が馬上の人から地面へと下りて、自らの足でこちらに歩み寄ってくる。
左手が左腰に帯びた鞘に触れたので、こっちの警戒が一気に跳ね上がるも――――、次には帯びていた鞘を右の腰に移動させた。
戦闘の意思がないと暗に伝えているんだろう。
それを見た王様が更に前へと歩むと、近づいてきた人物が膝を折って、王様に頭をさげる。
「モルドー領主、ハワード様のご命令により、エギンバの鎮守府より参じました。百人隊長のエルギー・リトナでございます」
白銀の体に沿った作りである、フルプレートからなる鎧で身を包んだ方が兜をとれば――――、百人隊長殿は長身の美人だった。
遠目で見ても、僕よりも背が高いのが分かる。
兜から解放されて、栗毛の長い髪がふさってなるのはぐっとくるものがある。
美人が百人隊長ってのも、男爵様の趣味が反映されていそうだよな。子爵同様に助平なところは血筋なのかもしれない。
などと思いつつも、僕の足はそちらに向かっていく。
――。
「モルドーの中央よりわざわざすまない。ありがとう」
「いえ、当然の事です」
立つように王様に促されて、やおら立ち上がると、労いの言葉に頭を深く下げるエルギーさん。
「しかし、モルドーの、しかもエギンバからとなると、ここへの到着が一日、二日は早いようだが」
怪しむブールさん。
「あ、はい……」
それに対して、含みのある返事と、表情が仄暗くなる。
これは怪しいと、王様を一歩後ろに下がらせようとしたところで、
「大公様が……」
二の句を継いで出た単語に、下がらせる必要がないと判断したようだ……。
王様は現状の立ち位置のまま話を聞く。
――――シタール湖に訪れた時、男爵様が全面的に協力すると言っていたが、あの段階で、完全にモルドーを大公様が掌握していたそうだ……。
大公様、シタール湖を訪れるその前に、出迎えの兵と、輜重隊を至急に出兵させ、王様と流民を救出せよと伝えたらしい。
王都が攻撃を受けたと同時に、その情報は瞬時に古都へと伝えられたとの事だ。
捷利嚮導の乙女が敵の手に落ちた事を知った不死王さんは、現状の戦力で王都に救出に行けば犠牲が出ると判断。
そこで、大公様が立案したのが、態勢を立て直すための準備。
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――――あの人、接収とか言ってたし、乗っ取る気満々だとは思ってたけど、そういう次元じゃなく、すでに乗っ取ってたんだな……。
仕事の速さは流石だな。
侵攻は禁止で、内政に力を入れるのが魔王軍のルールだったはずだけど、まあ、今回はいいのかな。
子爵の事が問題だからね。
子爵と血縁関係である男爵様には、不死王軍幹部としてではなく、王様の叔父――――、つまりは大公としての立場を利用して侵攻したんだろうな。
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