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集結
PHASE-16
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「まったく! 世話になっている宿主に害など与えるか!」
「ティアナが病だったのは、ティアナ自身のものだ。魔王であるビルギット氏は関係ないよ」
そうですか。
「皆、構えなくていいんで」
サージャスさんから魔王さんの風体を聞いていた残りのパーティーメンバーは、条件反射なのか、身構えてしまっていた。
それを制止するサージャスさん。
「ティアナはよい人間であった」
自分の死期を悟ったミラさんは、宿る魔王さんに語りかけ、新しい命に移ってほしいと自ら言ったそうだ。
出来る事なら、生まれてくる子供を力が戻るその時まで見守ってほしいとも。
魔王さん。ミラさんの語りを遺言として聞き入れたかったそうだけど、レインちゃんでは魔王さんの力に耐えられないから、眠る事しか選択肢がなかったようだ。
月日が経ち、レインちゃんが四歳になったころに目覚めたそうだ、
「この子は将来有望じゃ。本来なら、妾は長く眠らなければならないと思っておったが、この子が四つの頃には、幼子とは思えぬくらいに、膨大な魔力量を体内に宿しおったからな。流石は、ニコとティアナの子よ」
褒めて誤魔化そうって魂胆じゃないよな?
まあ、この二人の子供なら間違いなく才能はあるだろうけども。
目覚めてからは、レインちゃんを見守りつつ、レインちゃんの目を通して営みを眺めていたそうだけど、膨大といってもそこは他の子供と比べてだそうで、負担をかけないために、大半は眠っているそうだ。
目覚めるのは一月に一度くらい。
「妾とて、このままでおるつもりもない。迷惑をかけてしまうのも心苦しいからの。母子に受けた大恩は必ず倍にして返してやる。その為にも、この戦いを必ず勝利して終わらせるのじゃ! 捷利嚮導の乙女を取り返すのじゃ!」
「だったら少しはお兄さんと連携とりましょうね。悪いと思っているなら、大恩に報いたいなら、私的な理由はかなぐり捨ててくださいね」
「ぐぬぬぬぬ……」
グサリと言ってやったよ。
仲違いしないで、二柱の神が共同戦線をはれば、捷利嚮導の乙女だって何とかなるはずなんだから。
――――ん?
「ふと思ったんですけど、捷利嚮導の乙女ってケルプト山に封じてたんですよね」
「そうじゃ」
なにその不機嫌な応対。僕にいたいところを突かれたからって、ふて腐れて唇尖らせて――――、子供か!
まあいい。
「ではなぜに自分の力として取り込まなかったんですか? 戦女神の力を削いで作られたのが兵仗なら、取り込む事も可能でしょう」
「「「「確かに」」」」
と、ケーシーさんとゲイアードさんを除く面々が口を揃えてくれる。
内情を知る二人が僕の発言に呼応しないという事は、取り込めない理由があるんだな。
「実行したくとも出来ないのじゃ」
はたして正にか。
それはなぜか――――。
捷利嚮導の乙女の力が強大すぎるからだそうだ。
ちびっ子諸君が考えるような理由で造り出した最強の兵仗を、現状で取り込めば、体がもたないそうだ。
他の兵仗を取り込んでいって、魔力のキャパシティを広げないといけないらしい。
「ここにあるティーカップで、湖の水をすべて受け止める事は不可能であろう」
なるほど。現状の魔力キャパはそのくらい差があるって事か。
「溢れ出た魔力の奔流を堰き止める事は出来ないと?」
「さよう」
となると、捷利嚮導の乙女を奪還しても、それを魔王さんが取り込むって事は出来ないから、また封じて守る事になるのか……。
「いっそ壊せば」
「阿呆。妾が困る」
別に、神一柱が困るくらいで危険な代物をこの世から排除できるなら、僕なら破壊を選択するけどね。
「破壊は駄目じゃからな!」
僕の表情が破壊案を考えていると悟ったようで、強く反対してきた。
「カグラじゃ! カグラを救えばよいのじゃ」
「言われなくても救い出しますよ」
「よう言うたピート! 期待しておるぞ」
? 僕は後方要員ですから、期待されても困りますよ。
前線の皆さんがカグラさんを救い出すんですよ。僕はその事を口にしたまでです。
「ティアナが病だったのは、ティアナ自身のものだ。魔王であるビルギット氏は関係ないよ」
そうですか。
「皆、構えなくていいんで」
サージャスさんから魔王さんの風体を聞いていた残りのパーティーメンバーは、条件反射なのか、身構えてしまっていた。
それを制止するサージャスさん。
「ティアナはよい人間であった」
自分の死期を悟ったミラさんは、宿る魔王さんに語りかけ、新しい命に移ってほしいと自ら言ったそうだ。
出来る事なら、生まれてくる子供を力が戻るその時まで見守ってほしいとも。
魔王さん。ミラさんの語りを遺言として聞き入れたかったそうだけど、レインちゃんでは魔王さんの力に耐えられないから、眠る事しか選択肢がなかったようだ。
月日が経ち、レインちゃんが四歳になったころに目覚めたそうだ、
「この子は将来有望じゃ。本来なら、妾は長く眠らなければならないと思っておったが、この子が四つの頃には、幼子とは思えぬくらいに、膨大な魔力量を体内に宿しおったからな。流石は、ニコとティアナの子よ」
褒めて誤魔化そうって魂胆じゃないよな?
まあ、この二人の子供なら間違いなく才能はあるだろうけども。
目覚めてからは、レインちゃんを見守りつつ、レインちゃんの目を通して営みを眺めていたそうだけど、膨大といってもそこは他の子供と比べてだそうで、負担をかけないために、大半は眠っているそうだ。
目覚めるのは一月に一度くらい。
「妾とて、このままでおるつもりもない。迷惑をかけてしまうのも心苦しいからの。母子に受けた大恩は必ず倍にして返してやる。その為にも、この戦いを必ず勝利して終わらせるのじゃ! 捷利嚮導の乙女を取り返すのじゃ!」
「だったら少しはお兄さんと連携とりましょうね。悪いと思っているなら、大恩に報いたいなら、私的な理由はかなぐり捨ててくださいね」
「ぐぬぬぬぬ……」
グサリと言ってやったよ。
仲違いしないで、二柱の神が共同戦線をはれば、捷利嚮導の乙女だって何とかなるはずなんだから。
――――ん?
「ふと思ったんですけど、捷利嚮導の乙女ってケルプト山に封じてたんですよね」
「そうじゃ」
なにその不機嫌な応対。僕にいたいところを突かれたからって、ふて腐れて唇尖らせて――――、子供か!
まあいい。
「ではなぜに自分の力として取り込まなかったんですか? 戦女神の力を削いで作られたのが兵仗なら、取り込む事も可能でしょう」
「「「「確かに」」」」
と、ケーシーさんとゲイアードさんを除く面々が口を揃えてくれる。
内情を知る二人が僕の発言に呼応しないという事は、取り込めない理由があるんだな。
「実行したくとも出来ないのじゃ」
はたして正にか。
それはなぜか――――。
捷利嚮導の乙女の力が強大すぎるからだそうだ。
ちびっ子諸君が考えるような理由で造り出した最強の兵仗を、現状で取り込めば、体がもたないそうだ。
他の兵仗を取り込んでいって、魔力のキャパシティを広げないといけないらしい。
「ここにあるティーカップで、湖の水をすべて受け止める事は不可能であろう」
なるほど。現状の魔力キャパはそのくらい差があるって事か。
「溢れ出た魔力の奔流を堰き止める事は出来ないと?」
「さよう」
となると、捷利嚮導の乙女を奪還しても、それを魔王さんが取り込むって事は出来ないから、また封じて守る事になるのか……。
「いっそ壊せば」
「阿呆。妾が困る」
別に、神一柱が困るくらいで危険な代物をこの世から排除できるなら、僕なら破壊を選択するけどね。
「破壊は駄目じゃからな!」
僕の表情が破壊案を考えていると悟ったようで、強く反対してきた。
「カグラじゃ! カグラを救えばよいのじゃ」
「言われなくても救い出しますよ」
「よう言うたピート! 期待しておるぞ」
? 僕は後方要員ですから、期待されても困りますよ。
前線の皆さんがカグラさんを救い出すんですよ。僕はその事を口にしたまでです。
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