拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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PHASE-18

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「私は頼りにならない王です」
 頭を上げてからそう言い、継いでいく。

「――――こうやって、王都を容易く奪われ、逃亡。ここに至ります。皆の支えがなければ、ここに足を着ける事も出来なかった。着ける事が出来たのは皆のおかげ。そして、檄文に応えてここまで集ってくれた皆に私は心を救われた」
 ――――ここで間を作って、一人一人を見るように、同じ位置にいる大公様に魔王様に面々。
 僕たち、そして――――、眼前の冒険者に兵士の皆さんを見渡す。

「どれだけ感謝を述べても足りないくらいの大恩を皆から受けた。私はここにいる皆を動かせるだけの器は持っていない。これは自分が一番理解している。叔父上のような胆力もなく行動力もない。そんな私を叔父上は支えてくれる。また、常に私を王城で支えてくれた者達。私が王でいられるのはこういう人々と、私を王として認めてくれている、ここに集った皆の支えがあるからこそ」
 どんどんと声に熱がおびてきた。

「ここでエゴイスティックな考えを発言させていただく。――――どうか、私を皆の王でいさせていただきたい。才もなく、他に頼らねば何も出来ない惰弱な王だが、この大陸に住まう皆と共に歩んでいきたいと思う気持ちは誰にも負けるつもりはない。私は皆と共に、これからも歩んでいきたい。だから私に力を貸していただきたい。王でいさせていただきたい」
 
 ――――しじまだ。
 発言通りのエゴイスティックな内容だ。
 王でいさせてもらいたい。こんな発言、本来は口にするものじゃない。嫌われる要因でもある。
 それに、王は生まれながらにして王なんだから。それが当たり前なんだから。
 なのに、王でいさせてもらいたいとは、帝王学を学ぶ方々からすれば脆弱きわまりない発言だろう。
 官民どちらからも敬遠される発言だ。
 でも――――、ここに集った方々の胸は打ったようだ。
 声が熱をおびて、気炎となって天まで届くんじゃないかと錯覚するくらいの歓声が上がる。
 嫌われる要因のある発言でもあるけど、それ以上に、飾り気のない本音に評価が傾いたようだ。
 冒険者に兵士。基本は体が資本の方々。
 本音をぶつけられたら、嫌が応にも体が反応するみたいだ。
 更に王様、あろう事か、集まった方々と同じ目線の位置に降り立ち、皆さんに歩み寄る。
 王様の歩く先では列が割れ、道が出来上がる。
 その中で、一人一人に頭を下げていき、手を握る。
 フランクな人は、王様の肩に手を当てて、「幸運を」なんて言ってたりもする。
 あり得ない事である。大陸のトップがもみくちゃにされるなんて……。

「本人も自覚していない特技だな」
 と、大公様。
 天然のひとたらしだ。
 裏表のない、純粋な感情で人々と接しているから、損得勘定で考えるひとたらしと違って、わざとらしさがなから、余計に人心を掴む事が出来る。
 王様、あるいみ最強のスキルだな。
 これで大軍が動いてくれるんだから。

「では、行こうか!!」
 集団の中央に立ち、大音声で伝えれば、負けじと大音声の波が生まれる。
 王様が動き出せば、集まってきた方々はその後に続く。

「いよいよか……」
 緊張してきた。

「緊張しているか?」

「不気味な笑顔ですね」

「最近は私に対して随分と生意気だな」
 うん。もう慣れましたよ、大公様。

「まずは顔合わせをしよう」
 いやいや行軍が始まったんだから、貴男も動きなさいよ。
 一部は歩きで南門と東門を目指し、一部は船に乗り運河を上り北門を目指す。
 船にはゲイアードさん達が乗り込むんだな。
 王様とケーシーさん、魔王さんも船。
 そこに冒険者さん達を中心にした集団も乗船するようだ。
 
 陸の移動は、不死王軍が中心となって、ンダガランさんが指揮する炎竜王軍。ちびっ子とキドさんの軍に、男爵様の軍がそれに続く。
 魔王軍を中心に編制された軍が徒での北伐か。魔王さんもそっちについていくのが筋だろうに。船が楽と考えたのかな?

「聞いておるのか」

「はい」
 まったく。なんだよ顔合わせって。
 
 ――。

 うむ。軽く挨拶したぶりですね。

「ピートさん。あらためて、お久しぶりだニャ」
 シナンさんが僕に飛びつこうと勢いよく走ってきている。しなやかな体にピンクの髪の毛は相変わらずだ。
 よし! 来い! と、僕は諸手を広げて、柔肌を合法的に堪能できるハグをしようとしたところで、
「ニ゛ャ!?」
 側面からはじき飛ばされて、シナンさんが勢いよく転がるも、そこは猫科の獣人ヴィルコラクだ。綺麗な受け身をとって直ぐに立ち上がる。

「抜け駆けすんなよ! 発情猫!」

「シャァァァァァァァ!」
 側撃を行ったのはアズナさん。
 体当たりを受けて、四足歩行のような姿勢で尻尾を毛羽立たせてから、アズナさんを睨む。

「ピート~ひさしぶり~」
 そんな視線を無視して、甘えた声で、今度は鳥人タンガタ・マヌのアズナさんが翼を羽ばたかせて僕に接近。
 胸の大きさはアズナさんに軍配が上がる。
 よし! 来い! 巨乳の柔らかさを合法的に堪能できるハグをしてあげよう。

「そこまでです」
 ドスのきいた声で僕たちの間に立ちふさがるのは――――、サージャスさん。
 睨む眼力に、強気なアズナさんの動きが止まる。

「ピート君。いつまで両手を広げてるのかな?」
 背後から凍てつく声のロールさん。
 ハグは挨拶なんです。と、反論しようとしたけど、振り向けば笑顔だけど笑っていないロールさんが立っていたので、僕は静かに広げていた諸手を下ろして小さくなる。
 
 なんでこんなに怖いんだよ……。ロールさんだけじゃなく、サージャスさんもさ。
 僕の事が好きなのかい? 好きなら好きって言ってよ。直ぐに明るい家族生活に繋げるように頑張るのに。
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