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王都潜入
PHASE-16
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「俺のを知って、それがどうした?」
「貴男のそれにボクが合わせた」
疑問符の連続だよ。
合わせたってなんだよ。
ここで取り残されたのは、僕たち素人の公務員。
他の皆さんは、ゴクリと生唾を飲んで、信じられないといった表情になっていた。
――――魔力稟賦は終生不変。指紋と同じで個人個人によって違う。
サージャスさんはそこから、兵仗の効果を探り、推測。
あえてグリーの魔法を食らったそうだ。躱すなと言われるまでもなく、避けるつもりはなかったそうだ。
渋面になったのは、卑怯なグリーに対してのもので、グリーの魔法自体には、まったく脅威を感じる事はなかったと、本人を前にして、侮辱する。
ただ、一発目の火球があまりにもしょっぱい威力だったので、これでは分かりづらいと、あえて挑発して、威力の高い、つまりは雷柱を受けて、グリーの魔力稟賦を体で覚えたそうだ。
覚えると、即座に自身の魔力をグリーのものに近づけて唱えてみれば、見事に発動。
魔力稟賦を推測し、推測を確信に導くために攻撃魔法を受け、稟賦を似せて実行すれば魔法を唱えられた。
推測を立証させる答えを導き出したのである。
相手の稟賦に似せる事は不可能ではないそうだが、魔法を一、二度受けるだけでどうこう出来るものじゃないと、サージャスさん以外の皆さん。敵味方関係なく揃って口にする。
絶妙な魔力コントロールを有して、魔術に造詣が深く、傾倒し、何十年も積み重ね、賢者と呼ばれる最上位の魔道師レベルじゃないと、到達できないとの事だ。
それを十代半ばの少女が容易くやってのけた――――。
「「「「天才かよ」」」」
結果、皆さんがサージャスさんに贈る内容は、天才の二文字を発する感嘆の声。
――――魔力コントロールが秀逸でないと不可能。
それを知れば、僕はそこまで驚く事はない。
何度も見ているからね。その才能を――――。
体に鎧のようにチャクラを纏う聖闘衣。
自身の潜在能力を出し切る事が可能になる反面、闘争本能が先行して見境のない攻撃を行う狂戦士。
その二つを複合させる才能。
聖闘衣に包まれる事により、自我を保ったままに狂戦士を使用可能にするという離れ業――――。
チャクラを纏い、更にその上に魔法を纏う離れ業。
違った種類の能力を織り交ぜるコントロール。それが可能なら、相手の魔力稟賦に合わせる事は、違った能力を同時にコントロールするよりも容易い。
――――だそうだ。
サージャスさん、自信を持って言い切った。
「「「「天才かよ」」」」
千五百年に一人の逸材ってホーリーさんが言ってたけども。最高の賛辞としては十分だね。
何十年もかけて賢者が到達する領域だろうが、たかだか何十年だ。
サージャスさんは千五百年に一人の逸材なんだからね。
何十年なんて、千五百年の前では大したもんじゃない。
「網羅――――」
ここからはずっと自分のターンとばかりに、サージャスさんが魔法を口に出せば、
「これはまずい……」
息も絶え絶えなミッシェルが青ざめる。
「詠唱破棄の大魔法」
垂れた目が驚き、細い目が見開き、戦く。
サージャスさんが口にした大魔法を脅威と感じているようだ。
――と、思っていたら。僕の体がほんのりとした黄色い光に包まれる。
僕だけじゃない。周囲の皆さんも一緒。グリー達、敵対している者たち以外は皆さんが光に包まれた。
「――――からの。全甲。魔風甲。超越力。風翼」
継いで口を開くサージャスさん。
「「「「天才かよ」」」」
全属性耐性。物理耐性。潜在能力向上に、飛翔魔法を連呼。
二王さんの所にバラクーダの面々は、サージャスさんがアクションを起こす度に同じ発言ばかりだけども、今回は僕も一緒に口を開いた。
大魔法、網羅の効果が即座に理解できたからだ。
この場の味方全員が光に包まれ、続いて発した各補助魔法が全て同時に僕たちの体に備わった。
僕たち素人が理解できるのは、体が宙に浮くのと、疲れが消え去った感覚。
玄人の方々は全てが体感できているようで、嬉々としている。
網羅って魔法は、対象になった存在全体に、唱えた魔法が共有される魔法みたいだ。
「貴男のそれにボクが合わせた」
疑問符の連続だよ。
合わせたってなんだよ。
ここで取り残されたのは、僕たち素人の公務員。
他の皆さんは、ゴクリと生唾を飲んで、信じられないといった表情になっていた。
――――魔力稟賦は終生不変。指紋と同じで個人個人によって違う。
サージャスさんはそこから、兵仗の効果を探り、推測。
あえてグリーの魔法を食らったそうだ。躱すなと言われるまでもなく、避けるつもりはなかったそうだ。
渋面になったのは、卑怯なグリーに対してのもので、グリーの魔法自体には、まったく脅威を感じる事はなかったと、本人を前にして、侮辱する。
ただ、一発目の火球があまりにもしょっぱい威力だったので、これでは分かりづらいと、あえて挑発して、威力の高い、つまりは雷柱を受けて、グリーの魔力稟賦を体で覚えたそうだ。
覚えると、即座に自身の魔力をグリーのものに近づけて唱えてみれば、見事に発動。
魔力稟賦を推測し、推測を確信に導くために攻撃魔法を受け、稟賦を似せて実行すれば魔法を唱えられた。
推測を立証させる答えを導き出したのである。
相手の稟賦に似せる事は不可能ではないそうだが、魔法を一、二度受けるだけでどうこう出来るものじゃないと、サージャスさん以外の皆さん。敵味方関係なく揃って口にする。
絶妙な魔力コントロールを有して、魔術に造詣が深く、傾倒し、何十年も積み重ね、賢者と呼ばれる最上位の魔道師レベルじゃないと、到達できないとの事だ。
それを十代半ばの少女が容易くやってのけた――――。
「「「「天才かよ」」」」
結果、皆さんがサージャスさんに贈る内容は、天才の二文字を発する感嘆の声。
――――魔力コントロールが秀逸でないと不可能。
それを知れば、僕はそこまで驚く事はない。
何度も見ているからね。その才能を――――。
体に鎧のようにチャクラを纏う聖闘衣。
自身の潜在能力を出し切る事が可能になる反面、闘争本能が先行して見境のない攻撃を行う狂戦士。
その二つを複合させる才能。
聖闘衣に包まれる事により、自我を保ったままに狂戦士を使用可能にするという離れ業――――。
チャクラを纏い、更にその上に魔法を纏う離れ業。
違った種類の能力を織り交ぜるコントロール。それが可能なら、相手の魔力稟賦に合わせる事は、違った能力を同時にコントロールするよりも容易い。
――――だそうだ。
サージャスさん、自信を持って言い切った。
「「「「天才かよ」」」」
千五百年に一人の逸材ってホーリーさんが言ってたけども。最高の賛辞としては十分だね。
何十年もかけて賢者が到達する領域だろうが、たかだか何十年だ。
サージャスさんは千五百年に一人の逸材なんだからね。
何十年なんて、千五百年の前では大したもんじゃない。
「網羅――――」
ここからはずっと自分のターンとばかりに、サージャスさんが魔法を口に出せば、
「これはまずい……」
息も絶え絶えなミッシェルが青ざめる。
「詠唱破棄の大魔法」
垂れた目が驚き、細い目が見開き、戦く。
サージャスさんが口にした大魔法を脅威と感じているようだ。
――と、思っていたら。僕の体がほんのりとした黄色い光に包まれる。
僕だけじゃない。周囲の皆さんも一緒。グリー達、敵対している者たち以外は皆さんが光に包まれた。
「――――からの。全甲。魔風甲。超越力。風翼」
継いで口を開くサージャスさん。
「「「「天才かよ」」」」
全属性耐性。物理耐性。潜在能力向上に、飛翔魔法を連呼。
二王さんの所にバラクーダの面々は、サージャスさんがアクションを起こす度に同じ発言ばかりだけども、今回は僕も一緒に口を開いた。
大魔法、網羅の効果が即座に理解できたからだ。
この場の味方全員が光に包まれ、続いて発した各補助魔法が全て同時に僕たちの体に備わった。
僕たち素人が理解できるのは、体が宙に浮くのと、疲れが消え去った感覚。
玄人の方々は全てが体感できているようで、嬉々としている。
網羅って魔法は、対象になった存在全体に、唱えた魔法が共有される魔法みたいだ。
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