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レコンキスタ
PHASE-08
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進行をやめる事をせず、ひたすら前に進む黒い波。
盾によって前進を防がれて、歩みが遅くなろうとも、後方も歩みをやめない事で、先頭に追い被さるようになりながらも侵入しようとする。
密集していく様は、さざ波が大波に変わるかのようであった。
流石に急ごしらえの盾の壁では、密集した朽無しの体の重さに絶えきれず、一部分が倒れた。
倒れれば、出来た道に流れ込んでくる朽無しの体。
「なるほど、通常の亡者と違い、障害物は無視できないのか。――――ならば、力押しよ!」
じっくりと考える事も出来ないこの状況ならば、シンプルな行動が一番と判断するラゼン。
我こそはと思う力自慢を前へと招集させる。
「盾を前に出せ」
このラゼンの発言に、何をするのかおおよそ理解できた怪力自慢たちは、
「隙間作るな! 足並み揃えて突進するぞ」
と、一人が言えば、それに力強い声で呼応する。
壁に使用していたのと同様のスクトゥムを手にして、欄干から反対側の欄干まで、屈強な冒険者たちが横隊を敷く。
その後方にも補助役として、盾持ちよりは細身だが、力自慢が待機。
「よし! 進め」
ラゼンの指揮により、屈強な男達が咆哮しながら突進。
急ごしらえでありながら、横隊は足並みを乱す事なく、正確に素早く前へと進んでいく。
「我々も遅れてはならん」
シラクサが剣を振り、駆け出せば、王を先に行かせる事は出来ないと、兵たちと残りの冒険者も走り出す。
「何をしたいのやら……」
「呆れてやるなヘイター。あれしか手がないのだろう。力で押し返すというシンプルな方法だ」
「数はこっちが少ないからね~」
本来なら私兵たちを全て朽無しの体へとしようと考えていたが、反撃もほどほどに、逃げに転ずる腰抜けばかりだったのと、思いの外、逃げ果せるのは得意だったことで、全てを朽無しの体に変化させる機会を逸した。
シラクサ側が戦いを挑み、さらなる混乱を起こさせて、そこに付け込んで朽無しの体にしていくというのも策の内だったのだが、あろう事か、命を助けるだけでなく、運河に飛び込んで逃げる提案までしたのだから、あますぎると、兄であるゲイアードを侮辱する。
また、ゲイアードが言ったように、運河に飛び込んだ者たちは、大海蛇によって救われているのも視界に入る。
「やれやれ……」
劣等である者たちにすら救いの手を伸ばす。
まったくもって、ヘイターにとっては理解の外の行動であり、見ているだけで、救う方も救われる方も情けなく見えてくる。
腹立たしかったからか、大海蛇に右手。左手を盾で横隊を敷く冒険者たちへと向け、両掌が禍々しい光りを帯びる。
魔法を放とうとしたところで、
「とう!」
快活のよい声が頭上から耳朶に届く。
橋の、しかもタレットとタレットをつなぐ通路。橋で一番高い位置にいるのに、更にそれより上から声が聞こえる。
誰だと目をやると、瞬時に腕でガード。
「痛いな!」
ヘイターの腕に蹴りが入った。
「なんでいるのかな? 王都とその周辺は戒律の乙女の支配権内なのに」
「ふふふ――――。驚いたかな」
「驚くよ」
強気な口調に、明るさのある声。
ポニーテールにした薄色の金の髪。膝裏まで伸びたその髪を得意げにゆらしている。
タンカラーのインバネスコートに似た服。
「リューディア・ベイラート・キルヴェスニエミ。見参!」
恰好をつけているようで、ポージングのまま、通路の欄干に立つ。
「あ……うん……」
「あれ!? 格好よかったでしょ。私」
暑苦しいのか、ヘイターは若干引き気味である。
側に立つヘルムはあっけにとられている。
「登場なんてどうでもいい。なんでいるの?」
「それは私がスペシャルだから」
「答えになっていない」
「日々、成長してるんだよ」
「死者が成長? 訳が分からないな」
ゲイアードの魔力で現世にいるはずの存在が、魔力遮断の戒律の乙女の効果がおよぶ場に普通にいる。
それに得心がいかないヘイター。
盾によって前進を防がれて、歩みが遅くなろうとも、後方も歩みをやめない事で、先頭に追い被さるようになりながらも侵入しようとする。
密集していく様は、さざ波が大波に変わるかのようであった。
流石に急ごしらえの盾の壁では、密集した朽無しの体の重さに絶えきれず、一部分が倒れた。
倒れれば、出来た道に流れ込んでくる朽無しの体。
「なるほど、通常の亡者と違い、障害物は無視できないのか。――――ならば、力押しよ!」
じっくりと考える事も出来ないこの状況ならば、シンプルな行動が一番と判断するラゼン。
我こそはと思う力自慢を前へと招集させる。
「盾を前に出せ」
このラゼンの発言に、何をするのかおおよそ理解できた怪力自慢たちは、
「隙間作るな! 足並み揃えて突進するぞ」
と、一人が言えば、それに力強い声で呼応する。
壁に使用していたのと同様のスクトゥムを手にして、欄干から反対側の欄干まで、屈強な冒険者たちが横隊を敷く。
その後方にも補助役として、盾持ちよりは細身だが、力自慢が待機。
「よし! 進め」
ラゼンの指揮により、屈強な男達が咆哮しながら突進。
急ごしらえでありながら、横隊は足並みを乱す事なく、正確に素早く前へと進んでいく。
「我々も遅れてはならん」
シラクサが剣を振り、駆け出せば、王を先に行かせる事は出来ないと、兵たちと残りの冒険者も走り出す。
「何をしたいのやら……」
「呆れてやるなヘイター。あれしか手がないのだろう。力で押し返すというシンプルな方法だ」
「数はこっちが少ないからね~」
本来なら私兵たちを全て朽無しの体へとしようと考えていたが、反撃もほどほどに、逃げに転ずる腰抜けばかりだったのと、思いの外、逃げ果せるのは得意だったことで、全てを朽無しの体に変化させる機会を逸した。
シラクサ側が戦いを挑み、さらなる混乱を起こさせて、そこに付け込んで朽無しの体にしていくというのも策の内だったのだが、あろう事か、命を助けるだけでなく、運河に飛び込んで逃げる提案までしたのだから、あますぎると、兄であるゲイアードを侮辱する。
また、ゲイアードが言ったように、運河に飛び込んだ者たちは、大海蛇によって救われているのも視界に入る。
「やれやれ……」
劣等である者たちにすら救いの手を伸ばす。
まったくもって、ヘイターにとっては理解の外の行動であり、見ているだけで、救う方も救われる方も情けなく見えてくる。
腹立たしかったからか、大海蛇に右手。左手を盾で横隊を敷く冒険者たちへと向け、両掌が禍々しい光りを帯びる。
魔法を放とうとしたところで、
「とう!」
快活のよい声が頭上から耳朶に届く。
橋の、しかもタレットとタレットをつなぐ通路。橋で一番高い位置にいるのに、更にそれより上から声が聞こえる。
誰だと目をやると、瞬時に腕でガード。
「痛いな!」
ヘイターの腕に蹴りが入った。
「なんでいるのかな? 王都とその周辺は戒律の乙女の支配権内なのに」
「ふふふ――――。驚いたかな」
「驚くよ」
強気な口調に、明るさのある声。
ポニーテールにした薄色の金の髪。膝裏まで伸びたその髪を得意げにゆらしている。
タンカラーのインバネスコートに似た服。
「リューディア・ベイラート・キルヴェスニエミ。見参!」
恰好をつけているようで、ポージングのまま、通路の欄干に立つ。
「あ……うん……」
「あれ!? 格好よかったでしょ。私」
暑苦しいのか、ヘイターは若干引き気味である。
側に立つヘルムはあっけにとられている。
「登場なんてどうでもいい。なんでいるの?」
「それは私がスペシャルだから」
「答えになっていない」
「日々、成長してるんだよ」
「死者が成長? 訳が分からないな」
ゲイアードの魔力で現世にいるはずの存在が、魔力遮断の戒律の乙女の効果がおよぶ場に普通にいる。
それに得心がいかないヘイター。
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