拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

文字の大きさ
519 / 604
レコンキスタ

PHASE-32

しおりを挟む
 となれば、ここは――――、
「どうでもいいけど、銃を撃つ練習はしてんのか?」
「いや」
「だろうね。弾もそれに装填してる分だけだし。なにより構えがなっちゃいない。引き付け、頬付け、肩付けがしっかりしてないと、命中もしなければ、肩も外れますよ」
「ぬ!」
「ぬ! じゃねえよ。そもそも安全装置が外れていない。それじゃあ引き金は引けないさ」
「なに!?」
「――――アマチュアめ」
 騙されおって、隙だらけだよ。
 そんなに広くないこの部屋。台座の高さを利用してから――――、
「そいや!」

「い゛がっ!」
 決まった――――。綺麗に顔面に僕の靴底が直撃だ。
 足場の悪い床を転がる。
 ここまで綺麗に跳び蹴りが決まるとは。冒険者として、格闘家にでも転職しようかな。

「おのれ、狩られる側が生意気な!」
 あ、以外と浅かったか。

「今次においては、顔面は厄災なようで」
 ロールさんと、多分リューディアさん。そして、僕。三度も痛い思いをしている。
 でも、銃は放さなかったか。
 だが――――、
「逆転ですね」
 エングレーブが派手な銃にて狙いを定める。

「ここで終わりですよ。銃を置いてください。ググタムさんに返すので」

「生意気な!」
 あ、それはずるい。
 くそ、気を失ってたはずなのに、ダイアンの部下の一人が起きてるじゃないか。
 流石に攻撃用の魔弾を受けた一人は、完全にダウンしてるみたいだけど。

「ご無事で?」

「構わん。あの男を捕らえるのだ」

「なめんな!」
 ダァァァン。
 うん。向こうが構えて迫る準備をさせないうちに、ヘルムを心配しているところを撃ち、再び倒れていただく。
 戦いは速さだ!

「なんと卑怯な!」

「こっちは後ろに、守らなければいけない方がいるんだよ! 卑怯とかしらないね! カグラさんを苦しめた奴らになら、何でも行使できるね!」

「ピート殿」
 背後から呼ばれる僕の名前。
 声音はなんとも安心しているといったもの。
 これは本当に有るんじゃないんでしょうか。炎竜王とのラブロマンス。
 それを考えれば、俄然やる気も出て来るってもんだ。

「大人しく狩られるがいい!」
 起き上がり、再び僕に銃口を向けてくる。

「なんの!」
 こっちは装填してなくても、このテンションの高さは、恐れを忘れさせる。
 恐れを忘れさせてもらえるから、冷静に考えることも出来る。
 なので、地形を活かすための知恵に結びつく。
 これが戦いで鼓舞されて、勢いが付くというものか。
 
 この戦場において、もっとも低レベルな戦いにも幕が下りそうだ――――。
 床に張り巡らされた管を強く引っ張る。
 引っ張るのはヘルムの足元の管だ!

「ぬお!?」
 素っ頓狂な声と共に倒れ込む。

「真のハンターは、まず足元を確認する。ってね。間違えないでいただきたい。僕が狩る方なんですよ!」
 ここで装填。

「ええい!」
 今度は手から離れたようで、銃を床に置いたまま逃げ出した。

「あ、逃げんな!」
 後を追ってドアを飛び出せば……、
「あ、どうも……」
 外では、ラゴット勢がスタンバイしていた。
 なんだよ。いんのかよ! 
 そうだよな、このおっさんが一人でここに来るわけがない。
 僕が一人と分かってるから、余裕こいて一人で来たんだろうけども、ピンチになればこれだよ。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...