拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

文字の大きさ
528 / 604
レコンキスタ

PHASE-41

しおりを挟む
「遅れました!」
 耳が壊れる! どんだけ大きいのさ!
 同じ思いだったようで、魔王さんが蹴りを入れる。
 ――――声の主である、不死王さんに。

「いや~パンゲア様がおられなかったら、流石に危なかったよ」
 ちびっ子がそう言いつつ、両手をポケットに突っ込んだまま登場。何となく生意気である。
 反面、キドさんが凛とした姿勢で後に続く。

「揃うたの」
 魔王軍の幹部が出そろった模様。
 魔王さんの前に並べば、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデを見上げる。

「カグラ様!」
 声を震わせての大音声は、ンダガランさん。
 主が囚われてからというもの、不安な日々を過ごし。その不安からようやく解放され。主の無事な姿に大粒の涙を流している。

「心配をかけた。息災で何より」

「いえ、我々が不甲斐ないばかりに……」

「だとしても、主の責任だ」
 うむ、素晴らしい責任者の姿。
 整備長にも見習ってほしいよ。現在、遙か彼方の隅っこにて、一服を楽しんでるけども……!
 ――――話が、僕がカグラさんを救い出したという内容になれば、ンダガランさんをはじめ、炎竜王軍の皆さんから深々と頭を下げられた。
 エルンさんとンダガランさんの戦闘処理後、僕を嘲笑して去っていった、黒い炎を纏ったヘルハウンドさんまでもが、体を伏せて、感謝を表していた。

「反撃しましょう。倍返しで」
 涙目だったンダガランさん。
 涙を拭き取れば、炯眼へと変えて、映像に映るヘルムを睨む。

「我らが神よ」
 お! 最高神祇官のグラドさんも到着。後ろにはハッタさんもいる。
 で――――、
「お待たせしました。このナーガ・ルジャ・ヌラルキア、先駆けとして、真っ先に主の元へと馳せ参じました」
 僕を殴った甲鎧王のお出ましだ。金ぴかな鎧は相変わらずか。

「何を言いますかな? ナーガ殿。私が先にお声をかけましたよ」
 グラドさんが異議を唱えれば、そこからは、いや自分が先に到着した! という、どうでもいい内容の言い争いを始めた。

「うるさいぞ。恥ずかしい」

「いやいや、主がアレだからの~。当然といえば当然よ。下の者も残念なのばかり。ああ恥ずかしい」
 グサリと、兄に対して妹様がこき下ろす。

『まったく。壮観なるそろい踏みだというのに、まとまりがないな。見てるこちらが恥ずかしいよ。低脳な兄妹神』

「「なにを!」」
 流石は兄妹、声はシンクロするんだな。

「はい、まとまってください。このままじゃあ、反撃に遅延が生まれます。こうしている間にも、前線では頑張ってる方々が多くおられます。その方々の努力を無駄にしないでください」
 場を締めるように僕が発すれば、魔王さんの所は頷いて返すけど、邪神が耳を貸そうとしない。
 でも、そこはロールさんが上手い具合に諭してくれるので助かる。
 現状、ここで場を仕切っているのは、敵も味方も公務員だっていうね……。
 素人です! 素人が仕切ってます!

『さて、そろい踏みという事は、まとめて屠れるという好機。一気にいこうじゃないか』
「その余裕な鼻っ面に、僕が拳を見舞ってやりますよ」
『出来ないことは言わないように。恥をかくことになる』
「それはお前だよヘルム。ここの方々が、お前に劣るって事はない。まとめて倒せるとか、出来ないことを言うなよ。恥をかくぞ」
『減らず口ばかりだね。ウィザースプーン君は』
 言われて、不快な顔をしてる時点で、舌戦はこっちが勝ってると思うけどな。

「魔王幹部はサージャスを掩護してやれ」
 魔王さんの下知に、眼前の巨神に構えれば、狙っていたかのような時宜で前線から馳せ参じ、グライフ君から飛び降りると、幹部の皆さんの中心に、願望破壊の乙女ラーズグリーズを手にしたサージャスさん。
 様になる勇者様である。

『格好のいいことだ。軍馬グラーネ
 捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの横に並ぼうとする、もう一体の巨神。
 こちらはゆったりとした歩みで接近してくる。
 その下にいた皆さんは、敵味方問わずに即避難。場所を変えて剣戟を再開。

「カグラ」
 名を魔王さんが呼べば、委細承知とばかりに大きく頷くと、
「ブラッドシップ」

「はっ」
 上空から現れるのは、巨石記念物メンヒルのような、巨大な一本角が頭にある、小城サイズのドラゴン。
 僕が王都に住み始めてすぐに、巨体と深紅の翼で、陽を遮り、王都を影で包み、羽ばたきで暴風を発生させ、恐怖を与えてきた存在。
 別名、空飛ぶ移動要塞フライングフォートレスでお馴染みのブラッドシップさんである。
 
 着地と同時に軍馬グラーネを踏みつけると、前脚で掴んで投げた。
 
 衝撃と風で、一帯が大荒れだ。だが、驚きはしない。
 ヴィン海域でも鍛えられたし、そもそも、さっきからそんな状況ばかり。
 いい加減、慣れるってもんだ。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...