拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-41

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「遅れました!」
 耳が壊れる! どんだけ大きいのさ!
 同じ思いだったようで、魔王さんが蹴りを入れる。
 ――――声の主である、不死王さんに。

「いや~パンゲア様がおられなかったら、流石に危なかったよ」
 ちびっ子がそう言いつつ、両手をポケットに突っ込んだまま登場。何となく生意気である。
 反面、キドさんが凛とした姿勢で後に続く。

「揃うたの」
 魔王軍の幹部が出そろった模様。
 魔王さんの前に並べば、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデを見上げる。

「カグラ様!」
 声を震わせての大音声は、ンダガランさん。
 主が囚われてからというもの、不安な日々を過ごし。その不安からようやく解放され。主の無事な姿に大粒の涙を流している。

「心配をかけた。息災で何より」

「いえ、我々が不甲斐ないばかりに……」

「だとしても、主の責任だ」
 うむ、素晴らしい責任者の姿。
 整備長にも見習ってほしいよ。現在、遙か彼方の隅っこにて、一服を楽しんでるけども……!
 ――――話が、僕がカグラさんを救い出したという内容になれば、ンダガランさんをはじめ、炎竜王軍の皆さんから深々と頭を下げられた。
 エルンさんとンダガランさんの戦闘処理後、僕を嘲笑して去っていった、黒い炎を纏ったヘルハウンドさんまでもが、体を伏せて、感謝を表していた。

「反撃しましょう。倍返しで」
 涙目だったンダガランさん。
 涙を拭き取れば、炯眼へと変えて、映像に映るヘルムを睨む。

「我らが神よ」
 お! 最高神祇官のグラドさんも到着。後ろにはハッタさんもいる。
 で――――、
「お待たせしました。このナーガ・ルジャ・ヌラルキア、先駆けとして、真っ先に主の元へと馳せ参じました」
 僕を殴った甲鎧王のお出ましだ。金ぴかな鎧は相変わらずか。

「何を言いますかな? ナーガ殿。私が先にお声をかけましたよ」
 グラドさんが異議を唱えれば、そこからは、いや自分が先に到着した! という、どうでもいい内容の言い争いを始めた。

「うるさいぞ。恥ずかしい」

「いやいや、主がアレだからの~。当然といえば当然よ。下の者も残念なのばかり。ああ恥ずかしい」
 グサリと、兄に対して妹様がこき下ろす。

『まったく。壮観なるそろい踏みだというのに、まとまりがないな。見てるこちらが恥ずかしいよ。低脳な兄妹神』

「「なにを!」」
 流石は兄妹、声はシンクロするんだな。

「はい、まとまってください。このままじゃあ、反撃に遅延が生まれます。こうしている間にも、前線では頑張ってる方々が多くおられます。その方々の努力を無駄にしないでください」
 場を締めるように僕が発すれば、魔王さんの所は頷いて返すけど、邪神が耳を貸そうとしない。
 でも、そこはロールさんが上手い具合に諭してくれるので助かる。
 現状、ここで場を仕切っているのは、敵も味方も公務員だっていうね……。
 素人です! 素人が仕切ってます!

『さて、そろい踏みという事は、まとめて屠れるという好機。一気にいこうじゃないか』
「その余裕な鼻っ面に、僕が拳を見舞ってやりますよ」
『出来ないことは言わないように。恥をかくことになる』
「それはお前だよヘルム。ここの方々が、お前に劣るって事はない。まとめて倒せるとか、出来ないことを言うなよ。恥をかくぞ」
『減らず口ばかりだね。ウィザースプーン君は』
 言われて、不快な顔をしてる時点で、舌戦はこっちが勝ってると思うけどな。

「魔王幹部はサージャスを掩護してやれ」
 魔王さんの下知に、眼前の巨神に構えれば、狙っていたかのような時宜で前線から馳せ参じ、グライフ君から飛び降りると、幹部の皆さんの中心に、願望破壊の乙女ラーズグリーズを手にしたサージャスさん。
 様になる勇者様である。

『格好のいいことだ。軍馬グラーネ
 捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの横に並ぼうとする、もう一体の巨神。
 こちらはゆったりとした歩みで接近してくる。
 その下にいた皆さんは、敵味方問わずに即避難。場所を変えて剣戟を再開。

「カグラ」
 名を魔王さんが呼べば、委細承知とばかりに大きく頷くと、
「ブラッドシップ」

「はっ」
 上空から現れるのは、巨石記念物メンヒルのような、巨大な一本角が頭にある、小城サイズのドラゴン。
 僕が王都に住み始めてすぐに、巨体と深紅の翼で、陽を遮り、王都を影で包み、羽ばたきで暴風を発生させ、恐怖を与えてきた存在。
 別名、空飛ぶ移動要塞フライングフォートレスでお馴染みのブラッドシップさんである。
 
 着地と同時に軍馬グラーネを踏みつけると、前脚で掴んで投げた。
 
 衝撃と風で、一帯が大荒れだ。だが、驚きはしない。
 ヴィン海域でも鍛えられたし、そもそも、さっきからそんな状況ばかり。
 いい加減、慣れるってもんだ。
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