拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-42

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「頼むぞ」

「御意」
 淡々と返すブラッドシップさん。そのまま投げた方へと飛翔する。それだけで大嵐のような風が生まれる。
 
『たった一体では時間稼ぎにもならんぞ』

「私の部下をなめないでもらおう。敵を心配するより、ご自身を心配するべきだ」
 体に炎を纏わせて、ゆっくりと宙へと浮き、眼前の巨神に対して、右の食指を地から空に向ければ、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデが炎に呑まれる。
 指を動かすだけで、城並の大きさである存在を炎で丸呑み。
 弱っているはずなのに、こんな芸当が出来るんだからね。これぞ炎竜王の実力。

『無駄だ』

「理解している」
 効いてないし、効かないことも分かってるんだ……。

『では何がしたいのか』

「私たちが行う事は、ひたすらに、願望破壊の乙女ラーズグリーズを手にした者を補助すること」

「そういう事。勇者としてはまだまだみたいだけど、それを持つんだから、活躍して見せなさい」
 シズクさんはそう言って、カグラさんに続く。

「いこうか」

「ああ」
 ちびっ子と、キドさんも動き出し、
「お願いします」
 大公様の一礼。

「任されよ」
 力強く返す不死王さん。

「我も行くか」

「お供します」

「鬱陶しい。男がついてくるな!」
 邪神と、蹴り飛ばされながらも、主について行く甲鎧王。
 
 最後に、自分の手にした槍を眺めて、
「何とかして見せます!」
 僕たちにそう言って、再び捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデと対峙するサージャスさん。

「お願いします」
 背中に向かって言うだけだった僕。

『せっかくやる気になっているところ申し訳ないが、烏合の衆で来られたところで――――だ』

「来るぞ! 気をつけよ」
 ヘルムに続いて、魔王さんが警戒喚起。
 捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの腰回りの装甲数カ所が、扉のように開けば、そこから飛び出してくるのは、人と同じくらいのサイズをした白亜のゴーレム。
 姿は、細身の方が装備する甲冑姿のようなデザイン。

「いっぱいいますよ、ざっと二十くらい」

『いい目だウィザースプーン君。正解は二十五だ。フサルクという』
 あんたには聞いてないんだけどな。

 捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデは巨大。接近されれば死角に入られやすい。
 その死角をカバーするのが、軍馬グラーネに続いて、これまた補助用ゴーレムであるフサルク。
 二十五体からなる捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの守り手。

「あれが起動するとなると、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデに魔力が行き届いている証拠。本当に大気中の魔力で完全に可動させたか……」

「おう、最悪ですね。ちなみにあのフサルクってゴーレムは強いんですか?」

「うむ、サージャスが二十五人いると思えばいい」
 ――……サージャスさんが二十五人とか……。
 だがしかし、こちらには魔王軍の幹部の方々がおられる。

「邪魔」
 と、そっけなく口にして、シズクさんが一体のフサルクを氷漬け。
 ほら、結構楽勝だよ。
 凍らせたところを甲鎧王が横取りで粉々にしたのを目にしたシズクさんは、ご立腹だけども……。

「これなら問題なさそうですね」

「いや」
 首を左右に振る魔王さん。
 首を振る所作を体現するかのように、粉々になったフサルクが、光の粒子となり、それらが集まると、元通りになった。

捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデが健在なかぎり、フサルクは何度でも復元する」

「まったく! 面倒なものを作りましたね!!」
 迷惑この上ないよ!

「面倒ではあるが、我らが相手をしている間に、前へと進むのだ」
 不死王さん、迫るフサルクを豪腕で殴り飛ばしつつ、サージャスさんを掩護。
 その他の方々も、サージャスさんを前に進めるために、自らを盾へと変えていく。

『まったく。面倒だね』
 捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデが軽快に動き、サージャスさんを狙う。

『兵仗の持ち手であろうとも、私の捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデに敗北を与えることは出来ない』
 巨体とは思えないフットワークで、サージャスさんの後方をとると、拳を放つ。
 ――――でも、サージャスさんまでは届かない。
 邪神が魔法陣にて守ってくれる。
 ヘルムの舌打ちが聞こえる。

『近づけるな!』
 フサルク達が一斉にサージャスさんだけを狙い出す。
 そう、フサルク達だけ。
 流石に魔王軍幹部と、邪神が相手となると、ラゴット勢は及び腰、攻め入ることが出来ずにいた。
 一人を除いて――――。
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