拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-58

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 雷の柱は一点集中のものであるのに、衝撃によって地面だけでなく、遠く離れた山々に歪みを生じさせ、この世の終わりを悟ったかのように、山々からは生き物たちが気が狂ったかのように逃げ回る。

「フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオ」
 邪神の咆哮。
 山々から逃げ出す生き物たちより気が狂ったかのような咆哮だった。

「もし、そんな言葉をあの時にも言ってもらえたなら、我は妹のためだけの世界を造りだしたというものだ」
 疎まれていた実妹からのお兄ちゃん発言はたまらないくらいに嬉しいのか、身を震わせて、自分の体を抱きしめるかのような仕草を行いながら、恍惚とした表情を浮かべる。
 それを見せられる魔王を始めとする、カグラ、シズクたち、邪神を太古より知る女性陣は、頭内で気持ち悪いと呟いたが、声に出すとまた落ち込みそうなので、ぐっと堪えるのであった。

 ――――雷が終息すれば、そこからは二射目を中断させられた捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデが――――、
「「「「おお!」」」」
 片膝をついているような姿で光の中から現れた。
 目にする王軍のトップ達が感嘆の声を上げる。

「如何に我の力を弱らせる力が兵仗にあろうとも、本気になればこんなものよ」

「ちっ」
 なめたことを言うとばかりに、魔王が眉間に皺を寄せる。
 調子に乗るところが悪いところ。それが原因で自分と衝突した歴史があるという事を忘れているのかと、ご立腹な魔王。

『おのれ!』
 つと起き上がると同時に、邪神を巨大な拳で捕捉すれば、ガード用の魔法陣ごと吹き飛ばし、地面に叩き付けると、そこから乱打を見舞うヘルム。

『調子に乗るな』

「まったくじゃ」
 直撃を受けている兄の姿を笑んで見る魔王。
 その笑みに対して、蹲踞の姿勢になり、不良のような所作で睨むピート。
 すぐに視線を明後日の方向に向ける魔王。
 ピートと魔王の上下関係が、完全に構築された時であった。

「調子になど乗っていない。これは余裕と言うのだ」
 拳をかいくぐり飛び立てば、お兄ちゃん発言が今も尚、邪神のテンションを上げているようで、腕を交差させつつS字風に体をくねらせたポージングを行い、全力で格好をつけているご様子。

『なめるな』
 空中でポージングを行い、静止状態の邪神に魔力粒子砲を放てば、
我だけを見ろワン・アンド・オンリー
 と、ただの右ストレートによって、魔力粒子砲を受け止めるだけでなく、殴った部分から割いていく。

「やれば出来るじゃないか。邪神」
 とりあえず世の美人を集めて、お兄ちゃん発言させれば、この邪神はそれだけで全ての脅威をこの世から取り除いてくれるのでは、と思ってしまうピート。

「大詰めよ。愚かなる老いし土塊よ。周りを見るがいい、貴様に力は残っていない」
『なめないでもらおう。捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデがある以上。我らに負けはない』
「愚かな」
『愚かな存在である神には言われたくもないな!』
 全ての元凶になった者にだけは言われる事だけは許せないと、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの全射撃兵装を邪神へと向け、放つ。
 全体から放たれるそれを防ぎきれず直撃に見舞われた。

「きかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
 明らかにダメージがあるのは見て取れるが、本人は効果なしと強気だ。
 よほど嬉しかったのだろう、実妹からのお兄ちゃん発言が……。

『ぬぅ』
 その姿にヘルムは気圧される。
 指導者とはいえ、戦闘は素人である。戦場の圧というのに呑まれれば追い込まれてしまうだろう。

「なんの! ヘルム殿、まだまだですよ」
 ここで、声が快活なアルコンが登場。
 ケーシーとの戦いが激しいというのが、首回りの羊毛の傷み具合と、白い鎧のよごれで窺える。

「しつこいな」

「お前が言うな! ちょろちょろと」
 姿が消えたと思ったら現れ、ちまちまとアルコンを攻め立てていたようで、肉体よりも、精神を削ってくるケーシーの戦法に、アルコンは怒りが頂点に達しようとしていた。
 
 とにかく、いまだ自分たちは健在というのをヘルムに見せる事で、壮年の勇者は指導者を励まそうとしている。
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