拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-66

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 それでは届かないと、リューディアが捌き、体勢を崩させれば、そこにゲイアードの拳が腹部に直撃する。

「うぅぅ……」
 二度目のくの字にさせられる屈辱。
 苦痛に耐えつつ、すり足で後退り。

「打たれ弱いな」
 発言に対して、睨むことしか出来ないヘイター。

「すぐに楽にしてやる」

「はは、まるでやられ役の台詞だね。そんな事を口にすると、死んじゃうよ」
 呼吸を整え口がきけるようになれば、同時に不敵に口角も上げる。

「無駄」
 何を仕掛けてくるか理解していると、背後に現出する魔法陣から現れた亡者を光を纏った手刀で葬る。

「もう打ち止めか」

「冗談! まだま――――!?」
 膝をつき倒れれば、苦しみだすヘイター。

「ルネア!」
 限界がきたのだと、リューディアが傍らへと赴こうとすれば、
「なめるな!」
 震えながらも立ち上がり、
「慈悲なんかいらないね。優しさもいらない。そんなものはもっと早く欲しかったよ」

「勝手な! 皆そうしてきた、お前が受け入れなかったんだよ! いい加減そこを理解しろ」

「兄さんが僕より目立つのがいけないのさ」
 子供の発言。全てをゲイアードが原因として非難する。
 平然と言い切る弟の発言に、情けないと言葉を詰まらせてしまった。

「――――これでとどめだ」
 言葉を詰まらせた後、一つ呼気を行い発言すれば、目を鋭くし、ヘイターへと向かって、ゆったりとした足取りで進むゲイアード。

「出来るのかな?」

「もう、お前は限界だよ。いや、とっくに限界を迎えてたんだろうがな。よくここまで耐えたものだ」
 手にパリパリと音をたて、雷を纏わせ、ヘイターへと狙いを定めるように、纏った手を向ける。

『もどれヘイター』
 何とかして彼を救い出そうと、ヘルムが動く。

「行かせん」
 邪神が妨げれば、
『邪魔だぁぁぁぁぁぁぁ!』
 発狂に近い叫びで振り払おうとするが、それよりも早く、ゲイアードが動いた。

「来い!」
 力ない声ながら、振り絞るヘイターは、ナイフを手にして迎え撃つ。
 余裕を見せたいのか、口角を上げたまま崩す事はしない――――。

「シッ」
 息を漏らし、高速の刺突で、迫るゲイアードの眉間を狙う。
 正確な一撃。並の者なら容易く眉間を貫かれる程の鋭さであった。
 先ほどまで地に伏せていた者が放ったとは思えない刺突。執念がそうさせた。
 
 しかし、それすらもゲイアードには届かない。

「眠れ」
 雷を纏う手刀がヘイターの体を貫く。

「まだ!」
 突き刺さる腕に対し、自ら一歩進む。
 背から突き出るゲイアードの腕は、最初は前腕部分だけであったが、ヘイターが踏みしだきながら足を前に出せば、上腕が背より現れる。
 深く刺さりながらも気にも留めず、頭を振り上げ、ヘイターは頭突きを見舞う。
 ――――ゴスンと、鈍い音が一帯に響いた。
 執念の刃は届かないも、捨て身の一撃は届いた。

 額と額が触れ、琥珀色の瞳が見つめ合う。
 額に衝撃が走り、衝撃部分から流血をしても、ゲイアードの表情は変わらない。
 対して、ヘイターの表情はみるみる青ざめていく。
 兄と違い、額からの流血は見受けられないが、口からはつぅぅぅっと血が流れ始める。

「しびれるね……。体の芯から……。でも、やった……僕の生身の一撃がようやく届いた……」
 ヘイターの体からは電流が迸り、白煙がプスプスと上がる。
 体の内部から焼かれるような苦痛に襲われていた。
 だが、それ以上に、届いた一撃に柔和な表情になる。
 
 継いで――――、
「まったく……死霊魔術師ネクロマンサーなのに、死霊魔術ネクロマンシーじゃない、ただの魔法を纏った突きとか……だっさ……」

「ナイフだけの突きよりましだろ」

「そりゃそうだ……」
 空笑いしつつ、一撃に満足したのか、ヘイターは事切れたように崩れ落ち、地に伏す。
 腕が抜けた箇所からは、大量の血液が流れ、ヘイターは自らの血だまりの中に浸かる……。
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