565 / 604
レコンキスタ
PHASE-78
しおりを挟む
「屈辱だな」
太古に実妹と、その力の恩恵を受けた者たちとの戦い以来の歯がゆさを経験する。
そして、こめかみ付近に流れる感触を肌で感じる。
腕にて拭えば――――、鮮血。
これもまた屈辱。神が土塊と馬鹿にする存在の攻撃の行使による流血。
「おのれ!」
一足飛びで捷利嚮導の乙女まで戻れば、
『ほう、神も血は赤いのだな』
「当然であろう。貴様ら土塊は、神を元に戯れで作られた存在。血の色を同じ色にしてやっただけでも感謝し、地に額をつけるべきなのだが――――」
途中で言葉を止めると、長い呼気を行い、
「――にもかかわらず、土塊がこの我に血を流させるとわ! 度し難し!!」
大層ご立腹なようで、髪の色と同色の雷を複数降り注がせる。
「こわ! 僕のが霞むじゃないか」
眼前の破壊力抜群の雷に、風雷王の雷の字を返上しないといけないとすら思わされるテト。
『虚勢をはっているようだが、意味が無い』
「だまれ、サージャスといったな。対応せよ」
――――しじまが訪れる。
『ハハハハ、これは傑作。怒り心頭なのに、ここで人任せとは。確かに神などと呼ばれる存在は、いつも見ているだけ。力を貸し与えるが、自らは行動をしない。なのに下々の者たちを救ってやったと、自己満足に浸るだけを生きがいとしている。些末な存在だというのがよく分かる』
「なめるな! 我は自ら動き、この世界を治めようとしたわ!」
『貴様は見守る事を知るべきだったな』
問答を強制的にやめれば、巨体とは思えぬ軽い動きからの蹴撃。
地面と爪先部分が擦れるだけで、大地は地割れを思わせる抉れ方をする。
――――。
大いに崩れていく大地に頭を抱えて見ているのはピート。
「どうにかならないんですか!」
これ以上、王都に損害を出したくない思いが声を荒げさせる。
傍らで浮いている魔王に食ってかかれば、こめかみグリグリにより主従関係が構築されているからか、ピートに強く出られずにおり、諸手で掌を見せて、落ち着くように促すしか出来ずにいる。
出来る事があるとするならば、魔王は王都から北東の方角を眺める事だけであった。
「間に合わんかの……」
眺める先に対して、ピートに向けていた諸手を神にでも祈るように合わせた。
魔王であり、元戦女神である神が、神に祈るような所作。
ヘルムが目にすれば、滑稽と嘲笑するだろう。
どの神なのか分からないが、祈りは通じるというのを元戦女神は体験する事になる。
ピクリと体を震わせると、頭を左に向けた。
向けた先では空間に切れ目が入り、開いていく。
「大変、お待たせしました」
届いた祈り。
目的は達したとばかりに明るい表情のアレイン。
「アレインさん」
男爵領ぶりのパルパーナ整備局局長。
真の正体は魔王軍幹部であり、オルプラ神殿の監視者兼守人。
相も変わらずな美しさに、ピートの表情がほころぶ。
その後ろでは、いつの間にやって来たのか、ニーズィーがキザな笑みを湛えて挨拶をしていた。
「こんな状況になるまで時間がかかってしまい、申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げる。
ギブソンタックが崩れかかっている事から、今の今まで懸命になって探していたのが窺えた。
「いいんですよ。気にしないでください。後はここにいる者たちが受け継ぎます」
魔王を差し置いて、男前な声で、ニーズィーがアレインの肩に手を置いて発言。
自分が――――、ではなく、ここにいる者たちと言うところが、危険を冒したくない彼の特徴を如実に表している。
笑顔でずっと肩に触れているのは下心の現れ。
王都へ到着した早々、アレインもどう対処すればいいか、困っているといったご様子。
太古に実妹と、その力の恩恵を受けた者たちとの戦い以来の歯がゆさを経験する。
そして、こめかみ付近に流れる感触を肌で感じる。
腕にて拭えば――――、鮮血。
これもまた屈辱。神が土塊と馬鹿にする存在の攻撃の行使による流血。
「おのれ!」
一足飛びで捷利嚮導の乙女まで戻れば、
『ほう、神も血は赤いのだな』
「当然であろう。貴様ら土塊は、神を元に戯れで作られた存在。血の色を同じ色にしてやっただけでも感謝し、地に額をつけるべきなのだが――――」
途中で言葉を止めると、長い呼気を行い、
「――にもかかわらず、土塊がこの我に血を流させるとわ! 度し難し!!」
大層ご立腹なようで、髪の色と同色の雷を複数降り注がせる。
「こわ! 僕のが霞むじゃないか」
眼前の破壊力抜群の雷に、風雷王の雷の字を返上しないといけないとすら思わされるテト。
『虚勢をはっているようだが、意味が無い』
「だまれ、サージャスといったな。対応せよ」
――――しじまが訪れる。
『ハハハハ、これは傑作。怒り心頭なのに、ここで人任せとは。確かに神などと呼ばれる存在は、いつも見ているだけ。力を貸し与えるが、自らは行動をしない。なのに下々の者たちを救ってやったと、自己満足に浸るだけを生きがいとしている。些末な存在だというのがよく分かる』
「なめるな! 我は自ら動き、この世界を治めようとしたわ!」
『貴様は見守る事を知るべきだったな』
問答を強制的にやめれば、巨体とは思えぬ軽い動きからの蹴撃。
地面と爪先部分が擦れるだけで、大地は地割れを思わせる抉れ方をする。
――――。
大いに崩れていく大地に頭を抱えて見ているのはピート。
「どうにかならないんですか!」
これ以上、王都に損害を出したくない思いが声を荒げさせる。
傍らで浮いている魔王に食ってかかれば、こめかみグリグリにより主従関係が構築されているからか、ピートに強く出られずにおり、諸手で掌を見せて、落ち着くように促すしか出来ずにいる。
出来る事があるとするならば、魔王は王都から北東の方角を眺める事だけであった。
「間に合わんかの……」
眺める先に対して、ピートに向けていた諸手を神にでも祈るように合わせた。
魔王であり、元戦女神である神が、神に祈るような所作。
ヘルムが目にすれば、滑稽と嘲笑するだろう。
どの神なのか分からないが、祈りは通じるというのを元戦女神は体験する事になる。
ピクリと体を震わせると、頭を左に向けた。
向けた先では空間に切れ目が入り、開いていく。
「大変、お待たせしました」
届いた祈り。
目的は達したとばかりに明るい表情のアレイン。
「アレインさん」
男爵領ぶりのパルパーナ整備局局長。
真の正体は魔王軍幹部であり、オルプラ神殿の監視者兼守人。
相も変わらずな美しさに、ピートの表情がほころぶ。
その後ろでは、いつの間にやって来たのか、ニーズィーがキザな笑みを湛えて挨拶をしていた。
「こんな状況になるまで時間がかかってしまい、申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げる。
ギブソンタックが崩れかかっている事から、今の今まで懸命になって探していたのが窺えた。
「いいんですよ。気にしないでください。後はここにいる者たちが受け継ぎます」
魔王を差し置いて、男前な声で、ニーズィーがアレインの肩に手を置いて発言。
自分が――――、ではなく、ここにいる者たちと言うところが、危険を冒したくない彼の特徴を如実に表している。
笑顔でずっと肩に触れているのは下心の現れ。
王都へ到着した早々、アレインもどう対処すればいいか、困っているといったご様子。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる