拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-83

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 穂先が触れれば、衝撃で後ろに押し返されそうになるも、サージャスが思った事は、押し返される程度だということ。
 この巨大な質量なら押し返されるどうこうでなく、触れた時点で終わりだろうが、それがない。
 しかも、徐々に光弾から押される力が弱まっていく。
 更には光弾が、願望破壊の乙女ラーズグリーズの穂先と触れる部分から消失していき、消失がしだいに広がっていくのが見て取れた。

「『これは!?』」
 ぶつかり合う者同士が、感嘆符と疑問符を織り交ぜながら声を揃える。

「これが秘蔵の乙女レギンレイヴ
 得意げな表情のパルティナ。
 兵仗の名を言われても、効果が分からないといった表情のぶつかり合う者たち。

『何をした!!』

「大声を出さない」
 捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデが放った最大出力である光弾をかき消された。
 しかも、小柄な少女が手にする槍一本に。
 ヘルムが声を荒げるのも無理はない。

「ごめんね。説明もなくいきなり刺して」

「驚きましたよ」
 刺された背中には流血もなければ傷もない。

「これが秘蔵の乙女レギンレイヴと言ってますが。効果が知りたいです」

秘蔵の乙女レギンレイヴ――――」
 パルティナの持つ兵仗の正体は、刺した者に恩恵を与えるダガー。
 秘蔵の乙女レギンレイヴの恩恵は能力の拡散。
 恩恵は、対象者となった者の魔法や、魔道具。当然、兵仗も。
 今回の場合、願望破壊の乙女ラーズグリーズ秘蔵の乙女レギンレイヴの能力が付与される。
 付与された願望破壊の乙女ラーズグリーズは、穂先で触れた兵仗の効果を無効化してしまうという能力が拡散されるというものに変わった。
 捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの攻撃は、兵仗を無効化する穂先の能力に拡散が加算され、穂先に触れた時点で、光弾全体に兵仗無効化の効果が発動されたという事になる。

「凄い……」
秘蔵の乙女レギンレイヴは力の拡散という強力な能力なんだけども、本来は願望破壊の乙女ラーズグリーズの補助なの。こうやって、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデが脅威となった時の為に」
「という事は、この状態なら」
「そう、何度も何度も、穂先であのでっかいのを突く必要は無い。一度だけ突けばそれで終わるの」
「つまりは――――」
「――――この戦いが終わりを迎えるって事ね。今を生きる勇者殿」
 終わり。この言葉にサージャスの身が震える。
 武者震いである。
 勝利を勝ち取る事が出来ると、柄を握る諸手が俄然、強くなる。

『ふざけるなよ!』
 会話の内容が、自分にとって到底受け入れられないヘルムの叫びにも似た大音声。

「だから大声を出さない。ちゃんと敗北を受け入れるのね」
 冷たく突き放すようなパルティナの声音。
 受け入れるわけにはいかないと、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデに攻撃を実行させようとするが――――、
『しまった……』
 痛恨という二文字がヘルムの頭内を支配した。
 確実にしとめると決して放った光弾。
 大気中には多量の魔力粒子があるとはいっても、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデ内部に蓄積されていた魔力を殆ど使って放った、最大威力の一撃であった。
 強気に出たのは、邪神の現状では防ぎきるのは不可能と判断したがゆえ。
 しかし、結果としては、突如参戦したパルティナの存在によって、最大威力が容易く消滅させられてしまったという現実。

『こんな事があってたまるものか!』
「現実を受け入れなさい。そこから貴男の成長は始まる」
『小娘!』
「永遠の十七歳は、実質は貴男なんかより遙かに昔を生きてたから目上なんだろうけど。まあ、小娘って呼ばれれば悪い気はしないわね」
 口角を上げて、余裕にて返すパルティナ。
 太古に邪神と死闘を繰り広げた美人が見せる微笑。
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