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レコンキスタ
PHASE-85
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「ん?」
刺さるには刺さったが、実感が湧かないサージャス。
抵抗もなく簡単に頭部に刺さったが、巨神に効果反応が見えないから不安になっている。
試しにと――――、
「火球」
少し距離を取り、刺した付近にサージャスの体ほどあるのを放てば――――、ドォォォォォォォンと、大きな爆発音と共に、捷利嚮導の乙女の外装に焦げが生じた。
「流石に大きいから焦げしか出来なかったけど――――」
と、口にするサージャスの声は不安が払拭され、喜びが占めた。
焦げが生じた――――。つまりは確実にダメージが入ったという事。
秘蔵の乙女の効果によって、最高の一撃を与える事が出来た願望破壊の乙女。
名が示すように、ヘルムが抱いた願望が破壊されようとしていた。
「魔法が通用する!」
戦場全体に届けるとばかりの大音声。
しっかりと宙に映し出されているので、全体には十分に届いているのだが、それでも自分の生の声で伝えたいという思いがあったようだ。
「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!!」」」」
しっかりと聞こえているとばかりに、全体がサージャスの声に歓喜する。
天をも振るわせるような人々の大音声。
戦いが始まり、魔法を封じられながら、ラゴットと亡者の軍勢と戦い、大いに傷ついた者たち。
命を失った者たちも多くいる。
彼等の犠牲がようやくここで実を結んだと、心からの大音声を天に旅だった者たちに届けようとする戦士たちの思い。
「心置きなくあのデカいのにぶちかましてやれ」
一人の冒険者が熱のこもった発言。
呼応する冒険者たち。
各自が得意な魔法を唱えて、巨神に攻撃を行う。
無数の攻撃魔法が捷利嚮導の乙女へと見舞われていき、各部を爆発が彩っていく。
『効くものか!』
ヘルムの発言どおり、攻撃が入るようになったからといって、効果があるわけでは無い。
「ならば効くのを一発くれてやろう! 我だけを見ろ!」
振り抜かれる右ストレート。
頭部へと打ち込まれれば、殴られた反対側に頭部が揺れ、巨体が大きな音をたてて大地へと倒れた。
「本気の力となればこんなものよ!」
高らかに腕を掲げる邪神に対して、教徒や甲鎧王だけでなく、その場にいる冒険者たちからも喝采を受ける。
「うるさい黙れ! むくつけき男の声ばかりではないか!」
当人はまったくもって嬉しくない喝采であったようだ。
『信じられん……』
巨体が倒れる事への驚き。
ゆっくりと起き上がらせる間にも、次々と魔法が見舞われていく。
『まだまだだ!』
動きがスムーズになってきた事を確認すれば、毛ほども感じない魔法を唱えてくる不快な存在たちに攻撃を行おうと、腕部の拡散粒子で対応するために腕を可動させれば、
『なんだ!?』
腕が途中で止まる。
見れば、腕部が氷漬けになっている。
歓喜で気が高ぶるだけで、一帯を氷の世界に変えてしまうシズク。
物理、魔法の防御が無効化されたいま、捷利嚮導の乙女の腕を氷漬けにするくらい造作もなかった。
『やってくれたな!』
焦燥に完全に支配された状態のヘルム。
素人が心の乱れを収拾するのに必要な時間は、現状では得られない。
とにかく目の前の烏合の衆を何とかしなければと、顔を正面へとむき直せば、そこには亜麻色の少女が勝ち気な笑みで漂っていた。
刺さるには刺さったが、実感が湧かないサージャス。
抵抗もなく簡単に頭部に刺さったが、巨神に効果反応が見えないから不安になっている。
試しにと――――、
「火球」
少し距離を取り、刺した付近にサージャスの体ほどあるのを放てば――――、ドォォォォォォォンと、大きな爆発音と共に、捷利嚮導の乙女の外装に焦げが生じた。
「流石に大きいから焦げしか出来なかったけど――――」
と、口にするサージャスの声は不安が払拭され、喜びが占めた。
焦げが生じた――――。つまりは確実にダメージが入ったという事。
秘蔵の乙女の効果によって、最高の一撃を与える事が出来た願望破壊の乙女。
名が示すように、ヘルムが抱いた願望が破壊されようとしていた。
「魔法が通用する!」
戦場全体に届けるとばかりの大音声。
しっかりと宙に映し出されているので、全体には十分に届いているのだが、それでも自分の生の声で伝えたいという思いがあったようだ。
「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!!」」」」
しっかりと聞こえているとばかりに、全体がサージャスの声に歓喜する。
天をも振るわせるような人々の大音声。
戦いが始まり、魔法を封じられながら、ラゴットと亡者の軍勢と戦い、大いに傷ついた者たち。
命を失った者たちも多くいる。
彼等の犠牲がようやくここで実を結んだと、心からの大音声を天に旅だった者たちに届けようとする戦士たちの思い。
「心置きなくあのデカいのにぶちかましてやれ」
一人の冒険者が熱のこもった発言。
呼応する冒険者たち。
各自が得意な魔法を唱えて、巨神に攻撃を行う。
無数の攻撃魔法が捷利嚮導の乙女へと見舞われていき、各部を爆発が彩っていく。
『効くものか!』
ヘルムの発言どおり、攻撃が入るようになったからといって、効果があるわけでは無い。
「ならば効くのを一発くれてやろう! 我だけを見ろ!」
振り抜かれる右ストレート。
頭部へと打ち込まれれば、殴られた反対側に頭部が揺れ、巨体が大きな音をたてて大地へと倒れた。
「本気の力となればこんなものよ!」
高らかに腕を掲げる邪神に対して、教徒や甲鎧王だけでなく、その場にいる冒険者たちからも喝采を受ける。
「うるさい黙れ! むくつけき男の声ばかりではないか!」
当人はまったくもって嬉しくない喝采であったようだ。
『信じられん……』
巨体が倒れる事への驚き。
ゆっくりと起き上がらせる間にも、次々と魔法が見舞われていく。
『まだまだだ!』
動きがスムーズになってきた事を確認すれば、毛ほども感じない魔法を唱えてくる不快な存在たちに攻撃を行おうと、腕部の拡散粒子で対応するために腕を可動させれば、
『なんだ!?』
腕が途中で止まる。
見れば、腕部が氷漬けになっている。
歓喜で気が高ぶるだけで、一帯を氷の世界に変えてしまうシズク。
物理、魔法の防御が無効化されたいま、捷利嚮導の乙女の腕を氷漬けにするくらい造作もなかった。
『やってくれたな!』
焦燥に完全に支配された状態のヘルム。
素人が心の乱れを収拾するのに必要な時間は、現状では得られない。
とにかく目の前の烏合の衆を何とかしなければと、顔を正面へとむき直せば、そこには亜麻色の少女が勝ち気な笑みで漂っていた。
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