拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-89

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「いくよ!」
 内部からはヘルムを除く、敗戦を受け入れる者たちが巨神から脱出して投降する。
 そんな中で、
「いけぇぇぇぇ! サージャス!」
 と、ザイオンが大きく口を開けば、
「そうだ! とどめはお前だサージャス!」
 ドレークが続き、
「この戦いの英雄とナラレヨ!」
 人生で一番の大声を出すムツ。
 慣れていないからか、語末は声が裏返り甲高くなった。
 パーティーが声援を送れば、ノリのいい冒険者たちはサージャスに向けて、パーティーメンバーに負けじと声援を送る。
 中には〝いい女〟や、〝結婚してくれ〟という邪なものも含まれていた。

「よし、ピート」
「何でしょうケーシーさん」
「最後はお前が言葉を贈ってやれ」
「僕がですか?」
「そうだ。鈍感」
 鈍感という発言にムッとしてしまうピートであるが、声援は始めから送るつもりであり、
「サージャスさん! 一発きついのお願いしまぁぁぁぁぁぁぁぁす!!」
 この言葉を耳朶にした瞬間にサージャスが動く。
 諸手を上下へと広げる所作。
 これを知っている者たちは即座に耳を塞ぎ始める。
 知らない者たちは今から何をするのか? と、期待を持って歓声を上げつつ、耳を塞ぐ者を目の入れると何をしているのか? と、怪訝な表情だけを向けていた。

「王よ、耳を塞ぐ事を勧める」

「何を言います叔父上。この戦いを見届けるためには、歓声を耳朶に入れねばなりません」
 何も知らないのは酷だなと思うラゼン。
 ならばこれから起こる事を伝えればいいのだろうが、悪そうに口角を上げるところが、この大公の腹黒いところである。
 サージャスの諸手が半月を描きつつ上下が逆になる。

「全霊をかけての一撃。これだけの規模はボクも初めてだ」

『何がしたい』
 弱々しく返すヘルム。
 出来る事は変わらず、懸命に睨むだけ。

「とどめの一撃だよ――――」
 赤いチャクラがサージャスだけでなく、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの額部分にまで触れるほどに膨張する。
 ――――次には、膨張したチャクラが圧縮されるようにして、諸手へと集束していく。

「神獣に育まれ、恩恵を受けるも、三星さんせいにより、巨星堕つ」

『なんだ? その詠唱は?』

「気にしないでいいよ。ただ格好つけてるだけだから」
 にんまりとすれば、
「これにて終幕。断末魔をあげればいい、我が一撃で! 巨神狂叫アウルゲルミル!!」
 集束した赤いチャクラが放射状に勢いよく広がりつつ、赤い帯となって巨神の額に直撃。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」
 今までを遙かに超越する、叫び狂ったような巨神狂叫アウルゲルミル発動時の独特な金切り音に、ピートはそれに負けないくらいの悲鳴を上げて、地面に転がり悶える。
 
 耳を塞いでいなかった屈強な戦士たちの中には、音に絶えられず、口から泡を吹いて倒れる者もいた。
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