拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

文字の大きさ
576 / 604
レコンキスタ

PHASE-89

しおりを挟む
「いくよ!」
 内部からはヘルムを除く、敗戦を受け入れる者たちが巨神から脱出して投降する。
 そんな中で、
「いけぇぇぇぇ! サージャス!」
 と、ザイオンが大きく口を開けば、
「そうだ! とどめはお前だサージャス!」
 ドレークが続き、
「この戦いの英雄とナラレヨ!」
 人生で一番の大声を出すムツ。
 慣れていないからか、語末は声が裏返り甲高くなった。
 パーティーが声援を送れば、ノリのいい冒険者たちはサージャスに向けて、パーティーメンバーに負けじと声援を送る。
 中には〝いい女〟や、〝結婚してくれ〟という邪なものも含まれていた。

「よし、ピート」
「何でしょうケーシーさん」
「最後はお前が言葉を贈ってやれ」
「僕がですか?」
「そうだ。鈍感」
 鈍感という発言にムッとしてしまうピートであるが、声援は始めから送るつもりであり、
「サージャスさん! 一発きついのお願いしまぁぁぁぁぁぁぁぁす!!」
 この言葉を耳朶にした瞬間にサージャスが動く。
 諸手を上下へと広げる所作。
 これを知っている者たちは即座に耳を塞ぎ始める。
 知らない者たちは今から何をするのか? と、期待を持って歓声を上げつつ、耳を塞ぐ者を目の入れると何をしているのか? と、怪訝な表情だけを向けていた。

「王よ、耳を塞ぐ事を勧める」

「何を言います叔父上。この戦いを見届けるためには、歓声を耳朶に入れねばなりません」
 何も知らないのは酷だなと思うラゼン。
 ならばこれから起こる事を伝えればいいのだろうが、悪そうに口角を上げるところが、この大公の腹黒いところである。
 サージャスの諸手が半月を描きつつ上下が逆になる。

「全霊をかけての一撃。これだけの規模はボクも初めてだ」

『何がしたい』
 弱々しく返すヘルム。
 出来る事は変わらず、懸命に睨むだけ。

「とどめの一撃だよ――――」
 赤いチャクラがサージャスだけでなく、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの額部分にまで触れるほどに膨張する。
 ――――次には、膨張したチャクラが圧縮されるようにして、諸手へと集束していく。

「神獣に育まれ、恩恵を受けるも、三星さんせいにより、巨星堕つ」

『なんだ? その詠唱は?』

「気にしないでいいよ。ただ格好つけてるだけだから」
 にんまりとすれば、
「これにて終幕。断末魔をあげればいい、我が一撃で! 巨神狂叫アウルゲルミル!!」
 集束した赤いチャクラが放射状に勢いよく広がりつつ、赤い帯となって巨神の額に直撃。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」
 今までを遙かに超越する、叫び狂ったような巨神狂叫アウルゲルミル発動時の独特な金切り音に、ピートはそれに負けないくらいの悲鳴を上げて、地面に転がり悶える。
 
 耳を塞いでいなかった屈強な戦士たちの中には、音に絶えられず、口から泡を吹いて倒れる者もいた。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...