拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-96

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「おお! ナイス回避」
 おお! ナイス回避――――。じゃねえよナイゼルさん。
 お願いですからガチ勢が解説を始めないでください。
 この人はなんだろうな……。ヴィン海域でもそうだったけど、大げさにするな。
 僕も面倒くさい事になったような記憶があるぞ。

「そんなもんかよ」

「なめるな!」
 振り回される拳。腰の捻りも、脇の締めもまったくなっちゃいない拳打での攻め。
 それを華麗に――――、から、途方もなく、ほど遠いバックステップで躱す整備長。
 拳が迫る度に引きつった顔になるのは正直おもしろかった。
 エキシビションマッチではなく、喜劇が始まったようだ。

「見てるかピート!」
 僕を呼ぶなよ恥ずかしい。
 戦ってる片方が名を呼べば、僕まで喜劇に巻き込まれるような気がしてならない。
 というか、煙草を消せ!

「呼ばれてますよピートさん。ここは最後に貴男が出て倒すのがいいのでは?」

「そうですよMVピートさん」
 な、こうやってヴィン海域の面々が僕にいらん事を言ってくるんだ。
 ナイゼルさんはまだいい。
 バロニアさん、合わせ技やめろ。小馬鹿にされてるみたいで腹立つ!

「そうですよ。あんな煙くさい男ではなくここはピート様が」
 やめてくださいシズクさん。あんな喜劇の場に僕は混ざりたくないです。
 周囲を見てください。僕の周りは美人が多い。ここがいい。

「ピート殿。私を助けた時のように、知恵を使った戦い方を。確か、真のハンターは、まず足元を確認とか言いながら決めていたではないですか」
 恥ずかしいので、そこは触れないでくださいカグラさん。
 期待を込めた目にて、周囲の方々の僕に対する包囲網シージが鬱陶しいです……。

「こっちを見ろピート! 美人に囲まれやがって! 俺を見ろ!!」

「見てますよ。貴男こそこっち見てたら――――」

「へぼっ!?」
 この戦いにおいてもっとも恰好の悪い声が上がったね。
 グリーを超えたよ。
 こっち見てるから、そんな遠心力に全てをかけたような大振りパンチに当たるんだ。

「初めて当たった」
 どうやらヘルムのおっさんはろくに喧嘩もした事のない、真面目な性格だったらしい。
 だから堅物で融通の利かない男になったんだろうけども。

「痛えなこの野郎!」
 あんたが戦いの最中に、こっちに嫉妬心まる出しの視線を向けるからそうなる。
 でもなんか吹っ切れたのか、今まで避けるの一辺倒だったのに、ムキになって掴みかかった。

「このジジイが!」
「老体に対して、力と暴言とは最低だな」
「王都をこんなにしといてよく言うぜ! 誰が直すと思ってんだ!」
「間違いなく君はサボタージュなのだろうな」
 その通りだよ。

「うるせえ!」

「いい加減に離さないか!」
 掴み合いの応酬。というか、それしか出来ない。

「ちゃっちゃと決めてくださいよ」
 じゃないと、混ざりたくないのに、僕が混ざらないといけない流れになってますから。

「このジジイを倒したら、次はお前だからな!」
 向けられる敵対心。嫉妬は怖いね。
 まあ、負ける気はありませんが。混ざりたくない。

「とっておきを見せやる。コイツは対生意気な部下用だったんだがな」

「ほう」

「このじいさんをモルモットにして、完全完成形はお前だピート!」
 鬱陶しいおっさんだ……。
 掴み合いからお互い解放されると、整備長が構える。
 顔を隠すようなピーカーブ―スタイル。
 でも、玄人のそれと違って、両腕の間に隙間があるから、そこから殴られたら顔面に簡単に直撃だ。
 当然ながらそのがら空きの顔面に向かって、ヘルムが大振りからのパンチ。

「ぺっ」
 と、おっさん咥えていた煙草をヘルムに向かって吐き出した。
 なるほど、喫煙はこの為の布石か。
 はき出せるように両腕の隙間を広げてたわけか。

「あづっ!?」
 うわ、きたね~。
 卑怯、不潔の二つの意味で。
 目の前に飛んできた飛翔物に驚き、顔に伝わる熱さも相まれば、素人は自ずと目を閉じるというもの。
 咄嗟に諸手で顔を守るような構えとなれば、動作を見た整備長の笑みが悪いものに変わる。

「トドメだ」
 姿勢を低くすれば、隙だらけになっている腹部に……、腹部…………ではなく、
「おら!」
 股間に対して拳を見舞う。
 本当にきたない……。

「ひょん!?」
 ヘルムは素っ頓狂な声と共にくの字になり、弱々しく前のめりで倒れた。
 ついに倒れたのだ!
 ――――じゃねえよ。ようやく茶番が終わったよ。
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