拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-97

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「見たかピート! これが俺の奥義である後胤断絶之拳ジ・エンドだ! 以前、お前には不発に終わったが、決まればこの威力だ。最近は美人ばかりを侍らせやがって、この技でお前のこれからのキャッキャウフフな楽しみを奪い、破壊してやる」
 何を得意げに! そしてなんて恐ろしい事を言いやがる! 未使用のまま終われるわけがないだろう。戦場全体に童貞発言までしてしまってるんだ。それを覆すためにも美人さんといい事したいんだよ!
 大体がその技は不発じゃないよ! 僕の股間にはあの時の痛みが蘇るよ――――。
 船旅で僕が優しく方面軍大移動ララパルーザで起こしてあげてたのに、思いっ切り殴りやがって!
 あの時の痛みと恨みは忘れてないぞ。
 怨嗟の瞳を勝利者として佇むおっさんに向ける僕。
 
 整備長の一撃による周囲の男性陣は在り来たりのリアクション。
 股間を押さえての渋面。それを目にする女性陣の冷たい視線。
 
 ともかく、この世界で最もレベルの高い方々に見守られた、レベルの低いエキシビションは整備長の勝利で幕を閉じるようだ。

「皆さん」
 いつになく真剣な声の整備長。
 さっきまでのアホな技名を口にしてるのとは雰囲気が違う。
 今から勝利者が何かを言うぞという空気になれば、場が静かになる。

「このたびは当方の上役が、この様な大それた行動をし、皆様方に多大なるご迷惑をおかけした事を現場責任者である整備局整備長、ニーズィー・ブートガイが、局を代表して謝罪の弁を述べさせていただきます」
 ――……おかしい……。
 あのおっさんがあんなにもまともな事を口にするわけがない。
 周囲は襟元を正して聞き入る体勢。
 いや、しかし、これは何かがおかしい。

「大変申し訳ありませんでした」
 怪しんでいる間に整備長が深く深く頭を下げた。
 邪推だったのか? などとは思わない。
 僕はあのおっさんを信用しない。悉く駄目なところばかりを見てきたからな。
 この一礼には何かある。
 そう思っている時に、周囲からパチパチと拍手をする音が聞こえてくれば、それは次第に大きなものに変わっていった。

「いいぞ~」
 と、誰かが言った。

「いいけじめだった」
 と、誰かが続く。
 その後は割れんばかりの歓声が整備長に送られる。
 サージャスさんの時よりも大きいものだった。
 おかしい、おかしい、おかしい。
 なぜにあのおっさんがこの戦いを終わらせた存在みたいになっているのか、これは素人の戦い。というか戯れ。
 ちゃんとしたのはエキシビションの前に、サージャスさんが終わらせてるから。
 というか、なんでサージャスさんまで整備長に拍手を送ってるの?
 賞賛されるべきは、傷つき血を流しても、この戦いに立ち向かった皆さんであって、あそこで頭さげてるおっさんにじゃない。

 いやいやいやいや――――、
「違う、違う!」
 なんだ、ここの皆さんは僕以外は何かしらの幻術にでもかかっているのか?
 整備長がゆっくりと体をおこせば、僕に視線を向けてきた。

「!?」
 何という勝ち誇った笑み。
 皆には勝利者の笑みに見えているのかもしれない。
 でも僕にはあの湛えは違う意味であると、はっきりと理解している。
 あのおっさん、自分が一番目立つ存在になれる画策がうまく運び、心が満ち足りてるだけだ……。
 
 今後、自分英雄説を周囲に言いふらして、美味い酒と美人をゲットして楽しもうって小さな野望を抱いているだけだ。
 こんな小さな野望の男に、世界を手に入れようとする大きな野望を持ったヘルムは倒されたんだな……。
 比較するとヘルムが不憫すぎる…………。
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