585 / 604
レコンキスタ
PHASE-98
しおりを挟む
不憫な初老はようやくここで兵士の方々に拘束されると、王様の前へと連行。
両腕をロープで結ばれ、両膝で立たされている。
自分は間違っていないとばかりに胸を張り、王様の瞳を傾注するように見る。
「大層な事をしてくれた」
「ここまでやらねば変わらんからだ。変えられなかったがな。またも闇の世界よ」
全くもって反省していない姿に、周囲の近衛の方々が歯を軋らせてお怒りだ。
「なんだ? またも力を行使するつもりか? 貴様の配下は魔王に染まっているようだぞ。魔王に染まる、つまりは悪だ」
魔王さんに叩かれた頬を見せつつ、力を振るえるなら振るえと挑発している。
だがそこは近衛の方々、王様の命令が無い限り、感情のままには動かない。
「貴男がどう思っていようが、私は今の世界が好きだ」
「それが悪に毒されているという事だ。側の大公を見ろ。魔王軍幹部の配下に成り下がっている。情けない……。王族はすでに魔王の傀儡よ。冒険者たちは結局、王族と魔王の二大勢力によって遊び道具にされているだけだ」
周囲に伝えるように大声で持論を唱える。
結局は、この世界を現状のまま成り立たせるために、利用されるだけで、しかもそれを当たり前として受け入れいる冒険者さん達も辛辣にこき下ろす。
変革を求めず、今の歪みを維持する臆病者たち。
比べて、自分の同胞たちがどれだけ清廉な存在であったかと、得意げに語る。
聞いてると腹が立つというより呆れる……。
殆どが利を目的に集まった者たちだったのに。
だからこそ、不利になれば大多数が逃げる事を考えていたわけだし、何よりもグリーみたいな下品なのも多い。
でも王様は、自分に向けられる罵声を正面から受けるように、視線を逸らす事なくヘルムを見ている。
「私の世界には貴様らは不要! 私は失敗したが、今後、私の志を継ぐ者が必ず現れる。当然だ! この世界は歪んでいるのだから。それを正すと考える者は必ず現れる。第二第三の私が必ず!」
すげえな……。発言が魔王さんより魔王の発言だと思ってしまうよ。
囚われてもなお、強気な姿勢を崩さない。
けどまあ、そんなに強気な姿勢で意を唱えるのなら、隙を作って逃げるなんて事をしない方が、発言にも信憑性があったってもんなんだけどね。
フサルクを使用して逃げた時点で、述べる発言すべてが陳腐なものに聞こえてしまう。
それでも口を止める事はないし、それを塞ぐことなく受け入れる王様の器たるや。
反論なんて一切しないよ。
だからこそ、調子づくわけだけども。
「いい加減にしやがれ!」
と、ここで本日、英雄になっていると勘違いしている整備長が、怒気を纏って割って入った。
王様の前で割って入る。
まあ、僕も人の事は言えないから黙っとくけど、大公様はまた整備局か! って、眉間に皺が寄っている。
「何かな?」
「何かな? じゃねえよ。よくもまあぬけぬけと自分の同胞は清いとか言えるもんだ」
「事実だ」
「事実なら尚更たちが悪いな。あんたはあのデカいので最後に撃とうとした一撃ってのは、明らかに清いと言ってた同胞にも被害が出る一撃だったぞ。同胞が清かろうとも、そのトップのテメーがクソなら、何の説得力もねえ」
あら、格好のいい事を言うじゃないか。
未だに自分がこの戦いを終わらせた英雄だという立ち位置をキープしたみたいですね。
「あの時、あの一撃が放たれてたらどうするつもりだった? 同胞はどうなってた」
「ぬぅ……」
おお! 正鵠を射たとばかりだな。
ヘルムが返せないでいる。
それを見た皆さんの溜飲が下がったのか、黙らせた整備長にまたも尊敬の眼差しを向けている。
納得はいかないが、今回は大したものだと評価しようじゃないか。
「言ってくれるじゃないかね」
「もういいよ、そうやって余裕のある口ぶりで語るのは、テメーは負けたんだ。最後の一撃によって正道も失ってる。テメーには何も残ってねえよ! ここで裁きの結果だけをその老いた耳に届けてもらえ」
無駄にポージングを行いながら、食指をヘルムにビシリと向けるのはわざとらしかったが、周囲は血気盛んな冒険者が多い。
オーバーリアクションが丁度いいくらいなのか、何ともご満悦だ。
両腕をロープで結ばれ、両膝で立たされている。
自分は間違っていないとばかりに胸を張り、王様の瞳を傾注するように見る。
「大層な事をしてくれた」
「ここまでやらねば変わらんからだ。変えられなかったがな。またも闇の世界よ」
全くもって反省していない姿に、周囲の近衛の方々が歯を軋らせてお怒りだ。
「なんだ? またも力を行使するつもりか? 貴様の配下は魔王に染まっているようだぞ。魔王に染まる、つまりは悪だ」
魔王さんに叩かれた頬を見せつつ、力を振るえるなら振るえと挑発している。
だがそこは近衛の方々、王様の命令が無い限り、感情のままには動かない。
「貴男がどう思っていようが、私は今の世界が好きだ」
「それが悪に毒されているという事だ。側の大公を見ろ。魔王軍幹部の配下に成り下がっている。情けない……。王族はすでに魔王の傀儡よ。冒険者たちは結局、王族と魔王の二大勢力によって遊び道具にされているだけだ」
周囲に伝えるように大声で持論を唱える。
結局は、この世界を現状のまま成り立たせるために、利用されるだけで、しかもそれを当たり前として受け入れいる冒険者さん達も辛辣にこき下ろす。
変革を求めず、今の歪みを維持する臆病者たち。
比べて、自分の同胞たちがどれだけ清廉な存在であったかと、得意げに語る。
聞いてると腹が立つというより呆れる……。
殆どが利を目的に集まった者たちだったのに。
だからこそ、不利になれば大多数が逃げる事を考えていたわけだし、何よりもグリーみたいな下品なのも多い。
でも王様は、自分に向けられる罵声を正面から受けるように、視線を逸らす事なくヘルムを見ている。
「私の世界には貴様らは不要! 私は失敗したが、今後、私の志を継ぐ者が必ず現れる。当然だ! この世界は歪んでいるのだから。それを正すと考える者は必ず現れる。第二第三の私が必ず!」
すげえな……。発言が魔王さんより魔王の発言だと思ってしまうよ。
囚われてもなお、強気な姿勢を崩さない。
けどまあ、そんなに強気な姿勢で意を唱えるのなら、隙を作って逃げるなんて事をしない方が、発言にも信憑性があったってもんなんだけどね。
フサルクを使用して逃げた時点で、述べる発言すべてが陳腐なものに聞こえてしまう。
それでも口を止める事はないし、それを塞ぐことなく受け入れる王様の器たるや。
反論なんて一切しないよ。
だからこそ、調子づくわけだけども。
「いい加減にしやがれ!」
と、ここで本日、英雄になっていると勘違いしている整備長が、怒気を纏って割って入った。
王様の前で割って入る。
まあ、僕も人の事は言えないから黙っとくけど、大公様はまた整備局か! って、眉間に皺が寄っている。
「何かな?」
「何かな? じゃねえよ。よくもまあぬけぬけと自分の同胞は清いとか言えるもんだ」
「事実だ」
「事実なら尚更たちが悪いな。あんたはあのデカいので最後に撃とうとした一撃ってのは、明らかに清いと言ってた同胞にも被害が出る一撃だったぞ。同胞が清かろうとも、そのトップのテメーがクソなら、何の説得力もねえ」
あら、格好のいい事を言うじゃないか。
未だに自分がこの戦いを終わらせた英雄だという立ち位置をキープしたみたいですね。
「あの時、あの一撃が放たれてたらどうするつもりだった? 同胞はどうなってた」
「ぬぅ……」
おお! 正鵠を射たとばかりだな。
ヘルムが返せないでいる。
それを見た皆さんの溜飲が下がったのか、黙らせた整備長にまたも尊敬の眼差しを向けている。
納得はいかないが、今回は大したものだと評価しようじゃないか。
「言ってくれるじゃないかね」
「もういいよ、そうやって余裕のある口ぶりで語るのは、テメーは負けたんだ。最後の一撃によって正道も失ってる。テメーには何も残ってねえよ! ここで裁きの結果だけをその老いた耳に届けてもらえ」
無駄にポージングを行いながら、食指をヘルムにビシリと向けるのはわざとらしかったが、周囲は血気盛んな冒険者が多い。
オーバーリアクションが丁度いいくらいなのか、何ともご満悦だ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる