そこにワナがあればハマるのが礼儀でしょ!~ビッチ勇者とガチムチ戦士のエロ冒険譚~

天岸 あおい

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VS魔王

魔王の根城へ

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   ◇ ◇ ◇

 街を出れば、魔王が住まう山までは地図がなくとも迷うことはなかった。

 近隣の山々よりもひと際高く、瘴気を漂わせた険しい山。
 頂は分厚い雲に隠れて見えないが、たまに城のようなものが鎮座しているのが確認できた。

 あまりに大きな目印。エルジュたちはそこへ向かって歩き進んでいけば良かった。

「さあ、早く魔王城に到着して、ちゃちゃっと倒してしまわないとねー。姿さえ確認できたら瞬殺してやるから」

 まだ山のふもとにも辿り着いていないのに、エルジュからやる気が溢れている。

 心なしか表情も引き締まっていて、目の輝きもいつもと違う。
 きっと今のエルジュなら、どんな魔物のワナを見つけたとしても目もくれず、魔王の元へ辿り着いて討伐しそうだとグリオスは確信する。

 目的を果たせそうで良かったと思うが、グリオスの胸中は複雑だった。
 魔王を倒した後、エルジュはどんなことをしてでも本音を吐かせようとしてくるだろうから。

 もう心はあるというのに、それを認めてエルジュを受け入れてしまうと、取り返しがつかないことになってしまう――何が起きるかはグリオスにも分からない。ただ胸の奥が言ってはいけないと強く引き止め、いっそ流されてしまうぐらいなら逃げてしまえ、という考えまで浮かんでしまう。

 言葉に詰まって何も言わないグリオスにエルジュが体を寄せ、腕を絡め、手を繋いでくる。

「……逃がさないから。グリオスがどこに居てもオレは見つけられるんだからね。無駄なことはしないほうがいいし、考えるだけ無駄だから」

 本気を出したエルジュには誰も敵わない。
 まさかその本気を向けられる日が来るとは……と思いながら、グリオスは諦めの息をついた。

「ああ、逃げない。約束する。だから……手を離せ。敵が来たら対応が遅くなる」

「まだ大丈夫だって。魔物の気配しないし。アイツらの根城が近くなるまで、このままでいてよ。それとも――」

 不意にエルジュの指がグリオスの手を弄る。
 煽るように肌を撫で、じゃれついてくる指。グリオスの体が思わず疼きを覚えた。

「……っ、こ、こら、やめろ……人で遊ぶなといつも言っているだろうが」

「遊びじゃなきゃいいってことだよね? オレ、本気だから」

「そういう屁理屈を言うな……腰が抜けて身動きが取れなくなったら、足手まといになるだろうが。頼むから」

「足手まといどころか、興奮して魔王の根城ごと破壊しちゃうかもね。グリオスを姫抱っこしながらっていうのもたまんないし!」

 話せば話すほど、親密なやり取りになってしまう。
 困ったと思っているのに――このやり取りが愛おしくてたまらない。

 おどけながら執着を見せつけてくるエルジュへ、グリオスは困り眉を作りながらも薄く微笑んだ。
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