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二話 初めての戦

●初めてを奪われて1

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 指先でヒクつきが収まらない俺の孔を何度か押し、状態を確かめてから華候焔は腰の衣嚢を弄る。そして取り出したのは、手の平程度の平たく丸い黑の陶器。

 蓋を回し開ければ白濁の軟膏が姿を現わす。それを惜しみなくたっぷりと指ですくうと、俺の臀部の割れ目へと塗りたくっていく。

 敏感な所を指が滑る度に、キュウ、と体内が引きつる。
 早くこっちへ来いと誘うような脈動。だが華候焔はもったいぶるように指先でなぞるばかりで、なかなか挿れてはくれない。

 もどかしさで気が狂いそうで顔をしかめていると、華候焔が人の耳を舌先で弄りながら尋ねてくる。

「ここに早く欲しいか、誠人?」

「……っ……」

「軟膏を塗り込みがら指で慣らせば、たっぷりと俺を味合わせられる……痛まぬように入り口を軽く麻痺させながら、気持ちいいことだけ堪能できるぞ」

 思わず話を聞いて俺は息を飲み込んでしまう。

 あっさりと興味を見せてしまった俺へ、華候焔は押し殺した笑いを奏でた。

「欲しくてたまらないようだなぁ……貪欲で何より。ほぅら、可愛がってやろう」

 クッ、クッ――グニュゥ。華候焔の指が俺の中へと沈む。

 太く節くれ立った指が肉壁を解し、己の欲情を詰め込ませるために蠢く。
 たった指一本でも圧迫感を覚えてしまい、俺の目が歓喜に潤んだ。

「あ、ぁぁ……華候、焔……っ……んッ……はぁ……」

「焔、と呼べ。俺を表す名だ……特別をくれてやる。好きなだけ呼んでくれ……」

 小さく頷いて華候焔に応えると、俺は「焔……」と何度も呼ぶ。
 指の腹で中を押され、甘く自分を壊される度に口へ出せば、腰の深い所だけでなく胸奥も歓喜を覚える。

 そして俺が名を呼ぶほどに華候焔は相貌を崩し、口元を優しく緩めながら俺を快楽に漬け込んでいく。

 もっと激しく乱雑に抱かれると持っていただけに、華候焔の丁寧な抱き方に落ち着かない。まるで誰よりも愛されているのだと誤解してしまいそうなほどだ。

 勘違いしてはいけないと思っているのに、体とともに心まで華候焔に染まりかける。
 早く繋がりたい。指よりも太く欲深な塊で抉られたい――一番深い所を愛して。

 俺の体の本音が聞こえているかのように、華候焔が指を抜いて己の昂りを寝間着から出させる。

 赤黒く脈打つそれは灯りに照らされ、先端で光沢を放つ。
 どこよりも熱いだろうそれを後孔へあてがわれた瞬間、自分の顔が歪んだことに気づく。

 ……笑ってしまった。
 喜びを露わにした俺を見て、華候焔が勝ち誇った笑みを作る。

 そうして容赦なく過敏な孔へ昂りを捻じ込み、俺の初めてを奪いにかかった。
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