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●五話 平等で甘美な褒美

●ここまでやらないと……

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 華候焔に飲まされた媚薬の効果は切れている。
 それでも未だに二人がかりでされたことを引きずっている体には、ごく普通の交わり――男を相手に普通と思えてしまうあたり、かなり毒されてしまったことは否めない――すら極上の快感だ。

「――ッッ……か、っ……ハァ……あああっ……ぅぅ……あッ……」

 中で達する感覚が短くなり、何度も俺という人間を突き飛ばして俺の意識を浮遊させる。

 止まらない。良すぎて気が狂う。
 思わず英正の腕を掴み、快楽に溺れる自分を助けて欲しくて掻く。力が入らない指。か弱く肌に爪を立てるばかりで、呑まれてゆくの止められるはずがなかった。

 英正は俺を追い詰め、執拗に快楽を与え続けていく。
 次第に苦行に耐えるような思い詰めた英正の顔は、悦びで恍惚に緩む。

「誠人様……っ、どうか、私も……華候焔様のように、貴方様の中に……っ」

「……い、いい、から……っ……英、正……許す、から……んン……ッ」

 俺の許しに歓喜するように、英正は俺の唇をキスで塞ぐ。
 そして奥を小刻みに貫いて確実に俺の体を昂らせ――熱を注いだ。

「ンンッ……ッッ! ……んン……んー……っ……」

 中に出された瞬間、俺の全身が大きく脈動して英正の下で跳ねる。

 ドクン、ドクン、と体に心音が響く度に中が締まり、中で繋がったままのものと一体化していくような気がしてくる。

 そこへ英正の腕が俺をギュッと抱き締め、密着した肌の温もりがより俺たちをひとつにまとめていく。

 耳元で英正が乱れた息を整えていく。
 落ち着いてきた頃に、英正はポツリと呟いた。

「……これで、私は誠人様に命をかけられます……たった一度でも、悔いは――」

「勝手に満足しないでくれ……もう、俺はいらないのか……?」

「嫌、です。誠人様が、もっと欲しいです……」

 ここまでやらないと、英正は俺にワガママを言えないのか。
 素直なのに不器用な人柄に、親しみを感じてしまう。

 力が入らない腕をぎこちなく持ち上げ、英正の頭を撫でてやる。

「英正のワガママ、これからも叶えるから……生き残ってくれ……」

「はい……っ、ありがとう、ございます……!」

 感極まった声を上げながら、英正はさらに俺を強く抱き締める。

 ――むくり。俺の中で一気に英正のものが硬さを取り戻したのが伝わってきた。

「アッ……つ、続ける……のか……ぁ……?」

「……もっと下さい。誠人様を、私に……っ……」

 英正の腰が揺れ始める。
 甘い律動がまた俺を狂わし、快感に抗えない体へと堕としていった――。
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