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六話 将の育成は体を張って

予定を繰り上げて

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 夜になり、俺は寝支度を整えた上でVRのゴーグルを手にする。

 本当は三日間で少しでも自分を鍛え、コンディションを良くした上でゲームを再開する予定だった。
 しかし週末の強化合宿に影響を出さないよう、華候焔たちに相談するために予定を繰り上げることにした。

 合宿期間中は手加減して欲しい――その分の褒美は前後でまとめてもらって構わないから。

 この間の件で、一度夢中になると三人とも容赦がなくなることはよく分かった。
 特に華候焔。無尽蔵の体力を持て余している分を、情事で発散しているような……英雄色を好むとは聞いているが、その通りだと納得してしまう。

 分散させずにまとめて褒美を与えることになったら、果たして俺はまともでいられるだろうか?

 嫌な予感はするが、東郷さんからわざわざ指名してもらって参加するのだ。力が入らなくて練習相手になれないなどと、無様な姿を見せる訳にはいかない。

 ただでさ東郷さんに負け続け、醜態を晒し続けているのに。

 俺はいつものようにベッドの上であぐらをかき、ゴーグルを装着する。
 側頭部のスイッチに手を伸ばし、指で触れ、ふと固まる。

 ……日を開けずにゲームを再開しても大丈夫なのか?
 まだ体が完全に落ち着いていないのに。

 意識すると、腰の奥がうっすらと甘く疼いて力が抜けそうになる。
 まるで理由をつけて、より取り返しのつかない快楽に身を投じたがっているような――。

 いや、そうじゃない。
 東郷さんからの要請はまったくの想定外だ。
 もしそれがなかったなら、連日ゲームをすることにはならなかった。

 正当な理由を持ってきて、少しだけ俺は安堵する。
 回数を重ねるごとに、自分がいやらしい生き物に作り替えられている気はしているが。

「……やるしかないか」

 覚悟とも諦めともつかないため息をついてから、俺はスイッチを入れた。



   * * *

 ツゥン――という、VRが立ち上がる音を耳に入れた瞬間、体の疼きが酷くなる。

 景色も感触も温度も何もない暗闇の中で、俺だけが熱を孕んで体に火を灯しているような気になる。

 ゲーム内では英正に抱き潰され、疲れて寝ているところからの再開だ。その状態でセーブされたせいで、今まさにその体に戻ろうとしているのだろう。

 なんてことだ。それじゃあゲームが再開してもすぐに身動きが取れない。

 このことでも三人とは相談したほうが良さそうだ。
 次の日に疲れの影響を残すようなことは避けたい、と。

 ……なんだ? 体がおかしい。
 火照りが悪化していく。腰の奥がやけに疼いて……あっ……誰かに触られている?

 まさか英正が俺を抱き潰した後も続けている?
 三人の中では一番俺の体を気遣ってくれるのに……初めて繋がった興奮で、止まれなくなっているのか?

 息が、苦しい。
 早く楽に、なりたい――この、中を強引に押し拓げていく感触は――。
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