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九話 新たな繋がり

●手加減の本気

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 戦を終え、褒美を与えれば現実に戻れる。

 通常ならば限度を超えた交わりでも、翌日体を労れば回復できる。だが今は柔道の強化合宿中。無理はできない。

 だから華候焔には悪いが、今回だけは手加減して欲しいと前もって伝えてある。

 一応分かったとは言ってもらえたが、それは本気を出したいと言われる前の話。受け入れると言った手前、それを念押しして伝えるのは気が引けた。

 だから華候焔の匙加減に任せることにしたが――。



「……ッ、ぁ……っ、あ、ぁぁ……く、ぅ……っ……」

 うつ伏せた俺にのしかかった華候焔が、俺を凶悪な昂りを深々と突き刺し、腰を揺らし続ける。

 いつもの行為に比べれば、激しく扱われない分だけ負担は少ないかもしれない。

 しかし奥を念入りに捏ねくり回されて、俺は込み上げてくる甘い疼きに溺れ、絶え間なく喘ぎ、敷布を掻くばかり。

 息すらままならなくて、一度思うままに肺に空気を取り込みたくなる。

 たった一瞬だけでいい。
 間隙の休息が欲しくて俺は体を身じろがせる。

 だが華候焔が許してくれない。体の重みで俺を押さえつけ、最奥を優しく穿つ。押し上げるその感触に俺は思わずか細い声で叫ぶ。

「……ッ……っっ……ぁ……ぅ……ッ……」

「今日は無理できないんだろ? ちゃんと優しくしてやるから安心しろ」

 俺の耳元で華候焔が、柔らかく甘やかな声で俺に囁く。それからチュッとうなじに吸い付き、俺の頭の中が焼き切れそうなほど熱を帯びる。

 逃れられない快感に自分が堕ちていくのが分かる。

 緩やかな動きながら、確実に絶頂への高みへ行けと華候焔に背中を押されている。
 勢いがない分、俺の体が激しさを欲しがってしまう。いつものように無遠慮に絶頂を叩き込んで欲しい。この身がボロボロになっても構わない――そんな衝動が強く込み上げ、情けなく懇願したくなる。

 段々と最奥に快楽が溢れ始め、あとひと突き強く穿たれたならば果てそうな気配を感じる。

 もう楽になりたい――そう願うのに、華候焔は最奥の壁を押すか押さないかの刺激に切り替え、俺を焦らしてくる。

 あまりのもどかしさに俺は首を振り、ままならぬ声で訴えようとする。

 ――ぐっ、と。華候焔の指が俺の口内に入り、淫らに言葉を奪う。

 そして熱く乱れた吐息を交えながら、俺の耳を言葉で愛でてくる。

「なあ……心を許してもいいと思えたのは、誠人が初めてなんだ……他の奴に特別を奪われることも、一番になれないことも耐えられないなんて……ここまで余裕がなくなるとはな」

「ン……っ、ぐ、ぅ……ッ…」

「もっと深く、俺を感じろ……誰をここへ招いても、誰も届かぬ所まで俺を覚えて、俺に狂え」
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