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九話 新たな繋がり

華候焔と白澤の裏

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 ゲームを始めたタイミングや事前に初期装備を選べなかったりなど、他の領主よりも不利な部分は多かったが、白澤がいたから動き出すことができた。

 もしかして……と思い、俺は仲林アナに尋ねてみる。

「仲林アナが領主だった時に、白澤みたいなゲームを補助する聖獣は?」

「……いいえ、いませんでした。白澤殿の存在はかなり特殊ですね。領主の命がなくても自分の意思で動けるのですから。まるで元領主が姿を変えて、正代選手をサポートしているかのようです」

 こうして他のプレイヤーの事情が分かってくると、俺の状況が特殊なのだということが明らかになってくる。

 きっと戦いに有利な武器を手にするよりも、白澤が居てくれることのほうが全体を考えると優位になる。

 選べない代わりに与えられた、白澤という存在。
 そしてもし白澤が元領主だとすれば、わざわざ俺をサポートするために聖獣になることを選んだのだろうか?

 自ら成るのではなく、俺を覇者にするために?
 考えるほどに白澤が謎めいて見えてくる。見た目は華候焔が言うような長毛玉――白いマフラーかタオル――という珍妙な姿なのに。

 俺が考え込んでいると、仲林アナが小さく唸ってから口を開く。

「ふむ。不利なようで実は有利だった……ということは、華候焔殿が領土内に居たということも、偶然ではなかったのかもしれませんね」

 指摘された瞬間、俺の鼓動がドクンと大きく胸を叩く。

 白澤だけでは俺は残れなかった。華候焔を登用することができたから、今も領主としてやっていられる。

 最初から勝ち上がれるように仕向けられていた?
 いや、だが俺が華候焔の裏切りを警戒して選ばなかったという可能性もある。白澤は全力で止めていたし、考え過ぎ――まさか……。

「俺は試されていたのか?」

「正代選手?」

「本当にこのゲームを勝ち上がろうとする気があるかどうか、試されていたのか? もし華候焔を登用しなければ、それまでの人間かと切られていたのか?」

 浮かんでしまった考えを俺はブツブツと呟いてしまう。
 裏が見えてくると、何も知らずにやって来た自分の危うさに気づいてしまい、足元から感覚がなくなっていく。

 もし俺が考えたことが真実だとすれば、華候焔と白澤は最初から面識があり、このゲームの運営と何かしらの繋がりがあるということになる。

 気づいてしまった可能性に血の気が引いていると、仲林アナが俺の肩を叩いた。

「落ち着いて下さい。このタイミングで正代選手とコンタクトが取れて、本当に良かったです。勝ち残っている間はゲームに完全に捕らわれない……君が無事に元の生活を取り戻せるよう頑張って支えていきますから。どうか不安な時は私に寄り掛かって下さい」

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