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九話 新たな繋がり

宴の中で

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   ◇ ◇ ◇

 談話を終えた後、澗宇にはしばらく移動の疲れを癒してもらい、夕方から同盟を祝う宴が開かれた。

 俺の隣に澗宇が座り、にこやかな顔をして料理に口をつけてく。やはり未成年なのか酒には一切手を付けず、柑橘の果汁を加えた芳しい水を好んで喉に流していた。そして、

「こちらの料理は美味しいですね。味付けが優しくて、どれだけでも食べられてしまいます。僕の主城がある地域は香辛料が効いた料理が多くて、最初はなかなか慣れなくて――」

 話し相手に飢えていたのだろうかと思いたくなるほど、澗宇は饒舌だった。

 まだ領土を広く持てていない俺にとって、澗宇の話は興味深かった。この世界の土地がどれだけあるのか定かではないが、現実の中国規模の広さはありそうだ。土地が広大ならば、気候も変わってくるだろうし、採れる作物も料理の味付けも違って当然だ。

 領主として長く君臨し続けている人間の話が聞けて良かったと、俺も澗宇との会話は純粋に嬉しく思う。

 ただ、お互いの斜め後ろに控える者たちは、どうも俺たちの交流を喜んでいるようには見えない。

 澗宇の傍に控えている侶普は、武器こそ手にしてはいないものの、酒を一滴も飲まず、食事にもほぼ手を付けず、無愛想なまま座り続けている。

 殺気とまではいかないが、緊張の糸は切らしていない。
 何かあれば瞬時に動き、澗宇を守ろうという気配がありありと漂っている。

 同盟を結んだとはいえ、侶普は俺のことをほぼ知らないはず。警戒するのは当然だ。

 そして俺の傍に控えている華候焔は酒に口を付けてはいるが、戦の宴の時とは違い静かだ。

 少し気になって時折見やると、無言で酒の肴を摘まみながら侶普や澗宇に視線を送っている。
 元は一緒に力を合わせていた仲なのだから、関係は悪くないはず。
 しかし華候焔からは喜びよりも、どこか思い詰めたような気配を感じてしまう。

 一度華候焔に声をかけたほうがいいだろうかと考えていると、澗宇が俺に身を寄せ、小声で囁いた。

「あの、誠人さん……少し兄と話をさせて頂いても良いですか?」

「あ、ああ、もちろん」

 俺が頷いて見せると、澗宇はゆっくりと立ち上がって華候焔の元へ向かう。

 周囲のざわめきで彼らの声は聞こえないが、人懐っこく微笑みながら話しかけた澗宇につられ、華候焔も笑みを浮かべる。

 彼らは現実でもゲーム内でも顔を合わせていなかったのだろうか? 久しぶりの再会を喜んでいるように見えた。

 何か事情がありそうだと思っていると、ずっと動かなかった侶普がおもむろに俺の元へやって来た。
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