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九話 新たな繋がり
同盟成立
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「これなら安心して誠人さんにお願いすることができます」
スッ、と俺から手を離し、澗宇は背筋を正す。
凛とした表情はから、ずっとこの世界で領主であり続けてきた貫禄が漂っていた。
「僕は誠人さんがこの世界で一番の強者――至高英雄になって頂くために、同盟を結びたいと思います。才明さんが話されていた新しい武器を作る素材も、戦のための兵糧も、増援も惜しみません。どうか僕に誠人さんを手伝わせて下さい」
澗宇の表明を聞きながら、俺は夢でも見ているのか? と一瞬思ってしまう。
自らの力で領土を広げ、この世界で唯一の勝者となることを目的とするゲーム内で、自分が勝ち上がることを降りる領主がいるなんて……。
もし澗宇が勝者になりたいと望むならば、華候焔は弟である彼のために戦うはず。どんなに手強い敵がいても、広大で豊かな領土と最強の武将を含む豊富な人材を手にしているなら、澗宇自身が無力でも勝ち上がることは可能だ。
澗宇の眼差しも、漂ってくる空気も、戯れや騙しを感じさせるものではない。本気で俺を勝たせたいと思っているのが伝わってくる。
勝者となれない事情が他にもあるのだろうか?
理由があるから華候焔は勝者にしたい領主を探し、いつかは澗宇と引き合わせたいと考えていたのだろうか?
何かありそうだとは思う。
しかし俺と同じように、このゲームの終焉を心から望んでいる貴重な同志。自らここまで出向いてくれた彼を拒絶したくはなかった。
「ありがとう澗宇。本来なら俺から頭を下げて、同盟を願わなければいけないというのに……同盟の申し出、ありがとう。こちらこそよろしくお願いしたい」
改めて俺が右手を差し出すと、澗宇はすぐに顔を綻ばせた。
「はいっ! 最前線では戦えない僕にできることは限られてしまいますが、可能な限り誠人さんの要望にお応えしますので、いつでも連絡してください」
「そう言ってもらえると本当にありがたい。何かあれば俺も澗宇を助けに向かう。必ず君を守ってみせる」
「フフ、ありがとうございます。でもご安心下さい。僕には侶普がいますから、自分の身はしっかりと守れます……万が一の時は頼りにしておりますね」
握手を交わしながら互いに笑い合う。そして――。
「もし兄から理不尽なことを要求されて困った時は、遠慮なく僕の名を出して下さい。いい抑止力になると思いますから」
……弟に頭が上がらないのか、華候焔……。
誰にも縛られない男だと思っていたが、肉親はまた別らしい。
新たに分かってしまった華候焔の弱みに、俺は顔の緩みを抑えることができなかった。
スッ、と俺から手を離し、澗宇は背筋を正す。
凛とした表情はから、ずっとこの世界で領主であり続けてきた貫禄が漂っていた。
「僕は誠人さんがこの世界で一番の強者――至高英雄になって頂くために、同盟を結びたいと思います。才明さんが話されていた新しい武器を作る素材も、戦のための兵糧も、増援も惜しみません。どうか僕に誠人さんを手伝わせて下さい」
澗宇の表明を聞きながら、俺は夢でも見ているのか? と一瞬思ってしまう。
自らの力で領土を広げ、この世界で唯一の勝者となることを目的とするゲーム内で、自分が勝ち上がることを降りる領主がいるなんて……。
もし澗宇が勝者になりたいと望むならば、華候焔は弟である彼のために戦うはず。どんなに手強い敵がいても、広大で豊かな領土と最強の武将を含む豊富な人材を手にしているなら、澗宇自身が無力でも勝ち上がることは可能だ。
澗宇の眼差しも、漂ってくる空気も、戯れや騙しを感じさせるものではない。本気で俺を勝たせたいと思っているのが伝わってくる。
勝者となれない事情が他にもあるのだろうか?
理由があるから華候焔は勝者にしたい領主を探し、いつかは澗宇と引き合わせたいと考えていたのだろうか?
何かありそうだとは思う。
しかし俺と同じように、このゲームの終焉を心から望んでいる貴重な同志。自らここまで出向いてくれた彼を拒絶したくはなかった。
「ありがとう澗宇。本来なら俺から頭を下げて、同盟を願わなければいけないというのに……同盟の申し出、ありがとう。こちらこそよろしくお願いしたい」
改めて俺が右手を差し出すと、澗宇はすぐに顔を綻ばせた。
「はいっ! 最前線では戦えない僕にできることは限られてしまいますが、可能な限り誠人さんの要望にお応えしますので、いつでも連絡してください」
「そう言ってもらえると本当にありがたい。何かあれば俺も澗宇を助けに向かう。必ず君を守ってみせる」
「フフ、ありがとうございます。でもご安心下さい。僕には侶普がいますから、自分の身はしっかりと守れます……万が一の時は頼りにしておりますね」
握手を交わしながら互いに笑い合う。そして――。
「もし兄から理不尽なことを要求されて困った時は、遠慮なく僕の名を出して下さい。いい抑止力になると思いますから」
……弟に頭が上がらないのか、華候焔……。
誰にも縛られない男だと思っていたが、肉親はまた別らしい。
新たに分かってしまった華候焔の弱みに、俺は顔の緩みを抑えることができなかった。
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