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十一話 大きな前進
頼れる?神獣
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◇ ◇ ◇
身支度を整え、前よりも長くなった廊下を歩いて大広間へ向かう。
「お城、大きくなってすごいでしょー? 領土が拡大したぼーなすで、主要のお城がぱわーあっぷしたんですー」
俺の前を白鐸が案内しながら説明してくれる。
こういう所はゲームらしいんだな、と思いながら白鐸の背中を見つめる。
楕円の肉塊に毛の生えたものが、ピョン、ピョン、と飛び跳ねながら移動する姿はなんともシュールだ。
「主要の城……太史翔の近くの城も、主要だと判定されたのか?」
「あっ、違いますー。ここはいつもの根城ですー。訳あってお休み中の誠人サマをこちらにお連れしたんですー」
あまりに変わりすぎて、根城ということにまったく気づかなかった。
白鐸の説明を聞きながら廊下を見渡す。均等に並ぶ柱の上下に、極彩色の模様が施されている。壁の上部も朱色が塗られ、床にも龍の模様が描かれており、威厳が増している。
今の俺に相応しいとは思えないほどの豪華さ。
そもそも領主としての力量は未熟だ。ここまで領土を拡大できたのは華侯焔や才明、英正たちの頑張りのおかげだ。俺は支えられているだけだ。
歩きながら考えていると、白鐸がぽつりと言葉を溢す。
「……もっと胸を張られて下さいー。誠人サマじゃなければ、誰もここまで力を振るえないんですからー」
「白鐸……」
「ワタシも誠人サマだから、力になりたいと思うんですー。武力も知力も大切ですが、人柄も大切なんですよー。数値化できな凄さがあるんです、誠人サマには」
そういえば、こうして落ち着いて白鐸と話す機会は珍しい。
改めて白鐸も頼もしい存在だと実感して、俺の口元が綻んだ。
「ありがとう、白鐸」
「フフ……ワタシは最後まで誠人サマの味方ですからー。どれだけ不利でも、何が起きたとしても――」
話しながら角を曲がると、扉が開かれた大広間が見えてくる。
入り口の周りも龍や鳳凰といった彫刻が施され、ここでも豪華度が上がっている。
その向こうからざわつきと、何人もの人が話し合っている姿が見え、俺の気持ちが引き締まった。
「どうしたんだ? 何か起きたのか?」
「あー、あれが誠人サマを急遽こちらに戻した理由ですー」
普段通りの、大したことはないと言いたげな口調で白鐸が教えてくれる。
「羽勳たちが誠人サマに直訴したいと声を上げているんですー。何人もの武将を引き連れて、みんなで言い出すんですからー」
「そ、それは、大事じゃないのか?」
「大事だと思いますけど、才明もいますし、誠人サマなら大丈夫ですー。信じてますからー」
待て、俺と才明に丸投げするのか白鐸!?
内心恨めしさでその巨体を揺さぶりたくなりながら、俺は白鐸とともに大広間へ向かった。
身支度を整え、前よりも長くなった廊下を歩いて大広間へ向かう。
「お城、大きくなってすごいでしょー? 領土が拡大したぼーなすで、主要のお城がぱわーあっぷしたんですー」
俺の前を白鐸が案内しながら説明してくれる。
こういう所はゲームらしいんだな、と思いながら白鐸の背中を見つめる。
楕円の肉塊に毛の生えたものが、ピョン、ピョン、と飛び跳ねながら移動する姿はなんともシュールだ。
「主要の城……太史翔の近くの城も、主要だと判定されたのか?」
「あっ、違いますー。ここはいつもの根城ですー。訳あってお休み中の誠人サマをこちらにお連れしたんですー」
あまりに変わりすぎて、根城ということにまったく気づかなかった。
白鐸の説明を聞きながら廊下を見渡す。均等に並ぶ柱の上下に、極彩色の模様が施されている。壁の上部も朱色が塗られ、床にも龍の模様が描かれており、威厳が増している。
今の俺に相応しいとは思えないほどの豪華さ。
そもそも領主としての力量は未熟だ。ここまで領土を拡大できたのは華侯焔や才明、英正たちの頑張りのおかげだ。俺は支えられているだけだ。
歩きながら考えていると、白鐸がぽつりと言葉を溢す。
「……もっと胸を張られて下さいー。誠人サマじゃなければ、誰もここまで力を振るえないんですからー」
「白鐸……」
「ワタシも誠人サマだから、力になりたいと思うんですー。武力も知力も大切ですが、人柄も大切なんですよー。数値化できな凄さがあるんです、誠人サマには」
そういえば、こうして落ち着いて白鐸と話す機会は珍しい。
改めて白鐸も頼もしい存在だと実感して、俺の口元が綻んだ。
「ありがとう、白鐸」
「フフ……ワタシは最後まで誠人サマの味方ですからー。どれだけ不利でも、何が起きたとしても――」
話しながら角を曲がると、扉が開かれた大広間が見えてくる。
入り口の周りも龍や鳳凰といった彫刻が施され、ここでも豪華度が上がっている。
その向こうからざわつきと、何人もの人が話し合っている姿が見え、俺の気持ちが引き締まった。
「どうしたんだ? 何か起きたのか?」
「あー、あれが誠人サマを急遽こちらに戻した理由ですー」
普段通りの、大したことはないと言いたげな口調で白鐸が教えてくれる。
「羽勳たちが誠人サマに直訴したいと声を上げているんですー。何人もの武将を引き連れて、みんなで言い出すんですからー」
「そ、それは、大事じゃないのか?」
「大事だと思いますけど、才明もいますし、誠人サマなら大丈夫ですー。信じてますからー」
待て、俺と才明に丸投げするのか白鐸!?
内心恨めしさでその巨体を揺さぶりたくなりながら、俺は白鐸とともに大広間へ向かった。
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