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十四話 決戦に向けて

●名残りは薄まらなくても

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 次第に身体が激しく揺さぶられ、意識が細切れになっていく。
 刹那の休息すら許されなくて、限界が見えてくる。待てと言えばこの状態でも英正は止まるだろう。

 分かっているから緩む唇からその言葉を漏らしてしまわぬよう、俺は自分から首を伸ばして口づけを求める。

「誠人様……っ」

 英正がもどかしげに目を細めながら、唇を重ねて俺に応えてくれる。
 声も息も奪われ、身内に溜まって溢れていた快感は逃げ道を失う。より深く快楽に囚われてでも、このまま英正の望みに応えたかった。

 舌と息を絡め合いながら、英正が唐突に俺の最奥を熱くした。

「んっ、ンン……ッ、んン――……ッッ」

 一際大きく身体が弾け、俺は腕でも中でも英正を抱き締める。
 全身が脈打つ。与えられる快楽も、感じ入ってしまうことも止められない。

 どこまでも沈んで、俺の世界が一瞬途絶え――意識が浮上した時、全身が未だ熱いことに気づく。

 中も満ちたままで息が苦しい。
 だが、心配げに俺を覗き込む英正が、俺のぼやけた視界に映った瞬間。胸の奥に快楽の火照りとは違う、じんわりと柔らかな熱が込み上げてくる。

 俺の中に、まだ英正がいる。
 ここにいることが当たり前ではない存在が愛おしくて、力の入らない腕で英正を抱き込む。

 首元に英正の顔が埋まる。熱と吐息が俺の首筋を撫で、ぞくりと身体が疼く。

 俺の中がギュッと締り、英正の昂りを感じようとする。
 最奥へ熱を注いだはずなのに、まだ俺が足りないと言わんばかりに硬いままだ。

 英正の息が少し荒い。俺の許しを待っているのだろう。

 そっと英正の頭を撫で、俺は耳元で囁く。

「好きにしていい。これから、ずっと――」

 どこまでも求めてくれて構わない。
 華侯焔に許したことを差し出せば、英正の身体が小さく震える。

「……私が、あの方と同じようにしても構わないのですか? 心まで欲しいと願っても……」

 すぐには答えられなかった。
 まだ身も心も華侯焔に捕らわれているのに、すぐ気持ちを割り切れるものじゃない。

 それでもすべてを許すとなれば――俺は小さく頷く。

 英正の腕が俺の頭を抱き、ゆっくりと力が込められていく。

「ありがとう、ございます……っ……私などに、そこまで……」

 頭を上げると、英正は歓喜に潤んだ目で俺を見つめながら唇を重ねる。

 許しを与えても、俺の様子をうかがいながら緩やかに最奥を揺らし、少しずつ中への抽挿を再開していく。

 気を失う前よりもささやかな動きだが、より淫らに染まった身体はすぐに甘く溶けていってしまう。

 どれだけ身体を重ねても、華侯焔の名残りは薄まらない。
 それでも英正に応えたくて、俺は優しくも激しい快楽に身を委ね続けた――。

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