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第二話 変人の烙印は絶対阻止!

強請られた愛妻弁当

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   ◇ ◇ ◇

 俺がケイロたちのアドバイザーになってから約二週間――それはケイロと夫婦になってどれだけ経ったかでもあるが、俺の中で同意してないから不成立だ。定期的に濃い夫婦生活を送っていたとしても――ほど経過し、この生活に少し慣れてしまった頃だった。

「太智、百谷君、お昼食べよう――って太智、どうしたの……? なんか、少しやつれてるけど……病気?」

 四限目が終わっていつものように俺たちの所へ来た悠が、ぐったりと机に突っ伏す俺を見て心配そうに声をかけてくる。

「病気じゃねぇ……ちょっと、色々あって……朝から疲れた……」

 ……いくら友人でも言えやしねぇ……夜に散々抱かれた挙句、やっと終わってぐったりしている最中に、どうやって知ったのかケイロが「愛妻弁当なるものがあるらしいな。作れ」と言い出して、朝から弁当を作るハメになったなんて……。

 もちろん最初は、疲れてるから無理だ! って断ったのに、「では作る気になるまでお前に張り付いてやろう」とケイロに脅され、いつもより早く起きて渋々作ってやった。……だって、コイツに近づかれるだけで体がビクビクするし、触られたら――その場で身悶えだして、変人通り越して変態確定間違いなし。俺の人生、完璧に終わる。

 一応かあちゃんに仕込まれて、簡単な料理はできる。でも普段から作ってるワケじゃないから本当に大変だった……。
 そんな俺の苦労に気づいているかどうか怪しいケイロは、どこか自慢げに笑いながら弁当を出した。どこにでもあるような青い巾着に入った、二段重ねの黒い弁当箱。俺がたまに使っているもの。自分の弁当が今日は自分用じゃないという光景が不思議だ。

 それに対して俺の今日の昼飯は、かーちゃんが用意してくれた昨日の残り物スペシャル。いつもは今日も手抜きか……と思うところだが、詰めるだけでも案外と面倒だと身に染みて分かったせいで、かーちゃんありがとう……! と心の底から感謝した。

 中身は別々。バレることはないだろうと高を括っていた俺だったが、

「あれ? 百谷君のお弁当箱と袋、太智が持っているのと同じ……?」

 小学生の頃からの友人で一緒に昼飯を食べ合っている悠が、目ざとく指摘してくる。
 思わずヤバ……ッと俺の視線は泳いでしまったが、ケイロは平然とフタを開けて食べ始めていた。かすかに「……美味いな」と呟いた声が聞こえてきてしまって、危うく顔が緩みそうになってしまった。

 こんな時に喜ばせてくるな……バカ野郎。
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