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第2章 ポーショントラブル
33.注意されるようです
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ハジメとエヴァ、ベスパの3人は町役場の前に来ていた。ハジメ以外の2人が先頭に立ち、勢いよく扉を開け放つ。商人ギルドと冒険者ギルドと同じような作りになっており、室内は簡素で質素でギルド先の2つのギルドのような賑やかさはなく、静かという印象。まるで図書館の様な静けさがあった。受付に座っていた男性がエヴァとベスパのバトルモード全開のような顔を見て、恐る恐る声をかけてきた。
「いかがされましたか?」
「ウォールさんはい・ら・っ・し・ゃ・い・ま・す・か?」
ベスパの言葉は丁寧であるが凄みがあった。ベスパの前に立ちハジメは
「そんなに怖い顔で凄まないでください。驚いてしまいますよ。私はこちらの役場から呼び出しをされました、ハジメと申します。すみませんが、なんのご用事があるのか教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
と言った。職員は
「あ、あぁ、ハジメ様でしたか・・・・・。少々お待ちください」
と気の毒そうな顔でそう言って奥へ消えていった。ハジメは2人に向かって
「始めから喧嘩腰だと良い人間関係は築けませんよ。お二人とも綺麗なのですから、笑顔でまずはお話を聞くようにしましょう」
看護師の先輩として後輩を指導する時のように説教をしてしまった。綺麗の言葉で顔がにやけた2人がすぐに真顔に戻した。注意してから褒める生前のハジメの常套手段であった。最近の若い人からはしかるとパワハラと言われ、酷い時はセクハラと言われるのだ。取りあえず褒めておけばそうそう問題は起こらないというのがハジメの出した答えであった。
「お待たせしました。ご足労をお掛けしますが町長室までおいでくださいとのことでした」
と先ほどの男性職員が声を掛けて来た。この職員しっかり教育されてるなとハジメは思った。町長は悪い人ではないのかもしれないと思い始めていた。
3人は職員に案内されて町長室へと入っていった。入ると整頓された空間に質素な机が正面にありその前に町長が立っていた。町長は3人を見ると
「エヴァさんとベスパさんも御一緒でしたか。良かった。呼びに行こうかと思っていたのです」
と安堵のため息を付いた。
「ウォール、あいつはどこ?」
とエヴァが鋭く聞いた。
「まだです。明日到着予定です。着く前にどうしてもハジメさんとエヴァさんと打ち合わせをしておきたかったのです。絶対に碌なことは言わないと思いましたので。少し長い話になりますので、どうぞお座りください」
ウォールは3人に古いが落ち着いた色合いの応接セットに座るように促すと紅茶と茶菓子が運ばれて、テーブルに置かれた。4人は椅子に腰を下ろした。ウォールが明日来ると言った瞬間、2人の雰囲気は幾分和らいだ。ハジメが紅茶を口に入れ一息ついたのを確認すると
「ハジメさんはエルフの国を知っていますか?」
とウォールが口を開く。
「えぇ、知識だけは・・・」
エルフの国。この冒険者の街であるイブから北東に位置する島国であり、その国土の9割ちかくを森林が占めておりエルフが統治している。主産業は調剤薬品や食器とされており、特に薬品が国家産業であると言われている。村の数は多く、一族単位で1つの集落を作り住んでいるため、1つ1つの村の規模は大きくないのが特徴だった。最近では商人との関係性が上手くいっていないと噂されており、ハジメが魔力ポーションを作るまでイブの街ではその価格が高騰していた。ハジメの魔力ポーションが流通し始めたのでイブの街の魔力ポーションの価格は今は落ち着いているが、イブの街から離れるほどまだ魔力ポーションの価格は高い状態が続いている。
ハジメは一般的な知識を伝えるとエヴァはそのハジメの説明に続けて話す。
「今現在エルフの国を治めているのがリオンという者なのですが、凄く傲慢なのです。一生が長いエルフにはよくある性格なのですが、それでも私は彼ほどの傲慢な者はみたことがありません。それくらいたちが悪いのです。私たちはエルフなのでその伝手でハジメさんにリオンが使者を送ったと聞いたのです。それで近々呼び出されるのではないかと思い呼び出された時は必ず一人で行かず私たちに声を掛けて欲しくて今日訪問させていただいたのです。そしたらリナリーから今日呼び出しがあったと聞いて焦ってしまったのです。」
と言うとウォールが
「私は昨日の夜リオン王から明後日に使者が行くのでハジメという者を呼び出すように書状をもらったのです。以前ドワーフの鍛冶職人に同様の呼び出しがあったのですが、その時あまりの物の言いように怒ったドワーフの職人さんはドワーフの国に帰ってしまいこの街には鍛冶職人が居なくなり大変な事になってしまったのです。2年後ようやくアベルさんが住んでくれるようになり町が回るようになったのです。今回同じ轍を踏むわけには行きません。ハジメさんはとても優秀な調剤師さんだと聞いています。魔力ポーションの価格安定を図ってくださったと聞いていますし、そんな方を失う訳にはいきません」
と静かに力強く続けた。ベスパは
「あいつの狙いはおそらく魔力ポーション・体力ポーションを高品質で作れるハジメさんの確保であることは明確です」
と言い拳を握った。ハジメを置いてけ掘りの盛り上がり方をしていた。
「明日の午後一番で使者が来るそうです。使者はアランとのことです」
ウォールも始めの冷静な口調からやや熱くなっているようだった。
「アランか・・・・。面倒なやつですね」
とエヴァが呟く。エヴァ曰くアランは色濃くリオンの思想を受け継いでおり、少々頭も切れるため面倒らしい。排他種的でエルフが一番賢く偉大だと思っているとのことであった。
「打ち合わせしておきましょう」
とベスパが主導し話し合いが始まったのだった。向こうの要求が不明のため結局は行き当たりばったりのその場凌ぎで対応するしかないのだが、基本的にエヴァとベスパ、ウォールが対応してくれることになったのだった。
ハンドブック 8項目目
8-3.街の役所へ行こう:Clear!
「いかがされましたか?」
「ウォールさんはい・ら・っ・し・ゃ・い・ま・す・か?」
ベスパの言葉は丁寧であるが凄みがあった。ベスパの前に立ちハジメは
「そんなに怖い顔で凄まないでください。驚いてしまいますよ。私はこちらの役場から呼び出しをされました、ハジメと申します。すみませんが、なんのご用事があるのか教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
と言った。職員は
「あ、あぁ、ハジメ様でしたか・・・・・。少々お待ちください」
と気の毒そうな顔でそう言って奥へ消えていった。ハジメは2人に向かって
「始めから喧嘩腰だと良い人間関係は築けませんよ。お二人とも綺麗なのですから、笑顔でまずはお話を聞くようにしましょう」
看護師の先輩として後輩を指導する時のように説教をしてしまった。綺麗の言葉で顔がにやけた2人がすぐに真顔に戻した。注意してから褒める生前のハジメの常套手段であった。最近の若い人からはしかるとパワハラと言われ、酷い時はセクハラと言われるのだ。取りあえず褒めておけばそうそう問題は起こらないというのがハジメの出した答えであった。
「お待たせしました。ご足労をお掛けしますが町長室までおいでくださいとのことでした」
と先ほどの男性職員が声を掛けて来た。この職員しっかり教育されてるなとハジメは思った。町長は悪い人ではないのかもしれないと思い始めていた。
3人は職員に案内されて町長室へと入っていった。入ると整頓された空間に質素な机が正面にありその前に町長が立っていた。町長は3人を見ると
「エヴァさんとベスパさんも御一緒でしたか。良かった。呼びに行こうかと思っていたのです」
と安堵のため息を付いた。
「ウォール、あいつはどこ?」
とエヴァが鋭く聞いた。
「まだです。明日到着予定です。着く前にどうしてもハジメさんとエヴァさんと打ち合わせをしておきたかったのです。絶対に碌なことは言わないと思いましたので。少し長い話になりますので、どうぞお座りください」
ウォールは3人に古いが落ち着いた色合いの応接セットに座るように促すと紅茶と茶菓子が運ばれて、テーブルに置かれた。4人は椅子に腰を下ろした。ウォールが明日来ると言った瞬間、2人の雰囲気は幾分和らいだ。ハジメが紅茶を口に入れ一息ついたのを確認すると
「ハジメさんはエルフの国を知っていますか?」
とウォールが口を開く。
「えぇ、知識だけは・・・」
エルフの国。この冒険者の街であるイブから北東に位置する島国であり、その国土の9割ちかくを森林が占めておりエルフが統治している。主産業は調剤薬品や食器とされており、特に薬品が国家産業であると言われている。村の数は多く、一族単位で1つの集落を作り住んでいるため、1つ1つの村の規模は大きくないのが特徴だった。最近では商人との関係性が上手くいっていないと噂されており、ハジメが魔力ポーションを作るまでイブの街ではその価格が高騰していた。ハジメの魔力ポーションが流通し始めたのでイブの街の魔力ポーションの価格は今は落ち着いているが、イブの街から離れるほどまだ魔力ポーションの価格は高い状態が続いている。
ハジメは一般的な知識を伝えるとエヴァはそのハジメの説明に続けて話す。
「今現在エルフの国を治めているのがリオンという者なのですが、凄く傲慢なのです。一生が長いエルフにはよくある性格なのですが、それでも私は彼ほどの傲慢な者はみたことがありません。それくらいたちが悪いのです。私たちはエルフなのでその伝手でハジメさんにリオンが使者を送ったと聞いたのです。それで近々呼び出されるのではないかと思い呼び出された時は必ず一人で行かず私たちに声を掛けて欲しくて今日訪問させていただいたのです。そしたらリナリーから今日呼び出しがあったと聞いて焦ってしまったのです。」
と言うとウォールが
「私は昨日の夜リオン王から明後日に使者が行くのでハジメという者を呼び出すように書状をもらったのです。以前ドワーフの鍛冶職人に同様の呼び出しがあったのですが、その時あまりの物の言いように怒ったドワーフの職人さんはドワーフの国に帰ってしまいこの街には鍛冶職人が居なくなり大変な事になってしまったのです。2年後ようやくアベルさんが住んでくれるようになり町が回るようになったのです。今回同じ轍を踏むわけには行きません。ハジメさんはとても優秀な調剤師さんだと聞いています。魔力ポーションの価格安定を図ってくださったと聞いていますし、そんな方を失う訳にはいきません」
と静かに力強く続けた。ベスパは
「あいつの狙いはおそらく魔力ポーション・体力ポーションを高品質で作れるハジメさんの確保であることは明確です」
と言い拳を握った。ハジメを置いてけ掘りの盛り上がり方をしていた。
「明日の午後一番で使者が来るそうです。使者はアランとのことです」
ウォールも始めの冷静な口調からやや熱くなっているようだった。
「アランか・・・・。面倒なやつですね」
とエヴァが呟く。エヴァ曰くアランは色濃くリオンの思想を受け継いでおり、少々頭も切れるため面倒らしい。排他種的でエルフが一番賢く偉大だと思っているとのことであった。
「打ち合わせしておきましょう」
とベスパが主導し話し合いが始まったのだった。向こうの要求が不明のため結局は行き当たりばったりのその場凌ぎで対応するしかないのだが、基本的にエヴァとベスパ、ウォールが対応してくれることになったのだった。
ハンドブック 8項目目
8-3.街の役所へ行こう:Clear!
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