神々の依頼、面倒なんですけどっ!

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閑話 第1章

23.閑話:セバスチャンとの出会い

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時刻は夕方前、私は一通りの事務仕事を終え一息ついたところだった。もう少ししたら依頼の終わった冒険者たちが報告に来る時間になる。そろそろ受付の手伝いに行こうかと席を立った。

冒険者たちは力を持っており刹那的な生き方を好む男が多い。その為に私がギルド長になる前は若い見た目のよい受付嬢を置くことでトラブルを避けて来たという事実があったが、そのせいで結婚や妊娠により退職することが多く、慢性的な人手不足になっているのだ。最近になりようやく子育てが一段落した元受付嬢を臨時職員として雇うことになってきている。しかしやはりまだ人手は足りないのが現実である。

そして私が受付まで降りると

「マスター、ありがとうございます。まだ空いてますので休んでいただいて大丈夫ですよ」

とベテランの受付が声を掛けてきたが私は右手を上げ「大丈夫だよ」と告げ受付の席に座る。そこへ中堅どころのハーフグラスの冒険者が一人の男を伴って入ってくるのが分かった。

「ここが冒険者ギルドだ。入るぞ」

と言いながらドアが開いた。一般的な冒険者の恰好をした黒い髪の青年が連れられて入ってくる。そのきょろきょろしている様子から恐らく最初の登録だろうと思っていると私の方へ歩いてくる。私の前まで来たので

「冒険者の登録ですね。まずこの箱の中に手を入れていただけますか?」

と鑑定箱を希望者の前に出してきた。青年は恐る恐る鑑定穴に手を入れる。私は希望に満ちた姿に心が躍ると同時に無事にその生を終わらせられるように祈る。それが私のルーチンだった。下から冒険者カードが出てくる。それを取り青年に渡そうとすると、仕事に帰って行くハーフグラスの冒険者を青年が目でその姿を追っているのに気づく。

「箱が青く光るということはこの町に対して危害が及ばないということです。それを確認して行ったのですよ」

と話した。青年が納得したような顔をしたので、冒険者カードにエラーがないか確認して手渡す。

「ハジメ・クラタさんですね。レベルは1と」

「依頼はあそこにある用紙を受付へお持ちください。依頼後は依頼物品と用紙を一緒にお渡しください。それで依頼達成となります」

と伝えると、ハジメさんは

「貼られている依頼に制限はありますか?」

「1回に1つにしてくだされば大丈夫ですよ。あとはあなたの自己責任となりますので。さて、登録料が1000S(シード)となります。」

と答えた。冒険者には自己責任が付き物なのだ。どんな依頼を受けることが出来るのか自分で判断することが求められる。そして依頼の達成度合いはギルド内で信頼度として評価され急ぎの仕事の斡旋あっせん時に使用さることになる。それは内部秘密であるため冒険者たちには公開されていない。

「あの。お金がないので、戦利品を売りたいのですが」

と気まずそうにハジメさんが言うので、売買所へ案内することにする。これである程度力量を図ることが出来るので確認することにした。

「わかりました。ではこちらに。ではこの上にどうぞ」

と銀色のトレーを出すとハジメさんはラビットの鞣革を3枚乗せた。私は驚く。ラビットを狩れるのは登録前の人なら普通と言ったところであるが、その処理は完ぺきに近かった。鞣革は皮を剥ぎ、特定の薬剤につけて乾燥させて初めて鞣革となる。普通の冒険者はラビットの死体を売るのが普通であり、価格は100Sが良いところである。これだけの加工が出来るのであるなら冒険者になるよりも職人として生きた方が安全であり生活は安泰なはずである。正直彼の素性などを聞きたかったがギルド職員にはタブーとされていた。ましてギルド長である自分が興味本位でそれを破ることは出来ない。色々な感情を抑える。

「鞣革3枚ですね。では1500Sですので、500Sお渡ししますね」

と半銀貨1枚を渡した。

「他に聞きたいことはありますか?」

「もしよろしければ1番安い宿と価格を教えて欲しいのですが」

と言うので

「わかりました。ギルドを出て左に行きますとベッドの絵のある看板があります。そこが『白兎』という宿です。1泊1食ついて3500Sです。もう少し安いところもありますが、自己責任でお願いします。白兎はある程度安くて安全であるということです」

と答えた。

「ありがとうございます、えっと・・・・」

とハジメさんが戸惑っている姿を見て名乗っていなかったことに気づく。

「あぁ、私はセバスチャンと申します」

と答える。

「ありがとうございます、セバスチャンさん」

とハジメさんは笑顔を作り頭を下げ、依頼を受けるために移動していった。その優しそうな笑顔の青年に後日色々な街の事情が解決に向かったりトラブルに巻き込まれたりするとは思いもよらなかったが。

こうしてハジメとセバスチャンは出会うことになるのだった。
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