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第4章 人材

75.イヴァンカさんと会うようです

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そこで働く従業員たちは疲れ切っているようで、その目に精気は宿っていなかった。ハジメは何事かと思っていたが、男が階段下にいた武装した男と二言三言言葉を交わすと

「2階へどうぞ、イヴァンカ様のお部屋でご案内します」

と言い階段を昇っていく。ハジメたちもその後に続いた。そして階段正面の扉をノックして

「ハジメ様をお連れしました」

と言い、中へと促された。そしてハジメたちは室内へと入っていく。そこでイヴァンカもまた疲れた表情をしていた。彼女は

「ここまで来てくださりありがとうございます。どうぞ、ソファーへお座りください」

と告げる。ハジメは言われるままにソファーに腰を下ろすが、ひかりあいはその背後に立つ。公の場での定位置である。

「ハジメ様、お呼び立てして申し訳ありません。実はお願いがあって来ていただきました」

とハジメの正面に座ったイヴァンカは言う。

「実は・・・・」

と奴隷が溢れかえっている説明を行った。

「なるほど・・・・。だからイヴァンカさんも従業員の皆さん疲れた顔をしていたのですね」

とハジメが言うと

「えぇ、一昨日昨日で奴隷登録がなんとか終わったところです。隷属魔法の使い手は皆疲れ切って寝込んでおります。でもダス国へ送る人数は減らしたいのです。どうしてもあの国は奴隷の扱いがかなり厳しくなるのです。様々な方に使いを送りましたが、戦争奴隷となると断られるばかりで・・・・」

と頭を下げる。戦争奴隷となると本人は犯罪を犯したわけでも、借金が返せなくなったわけでもないのだ。ただその時その場所に居て、ただ戦争に巻き込まれただけなのである。その扱いは本当に難しく、下手をすれば新たな戦争の火種になることもある。またスパイの可能性も捨てきれないため、貴族や王家は勿論、購入・販売経路を秘匿したがる商人、技術の流出を嫌う職人も購入しないのが当たり前なのである。そのため、一般的には販売要員や身の回りの世話などで買うのだが、その必要数はとても少ないのである。
冒険者の多いダス国は奴隷は消耗品であり、冒険者パーティが荷物持ちとして買い求めることが多いが持ち逃げを避けるため防具や武器を持たさないのが普通である。また時には冒険者たちが逃げるための時間稼ぎとしてその身を捧げさせることもある。その為に死亡率はかなり高くなるのだ。特に獣人だと基礎能力が高く、多くの必需品を持つことが出来るため重宝され、高く売れることもある。

「・・・・わかりました。実は私も奴隷の購入を考えていたところなんですよ」

とハジメが告げると老女の顔に笑顔が戻り、彼女自身が案内してくれると言う。ハジメたち3人はイヴァンカに案内されて1階奥の奴隷部屋へと向かった。

「本来ならこの部屋はこの1/3が定員なのです、しかしどうしても部屋が足りないため、このようになっています」

1人で横になれるスペースもないんじゃないかと思うほど獣人たちが押し込まれている。女性や子供、老人などその年齢層はバラバラである。

「皆さん、家族で集まって貰えますか?」

とハジメがお願いすると、10家族が集まった。一番ハジメに近い犬族の家族に

「あなた方は今までどのような仕事をしていましたか?」

と優しく問う。その家族は母親とその子供3人、親であろう老婆の構成である。

「私は裁縫師として働いておりました。母は教師を引退して家事を手伝ってくれていました」

と女性が言った。

「旦那さんは?」と聞こうとするとイヴァンカが

「若い男は帝国に奴隷兵として買われて、ここにはいないのです」

と静かに感情を殺した声で言う。上の部屋にいたイヴァンカとは違う、支店長としてのイヴァンカが居た。確かにこの場にいる男性は怪我をしているか、老人しかいない。その時あいの声が頭に響く。『人柄は問題ないようです。お求めになっても問題はないかと。今ひかり様とわたくしで情報を集めております。旦那様がお選びになる際の参考にされてください』ハジメは頷き、

「なるほど・・・。では一家全員私の所へ来てください」

と告げるとイヴァンカが

「家族全員ですか?」

と言うので、

「そうです。家族は一緒の方がいいでしょう。その分仕事も頑張ってくれるでしょうから」

と告げるとイヴァンカの瞳に少しばかり感謝が浮かぶ。

「500万sです」

「では、次はそこのご家族の方は?」

とクマ族の家族に問う。

「私は養蜂をしておりました。息子の嫁はその手伝いをしてくれていました」

と言う。3人の子どもは母親にしがみついて震えている。ひかりが問題ないと告げるのでハジメのところに来てもらうことにする。
その後も街の清掃をしていたアライグマ族一家、農家をしていた牛族一家が3家族、行政を担当していたキツネ族の2家族がいた。
アライグマ族の3家族は子供を除いて全員が街の整備や清掃を担っていた。牛族の3家族、キツネ族の2家族も全員がそれぞれ農家、行政をしていた。
ハジメはアライグマ族には街の整備清掃の仕事を、牛族には公園や街にある木々の管理を、キツネ族には商売の手助けをしてもらう予定とした。
これで10家族は終わりである。10家族33人で5000万弱である。人の命が軽い・・・・。ハジメは改めて思う。

その後アライグマ族の男性を10人、女性を10人、キツネ族の男性5人、女性5人を購入した。そしてそこに残ったのは5人の犯罪奴隷のみとなった。犯罪奴隷は購入を止めておく。どんなトラブルになるか分からない。危ない橋は渡らないのである。

「これで全員ですか?」

とイヴァンカに言うと

「あと1部屋あります」

と告げ、ハジメたちを案内する。先ほどの部屋ほどではないが、それなりの人数が居たが、家族は人間族の夫婦で宿屋を経営していた1組のみだけだった。その他には現役の教師が3人、元鍛冶師が1人、酪農家が2人、裁縫師が8人おり、計16人。その他に20人ほど居たがそのうち8人が犯罪奴隷であったので残り12人となったとき、ひかりの声がする。

『あの奥の2人ですが・・・』

ハジメが視線をやると服は安い物だろうが、他の人々よりも汚れていない姿の女性が2人おり、使用人の方が雇って欲しいと言わんばかりに手を挙げている。発言はイヴァンカが許可しなければ出来ない。

『貴族とその召使いですね。夫が貴族だったようですが、国民たちから酷い搾取をしており、かなりの反感を買っていました』

とハジメに告げる。購入は止めておく。これで候補はあと10人。どうしようかと思案していると、イヴァンカの元に従業員の一人が入ってくる。彼女に耳打ちすると

「ハジメ様。購入希望者が2名いらっしゃいました」

と告げる。

「そうですか、それならば私はここまでと致しましょう」

と言い、その場を後にしようとするとイヴァンカに耳打ちした男性がハジメたちを応接室と案内してくれた。そして派手な格好をした商人風の男2人をイヴァンカの所へ案内して行った。

暫くしてイヴァンカが応接室へ入ってくる。

「ハジメ様、本当にありがとうございました。なんとお礼を言ったらいいのか・・・・」

と言う。

「支店長、私どもには丁度良かったのでございますよ、ね、旦那様」

とイヴァンカの前で初めてひかりが言葉を発する。

「そうだね、ひかり。丁度人材を集めていたので」

とハジメが言う。

「・・・まさか、マコンの街をたまわったのは・・・・。いや、なんでございません。失礼しました」

流石支店長にまでなった女性である。ハジメへの追及は途中でやめた。

「さて、お支払いをさせてくださいね」

とハジメが言うとイヴァンカは
明日
「・・・はい。計79名で1億2340万Sでございますが、1億2000万にさせてきます」

と言う。およそ80人でも商船1つよりも少し高いだけであった。ハジメは支払いを済ませる。そして明後日からハジメの私有地に移動してもらうことにする。

奴隷商を後にすると、中央広場のベンチに腰を掛けふーっと深い息を吐く。

「ふふふ。奴隷買ったねー」

とペン太が頭を羽で叩く。

「・・・本当にもうやだ・・・」

と呟く。自分が奴隷を買ったことで自分自身が嫌になる。

「でもね、ハジメ。ハジメが買った人たちは幸せだと言うと思うけどなぁー」

と言いながら頬をハジメにすりすりしてくる。とても暖かい気持ちになる。ペン太様様である。

「旦那様、取りあえずどうやって明日から移動しますか?歩いてというのは危険だと思いますが・・・」

あいが言う。

「取りあえず、馬車屋さんに行こうか。どうせ買う予定だったし」

と2人に告げて馬車屋に向かい、1台のかなりいい馬車と普通の馬車を4台と馬を10頭購入する。なんの罪悪感もなかった。同じく生きる物なのにとハジメは自分の気持ちに苦笑いを浮かべる。

結局その日は元ハジメの家に泊まることにしたのである。そしてマーサの妊娠を皆で祝ったのであった。これで少しハジメの心は救われたのである。

ハンドブック 13項目目

13-2.馬車を買おう:Clear!

13-3.馬を買おう:Clear!
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