神々の依頼、面倒なんですけどっ!

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第6章 新しい国

146.神々の使者だそうです

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あれから2時間後。既に陽は落ちており、道沿いに建てた街灯の光の魔石が大通りを照らしている。これは夜目が利かないくれないから提案されて片手間に作ったものである。彼女はこれを頼りに夜でも情報収集をしてくれているのだ。もう国などから目を付けられ、面倒くさいことにならないだろうと自重をやめた。そのためハジメは便利な生活が送れるようにするという行為に走ったのは元日本人だからなのかもしれない。

まぁともかく、2倍の大きさに空間拡張された食堂にほぼ全員が勢ぞろいしていた。ほぼと言うのは幼い子は既に眠ってしまっているために付き添っている人は来ていないというだけである。子供たちとそれに付き添う人は既に食事は終わっている。

ハジメの目の前にはアパート毎に固まって座っており、一番前にはリーダー、サブリーダーがいた。

「では始めに、私はハジメと言います。この村の相談役みたいなことをしております。そして隣に居るのが執事のウィリアムです」

「旦那様、後は私がお話いたしますので、そちらの椅子にお掛けください」

そう言って書斎から持ってきた椅子にハジメを誘導し、座らせる。そして皆に向かって綺麗なお辞儀をし、口を開いた。

わたくしはウィリアムと申します。こちらに居られるハジメ様の執事をしております。ハジメ様に何かしらの報告などございましたら、私が窓口になりますので、以後よろしくお願いします。そして私の隣にいますのがメイド長のパトリシアとその部下であります戦闘メイドでございます。私が不在でしたらこちらの3名にお声かけください」

その後、神官スクナヒコ、世界樹の子オーダ、船長チャド、副船長カーディス、3農家、鍛冶師、食堂管理のハロルド一家など皆の生活に深くかかわるだろう人物を紹介していった。流石有能常識人執事である。

「・・・取り敢えず皆さんには明日教会にて成人している者でスキルを貰っていない方は洗礼を受けて頂きます。それを加味してご自身がしたい仕事をしていただくようにお願いさせていただきます」

最後に子どもたちの学校の事を話し、明日朝食後からスキルを持っている者から順に面接を行い、仕事を割り振っていくことにし、本日は食事終了後解散ということになった。その日の食事は割と静かであった。まぁ当然と言えば当然である。


そして翌日。

一番最初に現れたのはドワーフ族の3人の男、ガルー、ギル、グルーだった。

それがしども3人は工芸神の加護があったでござるが、今回それは失われてしまったのでござる。唯一拙者に残ったのは建築と酒造のスキルだけでござる」

3人のうち一番年長者であるガルーがひざまずきながら言う。

「親方殿、拙者は建築と酒造のスキルだけでござる」

「某は指導と建築、酒造のスキルだけでござる」

ギルとグルーもガルーに習って跪いた。

「お三方ともお立ちください。今後も建築に酒造、指導をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします」

ハジメは3人を立たせて頭を下げる。彼等に作業場所の隣に酒蔵を建築し酒造をお願いし、4家族の一軒家も建てて貰うことにした。ウィリアムに必要な道具は鍛冶師のカカに最優先で依頼しておくように伝えた。その指示を聞き3人は涙を流しながら喜んだのだった。

工芸神の加護は作る物であればなんでもうまく作れるようになるらしく、特にハシルの大好物であるとされる『酒』は丁寧に仕込めば極上のモノが出来る確率が高くなるらしく、加護を持つ3人はそこを見込まれて好条件でフルティオ国に雇われることになった。そして10年前に『黄金酒ゴールデンリキュール』と呼ばれる最高級の銘柄が出来た。その功績により彼等の酒蔵造設の認可がおりたらしく、かなり懐が暖まり、今から1年ほど前にその施設を大きくするために借金をして増築したのだが、今回の『国別れ』によって他国からの来る商人や旅人がいなくなり、需要が激減してしまい借金を返済できなくなり奴隷落ちしたのだそうだ。そして今回贄として選ばれてしまったらしい。加護が無くなったとしてもかなり美味しい酒を造れるのに、贄として捧げられるなんて、なんとも世知辛い。

彼らが出て行って、次に入ってきたのは猫族の3人組であった。まだ年若いだろう人物を真ん中にし両サイドに中年くらいの猫獣人2人が陣取っている。その光景はどこかでみたような気がする。

「も、もしかして、長老???ちょっと老けてるけど、すけにゃさんとかくにゃさん??」

「な、なんで我らの先祖の名を知ってるにゃ!」

長老(仮)が驚く。その頭をすけにゃに似た男がばこんと拳骨を落とし、土下座をする。

「申し訳ございませんにゃ。神々の使者様。このごにゃん・・・・が飛んだ失礼を・・・」

「気にしないでください。それであなた方は?」
 
ハジメがそう言うと、中年の”かくにゃ”は

「申し遅れましたにゃ。拙者は”ぎんにゃ”と申しますにゃ。隣に居るのが”ごにゃん”、躾けたのが”きんにゃ”と申しますにゃ。先ほど使者様が言われた”長老”と”かくにゃ”、”すけにゃ”は我らが遠い祖先でございますにゃ。突然の祖先の名前に動揺してしまいましたにゃ。使者様であられるので知っていて当然なのでございますが、平にご容赦頂きたく思いますにゃ」

どうやら彼らはハジメが北の塔で出会った長老たちの子孫らしい。あの塔は卒塔婆。あの3人は既にこの世に存在していないのは当然であった。それでも彼らの子孫に出会えたことは嬉しいことだった。

彼らの話では里が滅んだ時、遠く離れた場所に居た長老たちの子は災難を逃れることが出来たらしく、血筋が残ったとのことであった。因みに長老の血筋はごにゃん、すけにゃの血筋はきんにゃ、かくにゃの血筋はぎんにゃらしい。3人は戦闘系のスキルがあったため警備員となって貰うことになった。警備員と言っても諍いの仲裁や迷子の保護などが主な仕事内容となる。

「そもそも我らはチャタル国のB級の冒険者でしたにゃ。国からの依頼でワイバーン退治を受けたのですが、その退治中ワイバーンがシャキール聖国との国境を越えてしまったのですにゃ。しかし手負いの魔物をそのままに出来ず、戦ったのですにゃ。なんとか退治出来たものの、関所を通らずに入国したことになってしまったのですにゃ。状況が状況であったために無断国境越えの罪で死罪にはならず、奴隷に落ちたのですにゃ・・・」

そう言ったきんにゃの表情は苦々しくなっていた。ハジメも彼と同じような顔になる。シャキール聖国は獣人を嫌う傾向が強く、彼らが国境を越えようとしても少なくても4日ほどは審査に時間がとられてしまう。そうなればワイバーンの傷は癒え、シャキールで人を襲うこともあるのだ。それを防いだのに奴隷落ちである。気分が悪くなる。

3人にはB級冒険者としての経験もあるため隊長と副隊長をお願いすることにした。

全ての新しい住民との面接はその日1日では終わらず翌日に持ち越されたのだった。丸2日掛かった面談により、農業スキルを持っていた人物は14人、戦闘系のスキルは17人、裁縫師が8人、運搬が5人、掃除が10人、シスターが2人となった。因みに運搬のスキルを持っている人はウェイター、ウェイトレスとして働いてもらうことになった。
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