大いなる神秘の鍵

第4部 大いなる実践的な秘密、または、知の実現

第4部 序文

第4部 大いなる実践的な秘密、または、知の実現





第4部 序文

　カバラと魔術の気高い知は、超常的な現実的な有効な効率的な力を人に約束する。
　もしカバラと魔術の知が力をもたらさないならば、人は、カバラと魔術の知を虚偽や空虚な無駄な物であると見なすべきである。
　福音書を意訳すると、無上の主イエスは、行いによって教師を判断しなさい、と話している。
　「行いによって判断する」という判断の法則は、絶対であり、誤りが無い。
　もし知を私に信じさせたいのであれば、行いを私に見せなさい。
　人を精神的な解放にまで高めるために、神は、人から神を隠して、ある程度、世界の統治を人に委ねている。
　人が、人の創造者の概念を常に高めて行く事によって、徐々に自身を完成できる様にするために、神は、人が、自然の偉大さと調和によって、神を推測するに任せている。
　人は、「存在の中の存在」という神の名前によってのみ、神を認知している。
　出エジプト記3章14節で、神は、「存在の中の存在」とモーセに名乗った。
　そのため、人は、神を完全には知らず、神についての探求を試みて、神についての想像によってのみ、神を認知している。
　そのため、ある意味で、人は、人の創造主である神の創造主と成る。
　人は神の反映である、と人は信じている。
　人は神を反映している、と人は信じている。
　そのため、人は、自身についての幻想を無制限に拡大して行く事によって、この世に影も形も無い、この世の空間には存在しない、神の影を無限の空間に大まかに描く事ができるかもしれないと考えている。
　神を創造する事。
　自身を創造する事。
　独立する事、不死に成る事、他のものからの影響を受けなく成る事。
　「神を創造する事。自身を創造する事。独立する事、不死に成る事、他のものからの影響を受けなく成る事」は、確かに、プロメテウスの夢想よりも、大胆な計画である。
　「神を創造する事。自身を創造する事。独立する事、不死に成る事、他のものからの影響を受けなく成る事」は、不信心なくらい、大胆な表現である。
　「神を創造する事。自身を創造する事。独立する事、不死に成る事、他のものからの影響を受けなく成る事」は、(神聖な)狂気と思えるほど、大胆な考えである。
　「神を創造する事。自身を創造する事。独立する事、不死に成る事、他のものからの影響を受けなく成る事」は、不信心な誤解をされ易い表現だけが逆説的である。
　「神を創造する事。自身を創造する事。独立する事、不死に成る事、他のものからの影響を受けなく成る事」は、ある意味で、完全に論理的である。
　「神を創造する事。自身を創造する事。独立する事、不死に成る事、他のものからの影響を受けなく成る事」は、達道者達の知が実現と完全な成就を約束している。
　実際、人は、自分の知と徳から類推して、神を創造する。
　人は、人の理想である神についての人の想像を、人に許されている人の精神的な発達段階を超えて、高める事ができない。
　人が敬礼している神は、常に、人の考えや自身の鏡像を拡大したものである。
　徳と正義の絶対を想像する事は、超人的に正しい思いやり深い人に成る事と成る。
　良質な精神は最大の富である。
　人は、戦いと労苦によって、良質な精神を獲得する必要が有る。
　すると、人は、「才能は不平等である」という異議を持ち出すかもしれない。
　ある幼子達は、完全に近い肉体を持って生まれてくる。
　しかし、「進歩している自然のわざが、完全に近い肉体をもたらしている」と人は信じるべきである。
　完全に近い肉体を与えられた幼子は、完全に近い肉体を自分の努力で獲得したわけではないが、少なくとも、完全に近い肉体を、幼子へと繋がっている人達の功績の集結によって、獲得したのである。
　ある人へと繋がっている人達の功績が集結する事は、自然の秘密の1つである。
　自然が根拠無しに何かを行う事はあり得ない。
　金銭や土地の所有権の様に、他人よりも発達した知能の所有権は、無効にできない譲渡権と相続権である。
　イエス。
　神は、創造主である神のわざの完成を、人に求めている。
　人が、自身を損うために、または、自身を向上させるために利用した全ての瞬間は、来世の全てを決定する。
　(正しい)人は永遠の命を生きるので、永遠に明晰な知性の獲得によって、また、永遠に正しい意思の獲得によって、人は自身を形成する。
　なぜなら、不正と過誤の後に残る物は、無秩序への報いである罰しかない。
　善を理解する事は、善を望む事に成る。
　正義の面において、望んでいる事は、行う事に成る。
　そのため、福音書を意訳すると、人は行いによって裁かれる、と記されている。
　人の行いは、人を、人が存在する通りの者にする。
　そのため、すでに話した様に、人の習慣は、人の肉体を、部分的に変化させるし、時には、完全に変化させる。
　人が獲得した肉体の形、または、神が人に獲得させた肉体の形は、人という存在の全てにとって、神意か、運命と成る。
　古代エジプト人が、人型の神の象徴に与えた、動物の頭といった不思議な象徴は、運命の形を表す。
　ティフォンの象徴は、ワニの頭(とカバの腹)を持っている。
　ティフォンは、カバの腹を満足させるために、絶え間無くワニの頭で食べる、運命を定められている。
　そのため、ティフォンは、貪欲と醜悪さで、永遠の破壊の運命を定められている。
　人は、過失か濫用によって、能力を殺してしまったり高めたりできる。
　人は、自然が与えてくれたものを善用して、新しい能力を創造できる。
　大衆は、よく、「愛情は制御できず、全ての人が神を信じられるわけではなく、自分の性格は改善できない」と話す。
　しかし、怠惰な人と、倒錯した人だけが、「愛情を制御できず、神を信じられず、自分の性格を改善できない」のである。
　人は、心から望めば、誠実な人、信心深い人、思いやりがある人、献身的な人に成れる。
　人は、正しさによって、落ち着きを、自分の精神にもたらす事ができる。
　人は、正義によって、全能の力を、自分の意思にもたらす事ができる、様に。
　天において信心の力で統治できれば、地において知の力で統治できる。
　自制する方法を知る人は、自然の王者に成れる。
　後記を、「大いなる神秘の鍵 第4部」で、エリファス レヴィは、話すつもりである。
　どんな手段によって、真の秘伝伝授者は、命の主に成っているのか？
　どの様にして、秘伝伝授者は、悲しみと死を超越しているのか？
　どの様にして、秘伝伝授者は、予言と変身の能力を持つ古代ギリシャの海神プロテウスの様に、自身と他者を変身させるのか？
　どの様にして、秘伝伝授者は、ティアナのアポロニウスの様に、予見の力を発揮するのか？
　どの様にして、秘伝伝授者は、ライムンドゥス ルルスとニコラ フラメルの様に、黄金を錬金するのか？
　どの様にして、秘伝伝授者は、若返るために、復活者ギヨーム ポステルとカリオストロの秘密を得るのか？
　要約すると、「大いなる神秘の鍵 第4部」で、エリファス レヴィは、魔術の究極の言葉を話すつもりである。