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6章 新たな展開
70話 相談そして新たな旅立ち 第二部完
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酒場の扉が開かれた先にいたのは、今の冒険のパートナーのエレナだった。
「おはよう、エレナ」
「朝のお勤めをしておりましたらお昼近くになりましたわ」
エレナの声は少し掠れてて、でもどこかほっとした響きがある。
白い衣の裾が軽く揺れて、朝の光に照らされた金髪がふわりと輝く。
教会の香が、ほんのり彼女の周りに漂っていて、酒場の喧騒の中で逆に目立つ。
どうやら本当に朝からお勤めしてたみたいだな。
頬が少し赤くて、疲れと安堵が混ざった表情が可愛いと思う。
多分教会でも人気者なんだろうなと予想ができる。
なぜこんなに気立てがいいのに彼氏とかできないのが不思議だな。
「エレナ、ちょうどよかったと思うよ。この人もついさっき降りてきたばかりだしね」
リリアがカウンターから余計な一言を投げてくる。
彼女の青いポニーテールが揺れて、いつものツンとした目つきで俺たちを見てる。
口元にニヤリとした笑みが浮かんでるのが、完全にからかってる証拠だ。
「そうなんですか?ここ最近は心身ともに激しかったので、ここに戻って来れてほっとしたのかもしれませんね」
エレナが小さく微笑む。
その笑顔が、疲れた体に似合わず優しくて、俺の胸が少しだけ締めつけられる。
彼女の声は穏やかだけど、どこか力が抜けてる。
「エレナ、あんたは本当にいい子だよね。でもこいつのはタダの怠け者だよ」
リリアが俺を指差して、ニヤニヤしながら言う。
カウンターに肘をついて、俺を値踏みするような視線だ。
「リリア、お前そんなこと言うのか?俺だってなぁ」
「反論あるの?」
「なんか寝心地よくてな。まったりしてたらこの時間になった」
俺は肩をすくめて、苦笑いする。
ベッドのふかふかさが、まだ体に残ってる。
久々に「普通の寝床」で寝たせいか、朝が来ても動く気がしなかったんだよな。
「本当に一生懸命。寝る間もし飲んで準備をした三か月だったので、たまにはいいと思いますよ」
エレナが優しくフォローしてくれる。
その言葉に、胸の奥がじんわり温かくなる。
彼女の瞳が、俺をまっすぐ見ててちょっと照れくさい。
「おう、もっと言ってやってくれ」
俺はエレナにそう言ったんだけど、いつまでたっても先に進まないな。
リリアがニヤニヤしながら俺たちを見てるし、
カウンターの向こうで、他の客がクスクス笑ってるのが聞こえる。
この空気、恥ずかしいし、何で周囲は生暖かく見守ってるんだ全く。
エレナにそうはいったんだけど、いつまでたっても先に進まないな。」
「エレナどうした?何かあったのか?」
エレナの視線が、俺の顔に留まる。
金髪が朝の光に照らされて、淡く揺れている。
いつもより少し瞳が潤んでいて、どうしたんだ?
「昨日挨拶しに行くと言いましたが」
「ちょうどよかった。あの依頼二人でもいいんだよな」
俺はカウンターにいるリリアに一応聞いてみることにした。
「別にいいんじゃない。でもあんた依頼料の前払い金の半分私が持ってるんだけど」
「あ……そうだった」
エレナが首をかしげる。
「依頼?前払い?」
話が分からずにエレナは?している感じだった。
眉が少し寄って、唇が小さく開く。
その仕草が、なんだか愛らしい。
「詳しくは部屋で話す来てくれ。リリアは何か飲み物お願いしてもいいか」
「そういうと思って、ほい」
俺がエレナを連れて散る間に飲み物が用意されだされていた。
オレンジジュース二つだ。
グラスに注がれた鮮やかな橙色の液体が、陽光を浴びてキラキラと輝く。
果物の甘酸っぱい香りがふわっと鼻をくすぐって、喉が自然と動く。
果物のジュースとかあるのは本当に治安が良く物流がしっかりしているからなんだろう。
俺は二人分の飲み物を運びながら部屋に向かった。
グラスが冷たくて、手のひらが少しひんやりする。
部屋について今回の依頼の話をすることにした。
俺は残りの金貨500枚をテーブルの上に置いた。
金属がカチャリと鳴り、テーブルの木目に淡い光が反射する。
「一緒に来てくれるのならこれがエレナの受け取り金額だ」
「もちろんご一緒させてもらいますが……あの……」
なんかエレナらしくもな言いづらそうに上目遣いで俺の方を見てくるので、少しだけドキッとしたのは黙っておこう。
彼女の頬がほんのり赤くなって、瞳が泳いでいる。
指先が衣の裾をぎゅっと握りしめて、震えが伝わってくる。
その仕草に、反則だろこんなの。
こういう時恩案の体でよかったと思う。
男のままだったら、こいつは俺に気があると思って勘違いをしてしまうところだ。
俺は思わず視線を逸らして、オレンジジュースを一口飲んだ。
甘酸っぱい味が喉を通るけど、心臓の音がやけに大きく聞こえる。
「司祭様に俺の事を監視しろとか言われた?」
俺の言葉に、エレナの瞳がぱちくりと瞬く。
金髪が朝の光に照らされて、淡く揺れている。
彼女の指が、錫杖を握る力が少し強くなるのがわかる。
「監視までとは言いませんが……なんでそう思うのですか?」
「それとなくは聴かれるとは思っただけだ。俺怪しいし」
俺は肩をすくめて、軽く笑ってみせた。
でも、胸の奥でざわつきが少しだけ残る。
エレナの表情が、困ったように曇る。
「それでもいい人で、頼りになる人ですわ」
エレナの声が、少しだけ強い。
瞳に決意が宿って、俺をまっすぐ見つめてくる。
その真っ直ぐさが、逆に胸に刺さる。
それにそれ答えになってないけどな。
いい人で頼りになるのが信用できるのなら、世の中すごく簡単だけど。
それこそそんな指摘をしたら話が脱線するのでやめておこう
「司祭様は『一人にするのが危険じゃと言っておる。いい意味でも悪い意味でもな』っておっしゃってました」
「いい意味でも悪い意味でもか」
俺は小さく息を吐いた。
エレナの瞳が、俺をじっと見据える。
彼女の指先が、衣の裾をぎゅっと握りしめている。
「何か心当たりでも?」
「何者かは知らないけど、俺暗殺されかけてるから、それもどこの組織かまだ分かってないし……」
俺は依頼書をパラパラと彼女に振ってみながら。
紙が軽く音を立てて、部屋の空気を震わせる。
エレナの視線が、書類に落ちて、また俺に戻る。
「俺をご指名で依頼なんてね。エレナの方が有名だからエレナ経由で依頼があってもおかしくないだろ」
「それだけ有名になったって事では?」
「なんかよくわからないが……」
エレナの声が、少しだけ明るくなる。
でも、瞳の奥に心配が残ってるのがわかる。
「どうするのですか?」
「魔道王国っていうのも見ていたいし、この国でもいいけど、この剣のメンテも頼みたいから行こうかなとは思ってる」
俺は腰のミスリルソードに軽く手を触れた。
冷たい金属の感触が、掌に残る。
あの戦いの熱が、まだ剣に染みついてる気がした。
「確かにミスリルなどではこの国より、魔法が盛んなアヴァリス大公国の方がいいとは思いますが……」
エレナの声が、少しだけ低くなる。
瞳が揺れて、胸の奥で何か考え込んでるのが伝わってくる。
「もし差別があっても、一応は抑えてほしいとは思う。その国にはその国のルールってやつがあるしな。受け入れがたいのはわかるが」
郷に入っては郷に従えってやつだな。
でも信仰熱いエレナが目の前で差別がで被害にあってる人を見捨てれるかといえば難しいよな。
胸の奥が、少しだけ重くなる。
「それでも来てくれるっていうのなら、俺としてはうれしく思う」
俺がそう言うと、沈みかけてたエレナの顔がぱぁッと花が咲いたみたいに明るくなって微笑みかけてくれる。
金髪が揺れて、瞳がキラキラと輝く。
その笑顔に、俺の胸の重さが少しだけ溶けていく。
そうなったらそうなったときにフォローに入ればいいかと思った。
今の俺は、それでいいかと思った。
「ならこの依頼を受けるな」
「ですがこのお金は受け取るわけには……」
エレナの瞳が揺れる。
金髪が日の光に照らされて、淡く輝く。
彼女の指が、衣の裾をぎゅっと握りしめているのが見える。
「なぜだ?」
「シビさんも受け取らないとなると」
「俺の分は全額リリアに渡したしな。宿代と食事代などで」
エレナの眉が少し寄る。
心配そうな視線が、俺の顔をじっと見つめてくる。
その真っ直ぐさが、胸に刺さる。
「でもリリアさんに半額を支払うのは、多すぎですわ」
「いいんだ、今は欲しい物もないし、一応手持ちで五千枚ほどは持ってるしな」
エレナは小さく息を吐いて、頷いた。
瞳が少し潤んで、唇が震える。
「ならこのお金は預かっておきます」
「ひかないな」
「ならパーティ資金ということで預かっておきます」
「お金のことは任せるって言った記憶あるしな」
確かバステルの街でそんなことを言った記憶がある。
あの時のエレナの真剣な顔が、頭に浮かぶ。
胸の奥が、じんわり温かくなる。
「ですのでパーティーで使う金額はこのお金から使用します」
「了解」
俺はリリアにこの依頼を受けることを伝えて、船の出向を聴いたら3日後だという事がわかったので、明日買いに行こうと思う。
リリアの視線が、俺をじっと見据える。
「船旅ね……気をつけなよ」って、彼女の目が言ってる気がした。
初めての船旅も楽しみだが、魔法大公国はどんなものがあるのか今から楽しみで仕方なかった。
胸の奥で、期待がぽっと灯る。
新しい場所、新しい出会い、新しい謎に冒険。
それが待ってると思うと、眠気が吹き飛ぶ。
エレナの横顔を見ながら、俺は小さく息を吐いた。
このパートナーがいる限り、どんな旅も悪くない気がする。
第二部 完 悪徳の都 城塞都市バステル
「おはよう、エレナ」
「朝のお勤めをしておりましたらお昼近くになりましたわ」
エレナの声は少し掠れてて、でもどこかほっとした響きがある。
白い衣の裾が軽く揺れて、朝の光に照らされた金髪がふわりと輝く。
教会の香が、ほんのり彼女の周りに漂っていて、酒場の喧騒の中で逆に目立つ。
どうやら本当に朝からお勤めしてたみたいだな。
頬が少し赤くて、疲れと安堵が混ざった表情が可愛いと思う。
多分教会でも人気者なんだろうなと予想ができる。
なぜこんなに気立てがいいのに彼氏とかできないのが不思議だな。
「エレナ、ちょうどよかったと思うよ。この人もついさっき降りてきたばかりだしね」
リリアがカウンターから余計な一言を投げてくる。
彼女の青いポニーテールが揺れて、いつものツンとした目つきで俺たちを見てる。
口元にニヤリとした笑みが浮かんでるのが、完全にからかってる証拠だ。
「そうなんですか?ここ最近は心身ともに激しかったので、ここに戻って来れてほっとしたのかもしれませんね」
エレナが小さく微笑む。
その笑顔が、疲れた体に似合わず優しくて、俺の胸が少しだけ締めつけられる。
彼女の声は穏やかだけど、どこか力が抜けてる。
「エレナ、あんたは本当にいい子だよね。でもこいつのはタダの怠け者だよ」
リリアが俺を指差して、ニヤニヤしながら言う。
カウンターに肘をついて、俺を値踏みするような視線だ。
「リリア、お前そんなこと言うのか?俺だってなぁ」
「反論あるの?」
「なんか寝心地よくてな。まったりしてたらこの時間になった」
俺は肩をすくめて、苦笑いする。
ベッドのふかふかさが、まだ体に残ってる。
久々に「普通の寝床」で寝たせいか、朝が来ても動く気がしなかったんだよな。
「本当に一生懸命。寝る間もし飲んで準備をした三か月だったので、たまにはいいと思いますよ」
エレナが優しくフォローしてくれる。
その言葉に、胸の奥がじんわり温かくなる。
彼女の瞳が、俺をまっすぐ見ててちょっと照れくさい。
「おう、もっと言ってやってくれ」
俺はエレナにそう言ったんだけど、いつまでたっても先に進まないな。
リリアがニヤニヤしながら俺たちを見てるし、
カウンターの向こうで、他の客がクスクス笑ってるのが聞こえる。
この空気、恥ずかしいし、何で周囲は生暖かく見守ってるんだ全く。
エレナにそうはいったんだけど、いつまでたっても先に進まないな。」
「エレナどうした?何かあったのか?」
エレナの視線が、俺の顔に留まる。
金髪が朝の光に照らされて、淡く揺れている。
いつもより少し瞳が潤んでいて、どうしたんだ?
「昨日挨拶しに行くと言いましたが」
「ちょうどよかった。あの依頼二人でもいいんだよな」
俺はカウンターにいるリリアに一応聞いてみることにした。
「別にいいんじゃない。でもあんた依頼料の前払い金の半分私が持ってるんだけど」
「あ……そうだった」
エレナが首をかしげる。
「依頼?前払い?」
話が分からずにエレナは?している感じだった。
眉が少し寄って、唇が小さく開く。
その仕草が、なんだか愛らしい。
「詳しくは部屋で話す来てくれ。リリアは何か飲み物お願いしてもいいか」
「そういうと思って、ほい」
俺がエレナを連れて散る間に飲み物が用意されだされていた。
オレンジジュース二つだ。
グラスに注がれた鮮やかな橙色の液体が、陽光を浴びてキラキラと輝く。
果物の甘酸っぱい香りがふわっと鼻をくすぐって、喉が自然と動く。
果物のジュースとかあるのは本当に治安が良く物流がしっかりしているからなんだろう。
俺は二人分の飲み物を運びながら部屋に向かった。
グラスが冷たくて、手のひらが少しひんやりする。
部屋について今回の依頼の話をすることにした。
俺は残りの金貨500枚をテーブルの上に置いた。
金属がカチャリと鳴り、テーブルの木目に淡い光が反射する。
「一緒に来てくれるのならこれがエレナの受け取り金額だ」
「もちろんご一緒させてもらいますが……あの……」
なんかエレナらしくもな言いづらそうに上目遣いで俺の方を見てくるので、少しだけドキッとしたのは黙っておこう。
彼女の頬がほんのり赤くなって、瞳が泳いでいる。
指先が衣の裾をぎゅっと握りしめて、震えが伝わってくる。
その仕草に、反則だろこんなの。
こういう時恩案の体でよかったと思う。
男のままだったら、こいつは俺に気があると思って勘違いをしてしまうところだ。
俺は思わず視線を逸らして、オレンジジュースを一口飲んだ。
甘酸っぱい味が喉を通るけど、心臓の音がやけに大きく聞こえる。
「司祭様に俺の事を監視しろとか言われた?」
俺の言葉に、エレナの瞳がぱちくりと瞬く。
金髪が朝の光に照らされて、淡く揺れている。
彼女の指が、錫杖を握る力が少し強くなるのがわかる。
「監視までとは言いませんが……なんでそう思うのですか?」
「それとなくは聴かれるとは思っただけだ。俺怪しいし」
俺は肩をすくめて、軽く笑ってみせた。
でも、胸の奥でざわつきが少しだけ残る。
エレナの表情が、困ったように曇る。
「それでもいい人で、頼りになる人ですわ」
エレナの声が、少しだけ強い。
瞳に決意が宿って、俺をまっすぐ見つめてくる。
その真っ直ぐさが、逆に胸に刺さる。
それにそれ答えになってないけどな。
いい人で頼りになるのが信用できるのなら、世の中すごく簡単だけど。
それこそそんな指摘をしたら話が脱線するのでやめておこう
「司祭様は『一人にするのが危険じゃと言っておる。いい意味でも悪い意味でもな』っておっしゃってました」
「いい意味でも悪い意味でもか」
俺は小さく息を吐いた。
エレナの瞳が、俺をじっと見据える。
彼女の指先が、衣の裾をぎゅっと握りしめている。
「何か心当たりでも?」
「何者かは知らないけど、俺暗殺されかけてるから、それもどこの組織かまだ分かってないし……」
俺は依頼書をパラパラと彼女に振ってみながら。
紙が軽く音を立てて、部屋の空気を震わせる。
エレナの視線が、書類に落ちて、また俺に戻る。
「俺をご指名で依頼なんてね。エレナの方が有名だからエレナ経由で依頼があってもおかしくないだろ」
「それだけ有名になったって事では?」
「なんかよくわからないが……」
エレナの声が、少しだけ明るくなる。
でも、瞳の奥に心配が残ってるのがわかる。
「どうするのですか?」
「魔道王国っていうのも見ていたいし、この国でもいいけど、この剣のメンテも頼みたいから行こうかなとは思ってる」
俺は腰のミスリルソードに軽く手を触れた。
冷たい金属の感触が、掌に残る。
あの戦いの熱が、まだ剣に染みついてる気がした。
「確かにミスリルなどではこの国より、魔法が盛んなアヴァリス大公国の方がいいとは思いますが……」
エレナの声が、少しだけ低くなる。
瞳が揺れて、胸の奥で何か考え込んでるのが伝わってくる。
「もし差別があっても、一応は抑えてほしいとは思う。その国にはその国のルールってやつがあるしな。受け入れがたいのはわかるが」
郷に入っては郷に従えってやつだな。
でも信仰熱いエレナが目の前で差別がで被害にあってる人を見捨てれるかといえば難しいよな。
胸の奥が、少しだけ重くなる。
「それでも来てくれるっていうのなら、俺としてはうれしく思う」
俺がそう言うと、沈みかけてたエレナの顔がぱぁッと花が咲いたみたいに明るくなって微笑みかけてくれる。
金髪が揺れて、瞳がキラキラと輝く。
その笑顔に、俺の胸の重さが少しだけ溶けていく。
そうなったらそうなったときにフォローに入ればいいかと思った。
今の俺は、それでいいかと思った。
「ならこの依頼を受けるな」
「ですがこのお金は受け取るわけには……」
エレナの瞳が揺れる。
金髪が日の光に照らされて、淡く輝く。
彼女の指が、衣の裾をぎゅっと握りしめているのが見える。
「なぜだ?」
「シビさんも受け取らないとなると」
「俺の分は全額リリアに渡したしな。宿代と食事代などで」
エレナの眉が少し寄る。
心配そうな視線が、俺の顔をじっと見つめてくる。
その真っ直ぐさが、胸に刺さる。
「でもリリアさんに半額を支払うのは、多すぎですわ」
「いいんだ、今は欲しい物もないし、一応手持ちで五千枚ほどは持ってるしな」
エレナは小さく息を吐いて、頷いた。
瞳が少し潤んで、唇が震える。
「ならこのお金は預かっておきます」
「ひかないな」
「ならパーティ資金ということで預かっておきます」
「お金のことは任せるって言った記憶あるしな」
確かバステルの街でそんなことを言った記憶がある。
あの時のエレナの真剣な顔が、頭に浮かぶ。
胸の奥が、じんわり温かくなる。
「ですのでパーティーで使う金額はこのお金から使用します」
「了解」
俺はリリアにこの依頼を受けることを伝えて、船の出向を聴いたら3日後だという事がわかったので、明日買いに行こうと思う。
リリアの視線が、俺をじっと見据える。
「船旅ね……気をつけなよ」って、彼女の目が言ってる気がした。
初めての船旅も楽しみだが、魔法大公国はどんなものがあるのか今から楽しみで仕方なかった。
胸の奥で、期待がぽっと灯る。
新しい場所、新しい出会い、新しい謎に冒険。
それが待ってると思うと、眠気が吹き飛ぶ。
エレナの横顔を見ながら、俺は小さく息を吐いた。
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第二部 完 悪徳の都 城塞都市バステル
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