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4章 山頂へ
87話 欲望と幻の輪舞
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もう朝か、俺が目を覚ますと違和感を感じた。
体が重く、頭の奥がぼんやりするのに、今日は久しぶりに悪夢を見ずに熟睡できたはずだ。
いつもなら夢の中で山の囁きやエレナの涙に苛まれていたのに、今日は何も覚えていない。
それが逆に不気味で、胸の奥に冷たい違和感が広がる。
「エレナ、おはよう」
返事がない。
静寂が洞窟に響き、俺の声だけが反響して返ってくる。
毛布を速攻で剥ぎ取り、周囲を見回すと、エレナの姿はなかった。
寝床の毛布は乱れ、彼女の体温が残るはずの場所が冷たくなっている。
トイレか何かだろうか?
いや、場所を離れるとしたら、声をかけるはずだ。
連絡をしないのは危険だとわかっているはず、特にこんな変な場所では。
俺の心臓がドクンと鳴り、血の音が耳に響く。
俺はすぐに、自分の装備を確認して探しに行く準備をした。
剣の柄を握り、鞄の位置を確かめた。
体がまだ重いが、疲労が残る中でも動きは速かった。
まずは現場を調べてみた。
泥の地面に、彼女のブーツの小さな跡がくっきり残っている。
焚き火は低く燃えていて、炎が弱く揺れ、灰が少し積もっている。
見張りの椅子を触ってみると、冷たいので、いなくなって数時間だという事がわかった。
椅子に残った体温はなく、石のように冷え切っている。
慌てて周囲を調べると、洞窟の奥へと続く泥の上に、彼女のブーツの跡が続いていた。
泥の足跡の中に指で触ってみた。
指先が冷たい泥に沈み、ぬるっとした湿りが皮膚に張り付く。
まだ泥が戻りきっていない。
指で押した跡がゆっくりと元に戻り始め、泥の表面が少しずつ平らになっていく。
指を離すと、泥がべっとりと残り、冷たい感触が指の腹に染み込んでくる。
……いなくなってから二・三時間は経っているな。
これでも用心に越して普段の数倍は呪文矢罠を設置したというのに。
防御結界、悪意からのバリア、部外者が来た時にアラームが鳴る呪文、許可ない物は入れない結界……考えられるだけの呪文を俺とエレナで重ねた。
さらに呪文を回避する敵かもしれないので、人力の罠も数種類作った。
落とし穴の擬装、糸で張った警報、岩に仕込んだ転倒トラップ、毒針の隠し扉……全部、スルーした上でエレナが消えていた。
罠を解くのに少し時間をかかったけど、俺はエレナを探しに先に進んだ。
やはり罠は全部解かれてなかった。
落とし穴の蓋がそのまま、糸が切れていない、岩が動いていない。
どのようにして先に進んだというんだ。
罠に触れた形跡すらなく、ただエレナの足跡だけが、罠の間をすり抜けるように続いている。
糸は切れていない。
落とし穴の蓋は動いた跡もなく、毒針の隠し扉は閉まったまま。
罠の周りの土も乱れず、埃が薄く積もったままなのに、足跡だけがぴたりと罠の間を避けて進んでいる。
足跡は休憩場所と罠が無い場所からまた再開されていたことだ。
休憩場所の毛布の周りには足跡がぴたりと途切れ、毛布の端にさえ土の汚れがついていない。
罠の前で完全に消え、次の泥の場所で突然ぽつりと現れている。
足跡の間隔が均等で、急いだ形跡もない。
まるで「歩かずに移動した」ような、不自然な空白だった。
なぜ俺はすぐに寝てしまったんだ。
疲労が激しかったのは確かだが、目をつむった瞬間意識が落ちるなんて異常だ。
精神防御が効いているはずなのに、何か見えない力が俺を眠らせたのか。
エレナ頼む無事でいてくれ。
気が焦る。
胸の奥が締め付けられ、息が浅くなる。
どこに行った。
頼む無事でいてくれ。
心配以上に、彼女がいないとこんなに不安で心細いんだと改めて実感した。
洞窟の冷たい空気が肺に刺さり、静けさが耳に痛い。
エレナの声が聞こえないだけで、世界が空っぽになったみたいだ。
早く声が聴きたい。あの穏やかで安心させるあの声に。
優しく「シビさん」って呼んでくれる、あの柔らかい響きが恋しい。
体が勝手に震え、指先が冷たくなる。
そう思った矢先だった。
目の前から大きな石が転がり込んで来た。
岩肌から剥がれたような、ゴロゴロと低く響く音を立てて、俺の足元に向かって迫ってくる。
直径1メートル近くある巨大な石が、勢いよく転がり、土を削りながら近づく。
俺は咄嗟に手をかざして力ある言葉を発する。
「形ある器よ、塵に還れ。粉塵崩壊」
言葉が空気を震わせ、俺の手から淡い光が迸る。
目の前に転がってきた大きな石は瞬時にその場で粉塵化していった。
石の表面がひび割れ、内部から細かな粒子が噴き出し、灰色の雲のように砕け散った。
音もなく崩壊していった。
残ったのは地面に積もる薄い灰と、かすかな土の匂いだけが残った。
石の勢いが止まり、周囲の空気が一瞬静かになる。
邪魔するな。
俺は歯を食いしばって前を見据えながら登り道を進んでいく。
そのまま進むと、今度は氷の壁ができた迷路になっていた。
透明な氷の壁が無数に立ち並び、光を乱反射して視界がキラキラと白く輝く。
壁の表面は鏡のように滑らかで、自分の姿が歪んで無数に映り、方向感覚が一瞬で狂う。
足元は薄い氷の膜が張り、踏むたびにパキッと小さな音が響き、冷気が足首から這い上がってくる。
壁の向こうにエレナの影がちらちら見える気がするのに、どの方向からも同じように見えて、迷路が俺を嘲笑っているようだ。
「ミラーハウスか……面倒だな」
俺は手をかざしてもう一度粉塵崩壊をして壁抜きをする。
力ある言葉を吐き出すと、手から淡い光が迸り、目の前の氷の壁が一瞬で粉々に砕け散る。
氷の破片がキラキラと光を散らし、細かな粒子が空気に舞って視界を白く染める。
何枚も何枚もぶち壊す。
壁が崩れるたびに冷たい風が吹き抜け、破片が肌に当たってチクチク刺す。
エレナ待っていてくれ。必ず助ける。
呪文の使い過ぎで、視界が歪み、脳を直接灼かれるような痛みが襲ってきた。
頭の奥が焼けるように熱くなり、視界がぐにゃりと曲がる。
額に汗が噴き出し、息が荒くなる。
……っ、が……
ミスリルソードを杖代わりに、一歩、また一歩と泥沼を行くように足を引きずりながら前を進んだ。
剣の柄が掌に食い込み、冷たい金属の感触が唯一の支えになる。
足が重く、泥に沈むようにずぶずぶと沈み込み、引き抜くたびにぬちゃっと音がする。
それでも前へ歩みを止めずに進んだ。
その時だった。
鼓膜を通さず、脳髄の奥底で直接、粘りつくような音が弾けた。
『なぜ、そんなに求める?』
男のような、女のような。あるいは無垢な赤子の産声と、枯れ果てた老人の喘ぎが同時に重なり合ったような、矛盾に満ちた響きが聴こえてきた。
それは喉の奥でねっとりと絡みつくような、耳ではなく心臓を直接震わせる音だった。
頭蓋骨の内側に、冷たい粘液が滴り落ちるような感覚。
思考そのものを他者の意思に書き換えられるような、おぞましい侵食感が、ゆっくりと広がっていった。
自分の記憶が、じわじわと他人のものに塗り替えられていくような恐怖。
額から汗が噴き出し、視界の端が白く滲む。
「パートナーだからだ! 俺にとっては大事な仲間だからだ!」
俺がこんな言葉を言うなんてな。まるで漫画や小説の主人公みたいだ。
ファンタジーの世界でこのようなトラブルがあるんだったらそう感じるのも無理はない。
ミスリルソードを支えに這い進む俺の脳裏に、あの音が再び這い回る。
『なぜ偽る? 異なる世界より零れ落ちた「異邦の魂」よ』
声は、氷の針で脳の皺をなぞるように冷酷だった。
赤子の産声のような甲高さと、死を待つ老人の枯れた残響が交互に重なり、男とも女ともつかぬその響きが、俺の精神の輪郭をドロドロに溶かしていく。
頭の奥で何かがずるずると剥がれる感覚を感じる。
額から汗が滴り、視界の端が白く滲んできた。
息が浅くなって、肺が凍りつくように痛んでいる。
まるで自分の記憶が、ゆっくりと他人のものに塗り替えられていくような恐怖があった。
助けてくれ、逃げたいと本能が訴えてもいた。
『お前はその若く美しい「器」を隠れ蓑に、彼女を欺いているに過ぎない。……思い出してみろ。生前、お前が飢えた獣のように求めても手に入らなかった「極上の女」が、今は無防備に、その小さな手をお前に預けているではないか』
声は耳ではなく、頭蓋の内側に直接染み込んでくる。
甘くねっとりとした、蜜のように濃厚な響きが、脳の皺を這い回り、思考の隙間に絡みつく。
喉の奥で何かが蠢き、吐き気と一緒に欲望が込み上げてくる。
生前の記憶が無理やり引きずり出され、飢えた獣のような自分が、今の少女の体に重なる。
「やめろ……黙れ……っ!」
声が震え、喉が焼けるように痛む。
ミスリルソードの柄を握る指が白くなるほど力を込めても、震えが止まらない。
歯を食いしばり、唇を噛んで血の味が広がる。
激しい心拍。それは、かつての俺としての欲望が、今の少女の肉体を媒介に暴走を始めた合図だった。
心臓がドクドクと耳元で鳴り響き、血の音が頭蓋を震わせる。
胸の奥が熱く疼き、下腹部がじわりと熱を持つ。
少女の体が、俺の本能を裏切り、甘く反応し始める。
息が浅くなり、吐く息が白く凍るように熱いのがわかる。
聖女の包容力、しなやかな指先、柔らかな体温。
それを思い出すたび、脳内にドス黒い蜜のような思考が溢れ出す。
「抱きたい。汚したい。彼女の純潔を、俺のものにしたい」
その思考が、自分のものか、他人のものかわからなくなる。
『その気高さを汚し、絶望に濡れた瞳で、お前だけに縋る姿を見たいのではないのか? この数日、お前の網膜を焼いたあの淫らな幻覚……。彼女を組み敷き、その清らかな魂を、お前という名の毒で塗りつぶしたいと思ったのではないか?』
声は、氷の針で脳の皺をなぞるように冷酷だった。
赤子の産声のような甲高さと、死を待つ老人の枯れた残響が交互に重なり、男とも女ともつかぬその「響き」が、俺の精神の輪郭をドロドロに溶かしていく。
頭の奥で何かが「ガリガリ」と削られ、自分の「俺」が少しずつ欠けていく。
朦朧とする意識の中で、声が甘く囁き続ける。
俺の「アイデンティティ」が、ゆっくりと砕かれていく。
『なぜ、この最高の肉体と機会を無駄にする? 今のお前なら、彼女の懐に潜り込み、その喉笛を、あるいはその処女性を、赤子の手をひねるように奪えるというのに。さあ、その剣を杖にするのをやめ、彼女を絡め取る「牙」とせよ』
声は脳の奥で甘くねっとりと絡みつき、欲望の記憶を無理やり掘り起こす。
エレナの柔らかな胸の感触、白い肌の温もり、震える指先が俺の背中を掴む感触を。
銀色の髪が地面に散り、泥に汚れる。
髪が泥にべっとりと張り付き、冷たい土の感触が頭皮に染み込む。
銀の輝きが泥の黒に汚され、俺の体が地面に沈み込むように重くなる。
自らの内側に潜む欲望という獣が、声に呼応して歓喜の遠吠えを上げるのを感じ、俺は自らの存在が、内側から腐り落ちていくような、底なしの恐怖に震えた。
体が熱く疼き、欲望が血管を逆流するように駆け巡る。
その熱は、俺のものじゃなく欲望の獣そのものだった。
吐き気が込み上げ、胃の奥がひっくり返る。
精神防御がまだ効いているはずなのに、隙間から欲望が漏れ出して、俺が俺自身を食い荒らしていた。
「あぁお前の言うとおりだよ。くそったれ。……だけどな、二度も三度も同じ事をネチネチと、邪魔なんだよ」
目の前には、無数のエレナがいつのまにか溢れていた。
ある彼女は、淫らな肢体をさらしていた。
薄い布を肩からずり落とし、胸の膨らみを大胆に晒して俺に近づいてくる。
白い肌が汗で光り、乳首が硬く尖って布を押し上げ、腰をくねらせて誘うように体をくねらせる。
甘い吐息が俺の耳元にかかり、熱く湿った息が首筋を撫でる。
別のエレナは、幼子のように無垢な瞳で縋る彼女は、大きな瞳を潤ませて俺の足元に跪き、小さな手で俺の裾を掴もうと進んで来た。
「シビさん……守ってください……」
震える声が、俺の心を締め付ける。
成熟した色香で誘う彼女は、唇を湿らせ、舌先で俺の首筋をなぞるように近づき、指を俺の胸に這わせる。
指先が布地越しに俺の肌を撫で、ゆっくりと下へ滑っていく。
「来て……私を、全部……」
それらすべてが、俺の内側にある欲望を呼び覚まそうと、甘い吐息を吹きかけてくる。
吐息は蜜のように甘く、鼻腔に絡みつき、頭の奥まで染み込んでくる。
体が熱くなり、下腹部が疼き、欲望が血管を逆流するように駆け巡る。
『どの彼女をお前は望む』
脳を直接揺さぶる、あの不快な声。
声は喉の奥でねっとりと絡みつき、思考の隙間に染み込んでくる。
だが、恐怖の限界を超えた先で、私の中に宿ったのは真っ黒な殺意と不快感だった。
こんな幻覚に弄ばれる自分も、言い負かされそうになった情けなさも、そして何よりこの陰険な精神攻撃を仕掛けてくる声の主も、この島に渦巻くすべてが、反吐が出るほど癪に障る。
まずは認めてやるよ。てめえの言うことは多分本当なんだろう。
俺が彼女を求めているのもそうなんだろうな。
でもなぁ理性があるから人は獣ではなく人間なんだよ。
俺は震える指で指輪を撫で、自らの魂を削るようにして、力ある言葉を綴り始めた。
指先が冷たく震え、指輪の金属が熱く脈打つように感じる。
震えが止まらず、指輪の表面を撫でるたびに、皮膚が引きつるような痛みが走る。
自らの魂を削るようにして、喉の奥から絞り出す言葉が、俺の体を内側から焼き尽くす。
声が震え、息が熱く乱れる。
「炎帝ザハクの縁に従い我は望み従え、世界の理をもち更なる魔力を与えよ!」
詠唱が完了した瞬間、大気が悲鳴を上げた。
空気が引き裂かれるような鋭い音が響き、洞窟全体が震える。
地面に走った亀裂から、劫火が噴き出した。
赤く燃え盛る炎が俺の細い身体を護るように螺旋を描き、猛々しい龍の姿を形作る。
炎の鱗が青白く輝き、龍の目が俺の瞳を映して燃え上がる。
熱風が髪を煽り、肌を焼くように熱い。
「吹き飛びやがれッ!!」
両の手を重ね、人差し指と親指で円を形作る。
そこはもはや、魔法を放つための回路ではない。
俺の怒りと、歪んだ欲望さえも燃料へと変換する砲口だった。
手のひらの中心に青白い光が凝縮し、熱が皮膚を焦がすように疼く。
指の間から光が漏れ、指先が焼けるように熱い。
肩を落とし、地を這うような低重心の構えをする。
銀髪が熱風に煽られて逆立ち、青白い光が指の間から溢れ出す。
「「焔竜吼」!!」
解き放たれたのは、熱狂的な暴力の奔流だった。
視界を埋め尽くしていた沢山の偽物のエレナたちが、声も上げられず白熱の光の中に蒸発していく。
偽物の肌が溶け、髪が灰になり、甘い吐息が熱に飲み込まれて消える。
一直線に伸びた炎の柱は、洞窟の壁を、そして山そのものを内側から喰い破るようにして突き進んだ。
壁が溶け、岩が爆ぜ、轟音が鼓膜を圧し、全身を揺さぶる振動が骨まで響く。
熱風が顔を焼き、汗が蒸発するように乾く。
『そこまで拒否をするか、異邦の魂よ。……実に面白い。先にて待つ』
消えゆく残響の中で聞こえた声に、俺はミスリルソードを杖のように突き立てた。
熱に浮かされた瞳で闇を睨みつけ警戒をした。
「ちっ……また死者に力を借りるとはな。情けねえかぎりだ……」
肺を焼くような熱い呼気を吐き出す。
息が熱く、喉の奥が焦げるように痛む。
吐き出した息が白く凍り、洞窟の冷たい空気に溶けていく。
指輪の熱がまだ掌に残り、皮膚がジリジリと焼けつく感覚が消えない。
体が重く、膝がガクガク震え、汗が額から滴り落ちて視界を滲ませる。
この指輪の真価は、前回の窮地で身を以て知った。
瞬間移動だけではなかった。
ザハクの、その暴力的なまでの根源魔力を借りることができる。
何度も使用したら何かしらのペナルティはあるかもしれないが、今の俺には、使うしか道が無かった。
震える足に鞭を打ち、崩落した壁の隙間を抜けて洞窟の道を上り進めて行き。
足が泥に沈み、引き抜くたびにぬちゃっと音が響く。
崩落した岩の破片が足元に転がり、踵に当たって痛みが走る。
息が乱れ、肺が焼けるように熱く、汗が背中を伝って冷たくなる。
壁の隙間から冷たい風が吹き抜け、銀髪を乱暴に煽る。
大きな部屋へと辿り着いた。
そこは、不気味なほど静まり返った巨大な円形の広場だった。
天井が高く、暗闇が重く垂れ下がり、光が届かない奥が黒く沈んでいる。
地面は冷たい石床で、足を踏み入れるたびにカツンと硬い音が響く。
空気が重く、甘い腐敗の匂いが微かに残り、静寂が耳に痛いほどに広がる。
壁に沿って不自然な円形の曲線が続き、まるで誰かが意図的に作った円形劇場のように見える。
「……エレナ!」
広場の中央、冷たい石床の上に、見間違えるはずのない背中が横たわっていた。
鈴の聖女として誰からも敬われ。 そして俺にとっては、最高の冒険のパートナーでもある女性だった。
白い法衣が石床に広がり、金色の髪が乱れて地面に散らばっている。
肩が小さく上下し、息遣いが微かに聞こえる。
背中が無防備に晒され、首筋が白く光る。
俺は我を忘れ、銀の髪を振り乱しながら、倒れ伏したエレナへと駆け寄った。
体が重く、頭の奥がぼんやりするのに、今日は久しぶりに悪夢を見ずに熟睡できたはずだ。
いつもなら夢の中で山の囁きやエレナの涙に苛まれていたのに、今日は何も覚えていない。
それが逆に不気味で、胸の奥に冷たい違和感が広がる。
「エレナ、おはよう」
返事がない。
静寂が洞窟に響き、俺の声だけが反響して返ってくる。
毛布を速攻で剥ぎ取り、周囲を見回すと、エレナの姿はなかった。
寝床の毛布は乱れ、彼女の体温が残るはずの場所が冷たくなっている。
トイレか何かだろうか?
いや、場所を離れるとしたら、声をかけるはずだ。
連絡をしないのは危険だとわかっているはず、特にこんな変な場所では。
俺の心臓がドクンと鳴り、血の音が耳に響く。
俺はすぐに、自分の装備を確認して探しに行く準備をした。
剣の柄を握り、鞄の位置を確かめた。
体がまだ重いが、疲労が残る中でも動きは速かった。
まずは現場を調べてみた。
泥の地面に、彼女のブーツの小さな跡がくっきり残っている。
焚き火は低く燃えていて、炎が弱く揺れ、灰が少し積もっている。
見張りの椅子を触ってみると、冷たいので、いなくなって数時間だという事がわかった。
椅子に残った体温はなく、石のように冷え切っている。
慌てて周囲を調べると、洞窟の奥へと続く泥の上に、彼女のブーツの跡が続いていた。
泥の足跡の中に指で触ってみた。
指先が冷たい泥に沈み、ぬるっとした湿りが皮膚に張り付く。
まだ泥が戻りきっていない。
指で押した跡がゆっくりと元に戻り始め、泥の表面が少しずつ平らになっていく。
指を離すと、泥がべっとりと残り、冷たい感触が指の腹に染み込んでくる。
……いなくなってから二・三時間は経っているな。
これでも用心に越して普段の数倍は呪文矢罠を設置したというのに。
防御結界、悪意からのバリア、部外者が来た時にアラームが鳴る呪文、許可ない物は入れない結界……考えられるだけの呪文を俺とエレナで重ねた。
さらに呪文を回避する敵かもしれないので、人力の罠も数種類作った。
落とし穴の擬装、糸で張った警報、岩に仕込んだ転倒トラップ、毒針の隠し扉……全部、スルーした上でエレナが消えていた。
罠を解くのに少し時間をかかったけど、俺はエレナを探しに先に進んだ。
やはり罠は全部解かれてなかった。
落とし穴の蓋がそのまま、糸が切れていない、岩が動いていない。
どのようにして先に進んだというんだ。
罠に触れた形跡すらなく、ただエレナの足跡だけが、罠の間をすり抜けるように続いている。
糸は切れていない。
落とし穴の蓋は動いた跡もなく、毒針の隠し扉は閉まったまま。
罠の周りの土も乱れず、埃が薄く積もったままなのに、足跡だけがぴたりと罠の間を避けて進んでいる。
足跡は休憩場所と罠が無い場所からまた再開されていたことだ。
休憩場所の毛布の周りには足跡がぴたりと途切れ、毛布の端にさえ土の汚れがついていない。
罠の前で完全に消え、次の泥の場所で突然ぽつりと現れている。
足跡の間隔が均等で、急いだ形跡もない。
まるで「歩かずに移動した」ような、不自然な空白だった。
なぜ俺はすぐに寝てしまったんだ。
疲労が激しかったのは確かだが、目をつむった瞬間意識が落ちるなんて異常だ。
精神防御が効いているはずなのに、何か見えない力が俺を眠らせたのか。
エレナ頼む無事でいてくれ。
気が焦る。
胸の奥が締め付けられ、息が浅くなる。
どこに行った。
頼む無事でいてくれ。
心配以上に、彼女がいないとこんなに不安で心細いんだと改めて実感した。
洞窟の冷たい空気が肺に刺さり、静けさが耳に痛い。
エレナの声が聞こえないだけで、世界が空っぽになったみたいだ。
早く声が聴きたい。あの穏やかで安心させるあの声に。
優しく「シビさん」って呼んでくれる、あの柔らかい響きが恋しい。
体が勝手に震え、指先が冷たくなる。
そう思った矢先だった。
目の前から大きな石が転がり込んで来た。
岩肌から剥がれたような、ゴロゴロと低く響く音を立てて、俺の足元に向かって迫ってくる。
直径1メートル近くある巨大な石が、勢いよく転がり、土を削りながら近づく。
俺は咄嗟に手をかざして力ある言葉を発する。
「形ある器よ、塵に還れ。粉塵崩壊」
言葉が空気を震わせ、俺の手から淡い光が迸る。
目の前に転がってきた大きな石は瞬時にその場で粉塵化していった。
石の表面がひび割れ、内部から細かな粒子が噴き出し、灰色の雲のように砕け散った。
音もなく崩壊していった。
残ったのは地面に積もる薄い灰と、かすかな土の匂いだけが残った。
石の勢いが止まり、周囲の空気が一瞬静かになる。
邪魔するな。
俺は歯を食いしばって前を見据えながら登り道を進んでいく。
そのまま進むと、今度は氷の壁ができた迷路になっていた。
透明な氷の壁が無数に立ち並び、光を乱反射して視界がキラキラと白く輝く。
壁の表面は鏡のように滑らかで、自分の姿が歪んで無数に映り、方向感覚が一瞬で狂う。
足元は薄い氷の膜が張り、踏むたびにパキッと小さな音が響き、冷気が足首から這い上がってくる。
壁の向こうにエレナの影がちらちら見える気がするのに、どの方向からも同じように見えて、迷路が俺を嘲笑っているようだ。
「ミラーハウスか……面倒だな」
俺は手をかざしてもう一度粉塵崩壊をして壁抜きをする。
力ある言葉を吐き出すと、手から淡い光が迸り、目の前の氷の壁が一瞬で粉々に砕け散る。
氷の破片がキラキラと光を散らし、細かな粒子が空気に舞って視界を白く染める。
何枚も何枚もぶち壊す。
壁が崩れるたびに冷たい風が吹き抜け、破片が肌に当たってチクチク刺す。
エレナ待っていてくれ。必ず助ける。
呪文の使い過ぎで、視界が歪み、脳を直接灼かれるような痛みが襲ってきた。
頭の奥が焼けるように熱くなり、視界がぐにゃりと曲がる。
額に汗が噴き出し、息が荒くなる。
……っ、が……
ミスリルソードを杖代わりに、一歩、また一歩と泥沼を行くように足を引きずりながら前を進んだ。
剣の柄が掌に食い込み、冷たい金属の感触が唯一の支えになる。
足が重く、泥に沈むようにずぶずぶと沈み込み、引き抜くたびにぬちゃっと音がする。
それでも前へ歩みを止めずに進んだ。
その時だった。
鼓膜を通さず、脳髄の奥底で直接、粘りつくような音が弾けた。
『なぜ、そんなに求める?』
男のような、女のような。あるいは無垢な赤子の産声と、枯れ果てた老人の喘ぎが同時に重なり合ったような、矛盾に満ちた響きが聴こえてきた。
それは喉の奥でねっとりと絡みつくような、耳ではなく心臓を直接震わせる音だった。
頭蓋骨の内側に、冷たい粘液が滴り落ちるような感覚。
思考そのものを他者の意思に書き換えられるような、おぞましい侵食感が、ゆっくりと広がっていった。
自分の記憶が、じわじわと他人のものに塗り替えられていくような恐怖。
額から汗が噴き出し、視界の端が白く滲む。
「パートナーだからだ! 俺にとっては大事な仲間だからだ!」
俺がこんな言葉を言うなんてな。まるで漫画や小説の主人公みたいだ。
ファンタジーの世界でこのようなトラブルがあるんだったらそう感じるのも無理はない。
ミスリルソードを支えに這い進む俺の脳裏に、あの音が再び這い回る。
『なぜ偽る? 異なる世界より零れ落ちた「異邦の魂」よ』
声は、氷の針で脳の皺をなぞるように冷酷だった。
赤子の産声のような甲高さと、死を待つ老人の枯れた残響が交互に重なり、男とも女ともつかぬその響きが、俺の精神の輪郭をドロドロに溶かしていく。
頭の奥で何かがずるずると剥がれる感覚を感じる。
額から汗が滴り、視界の端が白く滲んできた。
息が浅くなって、肺が凍りつくように痛んでいる。
まるで自分の記憶が、ゆっくりと他人のものに塗り替えられていくような恐怖があった。
助けてくれ、逃げたいと本能が訴えてもいた。
『お前はその若く美しい「器」を隠れ蓑に、彼女を欺いているに過ぎない。……思い出してみろ。生前、お前が飢えた獣のように求めても手に入らなかった「極上の女」が、今は無防備に、その小さな手をお前に預けているではないか』
声は耳ではなく、頭蓋の内側に直接染み込んでくる。
甘くねっとりとした、蜜のように濃厚な響きが、脳の皺を這い回り、思考の隙間に絡みつく。
喉の奥で何かが蠢き、吐き気と一緒に欲望が込み上げてくる。
生前の記憶が無理やり引きずり出され、飢えた獣のような自分が、今の少女の体に重なる。
「やめろ……黙れ……っ!」
声が震え、喉が焼けるように痛む。
ミスリルソードの柄を握る指が白くなるほど力を込めても、震えが止まらない。
歯を食いしばり、唇を噛んで血の味が広がる。
激しい心拍。それは、かつての俺としての欲望が、今の少女の肉体を媒介に暴走を始めた合図だった。
心臓がドクドクと耳元で鳴り響き、血の音が頭蓋を震わせる。
胸の奥が熱く疼き、下腹部がじわりと熱を持つ。
少女の体が、俺の本能を裏切り、甘く反応し始める。
息が浅くなり、吐く息が白く凍るように熱いのがわかる。
聖女の包容力、しなやかな指先、柔らかな体温。
それを思い出すたび、脳内にドス黒い蜜のような思考が溢れ出す。
「抱きたい。汚したい。彼女の純潔を、俺のものにしたい」
その思考が、自分のものか、他人のものかわからなくなる。
『その気高さを汚し、絶望に濡れた瞳で、お前だけに縋る姿を見たいのではないのか? この数日、お前の網膜を焼いたあの淫らな幻覚……。彼女を組み敷き、その清らかな魂を、お前という名の毒で塗りつぶしたいと思ったのではないか?』
声は、氷の針で脳の皺をなぞるように冷酷だった。
赤子の産声のような甲高さと、死を待つ老人の枯れた残響が交互に重なり、男とも女ともつかぬその「響き」が、俺の精神の輪郭をドロドロに溶かしていく。
頭の奥で何かが「ガリガリ」と削られ、自分の「俺」が少しずつ欠けていく。
朦朧とする意識の中で、声が甘く囁き続ける。
俺の「アイデンティティ」が、ゆっくりと砕かれていく。
『なぜ、この最高の肉体と機会を無駄にする? 今のお前なら、彼女の懐に潜り込み、その喉笛を、あるいはその処女性を、赤子の手をひねるように奪えるというのに。さあ、その剣を杖にするのをやめ、彼女を絡め取る「牙」とせよ』
声は脳の奥で甘くねっとりと絡みつき、欲望の記憶を無理やり掘り起こす。
エレナの柔らかな胸の感触、白い肌の温もり、震える指先が俺の背中を掴む感触を。
銀色の髪が地面に散り、泥に汚れる。
髪が泥にべっとりと張り付き、冷たい土の感触が頭皮に染み込む。
銀の輝きが泥の黒に汚され、俺の体が地面に沈み込むように重くなる。
自らの内側に潜む欲望という獣が、声に呼応して歓喜の遠吠えを上げるのを感じ、俺は自らの存在が、内側から腐り落ちていくような、底なしの恐怖に震えた。
体が熱く疼き、欲望が血管を逆流するように駆け巡る。
その熱は、俺のものじゃなく欲望の獣そのものだった。
吐き気が込み上げ、胃の奥がひっくり返る。
精神防御がまだ効いているはずなのに、隙間から欲望が漏れ出して、俺が俺自身を食い荒らしていた。
「あぁお前の言うとおりだよ。くそったれ。……だけどな、二度も三度も同じ事をネチネチと、邪魔なんだよ」
目の前には、無数のエレナがいつのまにか溢れていた。
ある彼女は、淫らな肢体をさらしていた。
薄い布を肩からずり落とし、胸の膨らみを大胆に晒して俺に近づいてくる。
白い肌が汗で光り、乳首が硬く尖って布を押し上げ、腰をくねらせて誘うように体をくねらせる。
甘い吐息が俺の耳元にかかり、熱く湿った息が首筋を撫でる。
別のエレナは、幼子のように無垢な瞳で縋る彼女は、大きな瞳を潤ませて俺の足元に跪き、小さな手で俺の裾を掴もうと進んで来た。
「シビさん……守ってください……」
震える声が、俺の心を締め付ける。
成熟した色香で誘う彼女は、唇を湿らせ、舌先で俺の首筋をなぞるように近づき、指を俺の胸に這わせる。
指先が布地越しに俺の肌を撫で、ゆっくりと下へ滑っていく。
「来て……私を、全部……」
それらすべてが、俺の内側にある欲望を呼び覚まそうと、甘い吐息を吹きかけてくる。
吐息は蜜のように甘く、鼻腔に絡みつき、頭の奥まで染み込んでくる。
体が熱くなり、下腹部が疼き、欲望が血管を逆流するように駆け巡る。
『どの彼女をお前は望む』
脳を直接揺さぶる、あの不快な声。
声は喉の奥でねっとりと絡みつき、思考の隙間に染み込んでくる。
だが、恐怖の限界を超えた先で、私の中に宿ったのは真っ黒な殺意と不快感だった。
こんな幻覚に弄ばれる自分も、言い負かされそうになった情けなさも、そして何よりこの陰険な精神攻撃を仕掛けてくる声の主も、この島に渦巻くすべてが、反吐が出るほど癪に障る。
まずは認めてやるよ。てめえの言うことは多分本当なんだろう。
俺が彼女を求めているのもそうなんだろうな。
でもなぁ理性があるから人は獣ではなく人間なんだよ。
俺は震える指で指輪を撫で、自らの魂を削るようにして、力ある言葉を綴り始めた。
指先が冷たく震え、指輪の金属が熱く脈打つように感じる。
震えが止まらず、指輪の表面を撫でるたびに、皮膚が引きつるような痛みが走る。
自らの魂を削るようにして、喉の奥から絞り出す言葉が、俺の体を内側から焼き尽くす。
声が震え、息が熱く乱れる。
「炎帝ザハクの縁に従い我は望み従え、世界の理をもち更なる魔力を与えよ!」
詠唱が完了した瞬間、大気が悲鳴を上げた。
空気が引き裂かれるような鋭い音が響き、洞窟全体が震える。
地面に走った亀裂から、劫火が噴き出した。
赤く燃え盛る炎が俺の細い身体を護るように螺旋を描き、猛々しい龍の姿を形作る。
炎の鱗が青白く輝き、龍の目が俺の瞳を映して燃え上がる。
熱風が髪を煽り、肌を焼くように熱い。
「吹き飛びやがれッ!!」
両の手を重ね、人差し指と親指で円を形作る。
そこはもはや、魔法を放つための回路ではない。
俺の怒りと、歪んだ欲望さえも燃料へと変換する砲口だった。
手のひらの中心に青白い光が凝縮し、熱が皮膚を焦がすように疼く。
指の間から光が漏れ、指先が焼けるように熱い。
肩を落とし、地を這うような低重心の構えをする。
銀髪が熱風に煽られて逆立ち、青白い光が指の間から溢れ出す。
「「焔竜吼」!!」
解き放たれたのは、熱狂的な暴力の奔流だった。
視界を埋め尽くしていた沢山の偽物のエレナたちが、声も上げられず白熱の光の中に蒸発していく。
偽物の肌が溶け、髪が灰になり、甘い吐息が熱に飲み込まれて消える。
一直線に伸びた炎の柱は、洞窟の壁を、そして山そのものを内側から喰い破るようにして突き進んだ。
壁が溶け、岩が爆ぜ、轟音が鼓膜を圧し、全身を揺さぶる振動が骨まで響く。
熱風が顔を焼き、汗が蒸発するように乾く。
『そこまで拒否をするか、異邦の魂よ。……実に面白い。先にて待つ』
消えゆく残響の中で聞こえた声に、俺はミスリルソードを杖のように突き立てた。
熱に浮かされた瞳で闇を睨みつけ警戒をした。
「ちっ……また死者に力を借りるとはな。情けねえかぎりだ……」
肺を焼くような熱い呼気を吐き出す。
息が熱く、喉の奥が焦げるように痛む。
吐き出した息が白く凍り、洞窟の冷たい空気に溶けていく。
指輪の熱がまだ掌に残り、皮膚がジリジリと焼けつく感覚が消えない。
体が重く、膝がガクガク震え、汗が額から滴り落ちて視界を滲ませる。
この指輪の真価は、前回の窮地で身を以て知った。
瞬間移動だけではなかった。
ザハクの、その暴力的なまでの根源魔力を借りることができる。
何度も使用したら何かしらのペナルティはあるかもしれないが、今の俺には、使うしか道が無かった。
震える足に鞭を打ち、崩落した壁の隙間を抜けて洞窟の道を上り進めて行き。
足が泥に沈み、引き抜くたびにぬちゃっと音が響く。
崩落した岩の破片が足元に転がり、踵に当たって痛みが走る。
息が乱れ、肺が焼けるように熱く、汗が背中を伝って冷たくなる。
壁の隙間から冷たい風が吹き抜け、銀髪を乱暴に煽る。
大きな部屋へと辿り着いた。
そこは、不気味なほど静まり返った巨大な円形の広場だった。
天井が高く、暗闇が重く垂れ下がり、光が届かない奥が黒く沈んでいる。
地面は冷たい石床で、足を踏み入れるたびにカツンと硬い音が響く。
空気が重く、甘い腐敗の匂いが微かに残り、静寂が耳に痛いほどに広がる。
壁に沿って不自然な円形の曲線が続き、まるで誰かが意図的に作った円形劇場のように見える。
「……エレナ!」
広場の中央、冷たい石床の上に、見間違えるはずのない背中が横たわっていた。
鈴の聖女として誰からも敬われ。 そして俺にとっては、最高の冒険のパートナーでもある女性だった。
白い法衣が石床に広がり、金色の髪が乱れて地面に散らばっている。
肩が小さく上下し、息遣いが微かに聞こえる。
背中が無防備に晒され、首筋が白く光る。
俺は我を忘れ、銀の髪を振り乱しながら、倒れ伏したエレナへと駆け寄った。
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