157 / 198
本編
-157- 仕返し
しおりを挟む
「お久しぶりです、アレックス様。オリバーは大丈夫ですけど、少しだけ時間をください。
俺でわかることなら、このまま。
話している間には、復活すると思います」
『わかった』
梟越しに努めて穏やかに聞こえるようにアレックス様へ話しかけると、あからさまにほっとした声が聞こえてきた。
嘘は言っていない。
オリバーはもう泣き止んでるし、本人の言う通り落ち着いているからだ。
ただ、もう少しだけ時間が必要なのも事実。
アレックス様相手に話しかける時は、やっぱ緊張する。
オリバーの友人と言えど、コナーの様に遠慮なくとはいかない。
最初の出会いがマジで失礼な態度だったこともあるし、この家の持ち主で領主様だっていうのがデカい。
それに、蓮君の旦那さんだ。
蓮君と俺は友人同士で、その旦那、って言う間柄じゃ、俺の場合は一線置いておいたほうが後々面倒にならない。
立ち位置っつーか、立場っつーか。
オリバーは兎も角、コナーがあんな遠慮なしな態度でもアレックス様は全く気にしていないところを見ると、俺も地でいたって何らお咎めはないだろう。
けど、やっぱ、俺は、自他ともに認める“猫かぶり”なわけで。
そうなると、どうしてもこういう対応の仕方しか出来ない。
あんま畏まるのもと思って、毎回結構気を遣ってる気もする。
復活、なんて言葉はオリバーを軽く揶揄ってるような言葉だ。
現に、オリバーが拗ねたような口調で『もう少し言い方を』なんて呟く。
まだ鼻声でスンスン言ってる。
さっきまでの慌てた様子はないから、涙声でも鼻声でも、もうばれちまったもんはこれ以上取り繕う気はないらしい。
「考えたから、珍しくオブラートに言ったんじゃん」
「オブラートとは?」
「え、オブラートって通じねえの?遠回しに言って相手を傷つけないように……って、おまっ、ここでかむなよ───あ、すみません」
通信が繋がってる状態なのに、オリバーはちーんと鼻をかむ。
別の部屋でかめばいいのに……って思うが、オリバーに限っては、ないな。
けど、もうちっと遠慮するとかなんとかあるだろーが。
アレックス様に謝るのは、俺の方だ。
アレックス様はというと、案の定、面白そうに笑う声が聞こえてきた。
『今月末に、こちらで友人と集まり食事をするのをコナーから聞いているだろうか?』
「はい、つい一昨日に」
俺等は聞いたばっかだが、アレックス様だって聞いたばかりだろう。
コナーはそういうところ他人を使って話を繋げるのも、場を設けるのも、行動も早い。
そこは、商人気質っつーか……や、あれは、商人というより本人の気質かもしれないが。
『オリバーとアサヒは転移でうちまで連れてくから参加出来そうか?
うちで一泊して、次の日の朝帰ればいい』
「ありがとうございます」
マジか。
すげー助かる。
正直蓮君ともまた話したいと思っていたし、オリバーが友人と集まってゆっくりできる時間っつーのを作ってやりたかった。
が、今は難しい状態だ。
うちに来る分には全く問題ないけど、エリソン侯爵領で集まってってなると時間を取るのが難しい。
無理だと思っていたし、正式に断る方向でいた。
コナーがアレックス様を頼ればいいと言っていたが、オリバー本人が気乗りしていなかったのもある。
オリバーの性格からしたらアレックス様に頼むことは出来ないと思っていたし、俺から頼むのも内容が内容なだけに躊躇しちまう。
エリソン侯爵領までは、ここからさほど離れた距離じゃないはずだ。
元の世界で言ったら、感覚としちゃ東京から鎌倉まで、みたいなもんだろう。
けど、こっちには電車もなければ車もない。
ぱっかぱっかと呑気に走る馬車が唯一の交通手段と言っていい。
速度だけ言えば、自転車とさほど変わらないような気がするし、間休憩も挟む。
乗馬ならもう少し早いだろうが、俺は出来ないし、オリバーも出来るが得意じゃないと聞いている。
ってことは、行くとしたら三日は見ないといけない状況だった。
『近いから』『すぐだから』という親父さんたちは、本当に近いしすぐだと思っているんだろう。
実際、距離にしちゃそんな離れていないし、行ったり来たりを繰り返して慣れていれば尚更だ。
けど、やっぱ片道一日かかる場所が近いとは言い難いよな。
『ただ、うちの領は問題ないが、帝都から出る記録がつかない。うちと店だけの往復になるが』
「それは大丈夫です。今年いっぱいは、毎日状態を観測したい植物がいくつかあって、参加自体が難しいと俺もオリバーも思っていましたから」
観光は、ゆっくり出来るときが来たらすればいいと思ってる。
案内したいと言っていたオリバーは、口先だけじゃなくて本当にそう思ってるのが分かった。
そう遠くないうちに機会はあるだろう。
「それに、タイラーもソフィアも歳なので、一晩お世話になれるならとても助かります」
『なら良かった。詳しい時間はまた』
「はい」
寝ていいと言ったって、きっとタイラーは起きてる。
それか、俺らが戻れば起きるはずだ。
朝は確実に俺らよりも早く起きてるし、そうなればそれだけ睡眠時間を削ることになる。
休みっつー休みが、タイラーとソフィアにはない状態だ。
本人達は、俺が来て出かけることが増えたからゆっくりさせてもらってる、なんて言ってたけど。
元気だけどさ、極力無理はさせたくない。
『それと、シリルの方はいつ頃になりそうか分かるか?』
「今月中には引っ越し出来るかと。昨日ネストレさんの往診に同行したのですが、かなり回復されていました。
一週間後もう一度診察をお願いしていますが、本格的に寒くなる前に引っ越した方がいいという話になりました」
『診察が終わったら日取りを調整したい。一週間後、このくらいの時間にまた連絡するが、構わないか?』
「わかりました。よろしくお願いします」
手紙で一方的に告げるより、話が出来た方が詳細まで伝えやすい。
こっちから繋げるもんじゃないから、アレックス様の申し出はありがたかった。
「それと、レンがハワード伯の第二夫人、エリー様の紹介で、オリバーの母君、シャーロット様にお会いした。その時に、今月末の集まりがバレてしまった」
「え……それは」
ここにきてやっとオリバーが口を開いた。
それも、すぐ背後からだ。
鼻声はすっかり治ったみたいだな。
つーか、めちゃくちゃ近い。
や、いるのはわかってた。
あえて咎めなかった俺も俺だ。
見られちゃいなのをいいことに、オリバーは俺の左手を自分のそれで下からすくって、手のひらを合わせて握ってくる。
右手は俺の腰を緩くホールドだ。
一気に甘い空気が漂った。
こんなの、今俺は下手に話さない方がいいに決まってる。
ぜってー自爆するっ!
『フレディも誘うそうだ』
「先にアレックスから聞けて良かったです。ちなみにお店は……」
『レンがいるからな、黒猫亭は却下した。ラソンブレの個室を2部屋に分けてとってある』
「ああ、それならば助かります」
フレディっつーのは、オリバーの二番目の兄ちゃんだ。
ほっとしたような声でアレックス様に告げた後、俺の心境を知ってかオリバーの声に笑いが漏れる。
耳元がくすぐったい。
やめろとは言えない。
思っちゃいないし、それに言ったら言ったで、なんか言われて、それにまた言い返して......なんてことしたら、さすがにいちゃいちゃぶりがアレックス様にばれちまう。
さっきまでぐずぐず泣いてたのに、もうすっかり消え去ったみたいだ。
それは良いが、これ以上このままイチャイチャされたら、俺は話の内容が吹っ飛ぶ。
ラソンブレ、ラソンブレと店の名前を脳内で繰り返していると、シャツの裾からそろりと入ってくるオリバーのゆびさきを感じて咄嗟に右手で掴む。
っ終わってからにしてくれよ、頼むから!
多分、や、おそらく俺の顔は真っ赤になってる。
オリバーは分かっててやってる。
その証拠に俺がオリバーの手を掴むと俺の手ごと包み込んで抱きしめてくる。
こういうスキンシップが毎日繰り広げられてる。
いーよ普段はさ、俺とオリバーしか居ないし、居たってソフィアかタイラーかおはぎだし、今更感ある。
けど、通信中っつーのは、羞恥心が強すぎる。
さすがにそのまま進めることはしないようだから、力を抜く。
もし仮に進めたら、俺は今日口聞かないくらいするはずだ。
前科があるから、引き際も心得てるのかもな。
てか、こういう時のオリバーは、いつも余裕があり過ぎるだろ。
ズルくね?
「アサヒ、レンには専属従者のセオを同じ部屋につかせる。扱いは従者としてではなく、子爵として参加してもらうつもりでいる。アサヒと同年だ、よろしく頼む」
「はい」
クッソ、もう『はい』以上言える余裕がねえ!
「レン君に、従者をつかせるのですか?」
オリバーがちょっと面白くなさげな声でつぶやいた。
良いじゃん別にさ。
俺の信用がないとかじゃねえと思うぞ?
それに、セオという名前には聞き覚えがある。
前に蓮君が真似してたことがあったからだ。
「部屋が別々なんだ。じゃないと俺が気になって食事どころじゃない。セオは、夫同然の恋人もいるし、間違ってもアサヒやマナトに惚れるようなことはない。そこは、安心してくれ」
「ああ、なるほど」
オリバーはなんだか知らないが今アレックス様の説明で納得したらしい。
が、そのまま俺の首筋に唇をそろりとはわせてくる。
付け上がらせてるのは、分かってる。
分かってるけど。
「アサヒたちを信用してないわけじゃないんだが、万が一の保険だと思ってくれ」
「はい」
普通を装うのも限界だ。
けど、こんな状態は意地でも知られたくねえから、強く出られない。
俺が最初に、復活云々言ったからか?
その仕返しにしちゃやりすぎだろ。
俺でわかることなら、このまま。
話している間には、復活すると思います」
『わかった』
梟越しに努めて穏やかに聞こえるようにアレックス様へ話しかけると、あからさまにほっとした声が聞こえてきた。
嘘は言っていない。
オリバーはもう泣き止んでるし、本人の言う通り落ち着いているからだ。
ただ、もう少しだけ時間が必要なのも事実。
アレックス様相手に話しかける時は、やっぱ緊張する。
オリバーの友人と言えど、コナーの様に遠慮なくとはいかない。
最初の出会いがマジで失礼な態度だったこともあるし、この家の持ち主で領主様だっていうのがデカい。
それに、蓮君の旦那さんだ。
蓮君と俺は友人同士で、その旦那、って言う間柄じゃ、俺の場合は一線置いておいたほうが後々面倒にならない。
立ち位置っつーか、立場っつーか。
オリバーは兎も角、コナーがあんな遠慮なしな態度でもアレックス様は全く気にしていないところを見ると、俺も地でいたって何らお咎めはないだろう。
けど、やっぱ、俺は、自他ともに認める“猫かぶり”なわけで。
そうなると、どうしてもこういう対応の仕方しか出来ない。
あんま畏まるのもと思って、毎回結構気を遣ってる気もする。
復活、なんて言葉はオリバーを軽く揶揄ってるような言葉だ。
現に、オリバーが拗ねたような口調で『もう少し言い方を』なんて呟く。
まだ鼻声でスンスン言ってる。
さっきまでの慌てた様子はないから、涙声でも鼻声でも、もうばれちまったもんはこれ以上取り繕う気はないらしい。
「考えたから、珍しくオブラートに言ったんじゃん」
「オブラートとは?」
「え、オブラートって通じねえの?遠回しに言って相手を傷つけないように……って、おまっ、ここでかむなよ───あ、すみません」
通信が繋がってる状態なのに、オリバーはちーんと鼻をかむ。
別の部屋でかめばいいのに……って思うが、オリバーに限っては、ないな。
けど、もうちっと遠慮するとかなんとかあるだろーが。
アレックス様に謝るのは、俺の方だ。
アレックス様はというと、案の定、面白そうに笑う声が聞こえてきた。
『今月末に、こちらで友人と集まり食事をするのをコナーから聞いているだろうか?』
「はい、つい一昨日に」
俺等は聞いたばっかだが、アレックス様だって聞いたばかりだろう。
コナーはそういうところ他人を使って話を繋げるのも、場を設けるのも、行動も早い。
そこは、商人気質っつーか……や、あれは、商人というより本人の気質かもしれないが。
『オリバーとアサヒは転移でうちまで連れてくから参加出来そうか?
うちで一泊して、次の日の朝帰ればいい』
「ありがとうございます」
マジか。
すげー助かる。
正直蓮君ともまた話したいと思っていたし、オリバーが友人と集まってゆっくりできる時間っつーのを作ってやりたかった。
が、今は難しい状態だ。
うちに来る分には全く問題ないけど、エリソン侯爵領で集まってってなると時間を取るのが難しい。
無理だと思っていたし、正式に断る方向でいた。
コナーがアレックス様を頼ればいいと言っていたが、オリバー本人が気乗りしていなかったのもある。
オリバーの性格からしたらアレックス様に頼むことは出来ないと思っていたし、俺から頼むのも内容が内容なだけに躊躇しちまう。
エリソン侯爵領までは、ここからさほど離れた距離じゃないはずだ。
元の世界で言ったら、感覚としちゃ東京から鎌倉まで、みたいなもんだろう。
けど、こっちには電車もなければ車もない。
ぱっかぱっかと呑気に走る馬車が唯一の交通手段と言っていい。
速度だけ言えば、自転車とさほど変わらないような気がするし、間休憩も挟む。
乗馬ならもう少し早いだろうが、俺は出来ないし、オリバーも出来るが得意じゃないと聞いている。
ってことは、行くとしたら三日は見ないといけない状況だった。
『近いから』『すぐだから』という親父さんたちは、本当に近いしすぐだと思っているんだろう。
実際、距離にしちゃそんな離れていないし、行ったり来たりを繰り返して慣れていれば尚更だ。
けど、やっぱ片道一日かかる場所が近いとは言い難いよな。
『ただ、うちの領は問題ないが、帝都から出る記録がつかない。うちと店だけの往復になるが』
「それは大丈夫です。今年いっぱいは、毎日状態を観測したい植物がいくつかあって、参加自体が難しいと俺もオリバーも思っていましたから」
観光は、ゆっくり出来るときが来たらすればいいと思ってる。
案内したいと言っていたオリバーは、口先だけじゃなくて本当にそう思ってるのが分かった。
そう遠くないうちに機会はあるだろう。
「それに、タイラーもソフィアも歳なので、一晩お世話になれるならとても助かります」
『なら良かった。詳しい時間はまた』
「はい」
寝ていいと言ったって、きっとタイラーは起きてる。
それか、俺らが戻れば起きるはずだ。
朝は確実に俺らよりも早く起きてるし、そうなればそれだけ睡眠時間を削ることになる。
休みっつー休みが、タイラーとソフィアにはない状態だ。
本人達は、俺が来て出かけることが増えたからゆっくりさせてもらってる、なんて言ってたけど。
元気だけどさ、極力無理はさせたくない。
『それと、シリルの方はいつ頃になりそうか分かるか?』
「今月中には引っ越し出来るかと。昨日ネストレさんの往診に同行したのですが、かなり回復されていました。
一週間後もう一度診察をお願いしていますが、本格的に寒くなる前に引っ越した方がいいという話になりました」
『診察が終わったら日取りを調整したい。一週間後、このくらいの時間にまた連絡するが、構わないか?』
「わかりました。よろしくお願いします」
手紙で一方的に告げるより、話が出来た方が詳細まで伝えやすい。
こっちから繋げるもんじゃないから、アレックス様の申し出はありがたかった。
「それと、レンがハワード伯の第二夫人、エリー様の紹介で、オリバーの母君、シャーロット様にお会いした。その時に、今月末の集まりがバレてしまった」
「え……それは」
ここにきてやっとオリバーが口を開いた。
それも、すぐ背後からだ。
鼻声はすっかり治ったみたいだな。
つーか、めちゃくちゃ近い。
や、いるのはわかってた。
あえて咎めなかった俺も俺だ。
見られちゃいなのをいいことに、オリバーは俺の左手を自分のそれで下からすくって、手のひらを合わせて握ってくる。
右手は俺の腰を緩くホールドだ。
一気に甘い空気が漂った。
こんなの、今俺は下手に話さない方がいいに決まってる。
ぜってー自爆するっ!
『フレディも誘うそうだ』
「先にアレックスから聞けて良かったです。ちなみにお店は……」
『レンがいるからな、黒猫亭は却下した。ラソンブレの個室を2部屋に分けてとってある』
「ああ、それならば助かります」
フレディっつーのは、オリバーの二番目の兄ちゃんだ。
ほっとしたような声でアレックス様に告げた後、俺の心境を知ってかオリバーの声に笑いが漏れる。
耳元がくすぐったい。
やめろとは言えない。
思っちゃいないし、それに言ったら言ったで、なんか言われて、それにまた言い返して......なんてことしたら、さすがにいちゃいちゃぶりがアレックス様にばれちまう。
さっきまでぐずぐず泣いてたのに、もうすっかり消え去ったみたいだ。
それは良いが、これ以上このままイチャイチャされたら、俺は話の内容が吹っ飛ぶ。
ラソンブレ、ラソンブレと店の名前を脳内で繰り返していると、シャツの裾からそろりと入ってくるオリバーのゆびさきを感じて咄嗟に右手で掴む。
っ終わってからにしてくれよ、頼むから!
多分、や、おそらく俺の顔は真っ赤になってる。
オリバーは分かっててやってる。
その証拠に俺がオリバーの手を掴むと俺の手ごと包み込んで抱きしめてくる。
こういうスキンシップが毎日繰り広げられてる。
いーよ普段はさ、俺とオリバーしか居ないし、居たってソフィアかタイラーかおはぎだし、今更感ある。
けど、通信中っつーのは、羞恥心が強すぎる。
さすがにそのまま進めることはしないようだから、力を抜く。
もし仮に進めたら、俺は今日口聞かないくらいするはずだ。
前科があるから、引き際も心得てるのかもな。
てか、こういう時のオリバーは、いつも余裕があり過ぎるだろ。
ズルくね?
「アサヒ、レンには専属従者のセオを同じ部屋につかせる。扱いは従者としてではなく、子爵として参加してもらうつもりでいる。アサヒと同年だ、よろしく頼む」
「はい」
クッソ、もう『はい』以上言える余裕がねえ!
「レン君に、従者をつかせるのですか?」
オリバーがちょっと面白くなさげな声でつぶやいた。
良いじゃん別にさ。
俺の信用がないとかじゃねえと思うぞ?
それに、セオという名前には聞き覚えがある。
前に蓮君が真似してたことがあったからだ。
「部屋が別々なんだ。じゃないと俺が気になって食事どころじゃない。セオは、夫同然の恋人もいるし、間違ってもアサヒやマナトに惚れるようなことはない。そこは、安心してくれ」
「ああ、なるほど」
オリバーはなんだか知らないが今アレックス様の説明で納得したらしい。
が、そのまま俺の首筋に唇をそろりとはわせてくる。
付け上がらせてるのは、分かってる。
分かってるけど。
「アサヒたちを信用してないわけじゃないんだが、万が一の保険だと思ってくれ」
「はい」
普通を装うのも限界だ。
けど、こんな状態は意地でも知られたくねえから、強く出られない。
俺が最初に、復活云々言ったからか?
その仕返しにしちゃやりすぎだろ。
64
あなたにおすすめの小説
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
過労死で異世界転生したら、勇者の魂を持つ僕が魔王の城で目覚めた。なぜか「魂の半身」と呼ばれ異常なまでに溺愛されてる件
水凪しおん
BL
ブラック企業で過労死した俺、雪斗(ユキト)が次に目覚めたのは、なんと異世界の魔王の城だった。
赤ん坊の姿で転生した俺は、自分がこの世界を滅ぼす魔王を討つための「勇者の魂」を持つと知る。
目の前にいるのは、冷酷非情と噂の魔王ゼノン。
「ああ、終わった……食べられるんだ」
絶望する俺を前に、しかし魔王はうっとりと目を細め、こう囁いた。
「ようやく会えた、我が魂の半身よ」
それから始まったのは、地獄のような日々――ではなく、至れり尽くせりの甘やかし生活!?
最高級の食事、ふわふわの寝具、傅役(もりやく)までつけられ、魔王自らが甲斐甲斐しくお菓子を食べさせてくる始末。
この溺愛は、俺を油断させて力を奪うための罠に違いない!
そう信じて疑わない俺の勘違いをよそに、魔王の独占欲と愛情はどんどんエスカレートしていき……。
永い孤独を生きてきた最強魔王と、自己肯定感ゼロの元社畜勇者。
敵対するはずの運命が交わる時、世界を揺るがす壮大な愛の物語が始まる。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる