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男装令嬢の専属従者リーヴァイの場合
-7- 風変りな縁談
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お馬鹿さん、というのは、騎士団長のご子息、学生時代のフィオリーナ様のご婚約者にございましょう。
彼もまた、当初は殿下と近しいところにいらっしゃいました。
そこに触れることも憚れるほどの、胸が痛められるお話です。
「それで、女生徒と話をするだけで吐き気がするんですって。当時、カミラ様も閣下も、責任を感じていらしたようなのね。
だから、無理強いは出来ない。でも内心は焦りがあるはずよ?
王太子殿下もご結婚されてから一年半。
陛下は、諸外国との関係を更に強固なものにされてから殿下に譲り受けたいと仰っていると、ライラ───王太子妃殿下から聞いたことがあるわ」
「再来月末、第三国会議がこの国で開かれるが……」
「隣国は陛下だけでなく、王太子殿下と、さらに第五王女殿下が初めて来訪されるのでは、と噂になっているの。第五王女は現在19歳、全てにおいて自由奔放なお方でかなりの癇癪持ちよ。自国ではお相手がいないのよ」
「「………」」
「焦るでしょう?ブルーノ様ご本人も、殿下からは色々ご忠告を受けていたんじゃないかしら?」
確かに、王命では覆すことが出来ませんから、決まってしまったら嫌とはいえない状況にあられます。
しかし、地辺境伯夫人となられたのに、中央の噂に敏感でいらっしゃることか。
さすが、フィオリーナ様であられます。
「下賜される相手には最適だな」
「……そうね」
「宰相閣下もそうとう頭を悩ませているはずよ?宰相閣下はカミラ様には頭があがらないもの。陛下とカミラ様との板挟みになっていらっしゃるんじゃないかしら?
そんな時に、クリスの話が上がった。
政治経済と語学に明るく、剣術まで身につけた、見た目は若かりし頃のメイシー伯似の美少年、でも中身は正真正銘の女性で、伯爵令嬢。
おまけに性格は素直で情に厚く、おおらかな気質で多少のことには動じない。
生い立ちにおいては不憫なことがあったとしても、本人に非は一つもない。
身分的にも派閥的にも問題がない───ね?もう、クリスしかいないって思っても不思議じゃないでしょう?
だから、この手紙の内容と、先ほど宰相閣下がお父様に告げてきた状況を聞いた上で出す私の答えは、『カミラ様が全て采配された』そう思うわ」
「時間も店も、カミラ様がお決めになられた、と?」
「ええ。それに、お父様がそれだけ話を広げたのに、この手紙以外に縁談の申し込みがないこと自体、おかしなことなのよ」
確かに、フィオリーナ様の仰る通りです。
クリス様がいかに見た目が美少年であろうとも、です。
伯爵令嬢であり、美しいには違いありません。
人の好みは千差万別、クリス様もまた、とても魅力的な方でいらっしゃいます。
旦那様も魅力的な方ですから、その申し出であればお受けになる家は複数あっても不思議なことではありません。
旦那様も、ご自身の魅力に疎い方でいらっしゃるのですが。
公爵家であれば、相手に伝わる前に、裏で全てなかったことにすることも事前に出来るはずです。
「このお店、中々良いお店よ?カジュアル寄りで堅苦しくなくて。十中八九、貸切にされてるわ。表向きは貸切と見られないように」
「なるほど」
オープンなお店であっても、その日その時間、店に協力を求めれば、客を制限されるのは公爵家となればたやすいこと。
客を知り合いで全員固めてしまうのも、容易なことでしょう。
「だから、宰相閣下の言う通り、普段の男装のままクリスに向かわせるのが良いと思うわ。
あの子なら、断れない状況下で嫌とは言わないでしょうし、案外好みのタイプなんじゃないかしら?」
「クリスの好みのタイプがわかるのか?」
「『美しいと可愛いは正義』って言っていたわ」
「………」
まあ、今のクリス様は、そうとう面食いではあると思われます。
それに、美男美女に囲まれて育ったクリス様は、転生という別の記憶を持たれたとしても、美に対してかなりの耐性があります。
ブルーノ様の出方次第でありますが、案外うまくいくのではないか、そんな風にも……。
いえ、もう、すでに公爵家から外堀が埋められていて、上手くいく以外の道が絶たれているようにも思われますがね。
彼もまた、当初は殿下と近しいところにいらっしゃいました。
そこに触れることも憚れるほどの、胸が痛められるお話です。
「それで、女生徒と話をするだけで吐き気がするんですって。当時、カミラ様も閣下も、責任を感じていらしたようなのね。
だから、無理強いは出来ない。でも内心は焦りがあるはずよ?
王太子殿下もご結婚されてから一年半。
陛下は、諸外国との関係を更に強固なものにされてから殿下に譲り受けたいと仰っていると、ライラ───王太子妃殿下から聞いたことがあるわ」
「再来月末、第三国会議がこの国で開かれるが……」
「隣国は陛下だけでなく、王太子殿下と、さらに第五王女殿下が初めて来訪されるのでは、と噂になっているの。第五王女は現在19歳、全てにおいて自由奔放なお方でかなりの癇癪持ちよ。自国ではお相手がいないのよ」
「「………」」
「焦るでしょう?ブルーノ様ご本人も、殿下からは色々ご忠告を受けていたんじゃないかしら?」
確かに、王命では覆すことが出来ませんから、決まってしまったら嫌とはいえない状況にあられます。
しかし、地辺境伯夫人となられたのに、中央の噂に敏感でいらっしゃることか。
さすが、フィオリーナ様であられます。
「下賜される相手には最適だな」
「……そうね」
「宰相閣下もそうとう頭を悩ませているはずよ?宰相閣下はカミラ様には頭があがらないもの。陛下とカミラ様との板挟みになっていらっしゃるんじゃないかしら?
そんな時に、クリスの話が上がった。
政治経済と語学に明るく、剣術まで身につけた、見た目は若かりし頃のメイシー伯似の美少年、でも中身は正真正銘の女性で、伯爵令嬢。
おまけに性格は素直で情に厚く、おおらかな気質で多少のことには動じない。
生い立ちにおいては不憫なことがあったとしても、本人に非は一つもない。
身分的にも派閥的にも問題がない───ね?もう、クリスしかいないって思っても不思議じゃないでしょう?
だから、この手紙の内容と、先ほど宰相閣下がお父様に告げてきた状況を聞いた上で出す私の答えは、『カミラ様が全て采配された』そう思うわ」
「時間も店も、カミラ様がお決めになられた、と?」
「ええ。それに、お父様がそれだけ話を広げたのに、この手紙以外に縁談の申し込みがないこと自体、おかしなことなのよ」
確かに、フィオリーナ様の仰る通りです。
クリス様がいかに見た目が美少年であろうとも、です。
伯爵令嬢であり、美しいには違いありません。
人の好みは千差万別、クリス様もまた、とても魅力的な方でいらっしゃいます。
旦那様も魅力的な方ですから、その申し出であればお受けになる家は複数あっても不思議なことではありません。
旦那様も、ご自身の魅力に疎い方でいらっしゃるのですが。
公爵家であれば、相手に伝わる前に、裏で全てなかったことにすることも事前に出来るはずです。
「このお店、中々良いお店よ?カジュアル寄りで堅苦しくなくて。十中八九、貸切にされてるわ。表向きは貸切と見られないように」
「なるほど」
オープンなお店であっても、その日その時間、店に協力を求めれば、客を制限されるのは公爵家となればたやすいこと。
客を知り合いで全員固めてしまうのも、容易なことでしょう。
「だから、宰相閣下の言う通り、普段の男装のままクリスに向かわせるのが良いと思うわ。
あの子なら、断れない状況下で嫌とは言わないでしょうし、案外好みのタイプなんじゃないかしら?」
「クリスの好みのタイプがわかるのか?」
「『美しいと可愛いは正義』って言っていたわ」
「………」
まあ、今のクリス様は、そうとう面食いではあると思われます。
それに、美男美女に囲まれて育ったクリス様は、転生という別の記憶を持たれたとしても、美に対してかなりの耐性があります。
ブルーノ様の出方次第でありますが、案外うまくいくのではないか、そんな風にも……。
いえ、もう、すでに公爵家から外堀が埋められていて、上手くいく以外の道が絶たれているようにも思われますがね。
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