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旅立
レオン
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6年後………
王都アルデンティアは今、第一回エアシップフェスティバルの真っ只中だった。フェスティバルの内容はと言うと各国の科学者と技術者が知恵を出し合い作り上げた戦艦を披露すると言うもの。その記念すべき第一回がこのアルデンティアに決定したのだ。
決定直後にアルデンティアは国を揚げて祭りを開始、本来ならば6日後に開始するこのフェスティバルの期間は3日間だが国は朝から晩まで大賑わいの有様だ。
食べ物は飛ぶように売れ、飲み物は雨のように流れる日々が続く。このような祭りでは飲食店は大繁盛だろう。
そんな中、一際盛況の店があった。
「レオン、これを6番テーブルに運んでくれ!」
「はいっ、分かりました!」
料理が置かれているトレイを頭の上に乗せて混雑している店内をとてててっと運ぶまだ幼き少年。
レオン•R•ディゼル、彼こそが6年前に預けられた子供だ。育ての親であるダグラス夫妻は恩人の願い通り思いやりのある優しい子供に育て上げていた。
「お待たせしました!ミックスピザに生ビール3つです!」
指定されたテーブルに到着するとまだテーブルの上に料理が置けずお客様に料理を並べてもらう始末、しかし小さい子供が店の手伝いをしている事を思うとお客からしてみれば些細な事だった。
「おーい、オーダー頼むわぁ!」
「はいっ、只今伺います!では、ごゆるりとお過ごしくださいね」
6番テーブルの客の面々に一礼をし、オーダーを求む声の方への向かい腰に備えていた注文票を片手にスラスラとペンが走る。
厨房ではダグラスの妻であるイザリアが心配そうな表情をしつつ自慢の料理を調理していた。折角の祭りなのにレオンは自主的に手伝いを申し出てきたのだ。本来ならば店の手伝いなど放ったらかして遊びに行きたがる年頃、自分が本当の子では無いから、しっかりと働かねば追い出されてしまうのではないか。彼女はそんな不穏な考えばかりしていたのだ。
確かにダグラスと交際した時に赤ん坊が居た時は驚いたのを今でも覚えている、しかし交際し、結婚をして子供に恵まれなかった夫婦にとってレオンは誰が何と言おうと自分達の子供同然に扱ってきた。そしてその生活は幸せそのものだった。
そんな幸せの時間も、今日で終わるかもしれないと思うとイザリアは上唇を噛みしめる。今日は夫が話していた6年目。
彼の話が本当ならば、今日……迎えに来る筈。
【王都アルデンティア 正門】
「今アルデンティアは通行許可証が無い物は入国を禁じている!入国したければ特別発行されている許可証を提示せよ!」
正門には大きな人だかりが出来ていた、その殆どが観光客や物資の配達人ばかり。その門番をしていたのが若き兵士であるショーベンだった。彼は国からの指令のもと、物資配達人を優遇して入国を許可していた。理由はその物資の殆どが食材や飲み物が多く占めていたからである。長期に渡って続いている祭り故に、観光客まで引き入れてしまったらそれこそ食料が枯渇してしまう。観光客を次々と門前払いする彼の前に黒髪で紅いコートを羽織るサングラスを掛けた青年の順番が回ってくる。
「……。入国許可証が無ければ入れないぞ」
ジロリとショーベンはその青年を下から上へ見上げるように見ると他の観光客同様に門前払いしようとする、しかしその青年は少し彼に近付き耳打ちをした。
「とある昔、寝小便の布団を洗ってやった事がある。母親に怒られると私に泣きついて来た少年は「何でもお願いを聞くから何とかして!」と私に悲願してきてだね……」
その話の内容にショーベンは目を見開いた。
それを知る者は自分ともう一人しかいない筈、そしてその出来事は自分にとって今でも恥ずかしい記憶だった。
「に、入国を許可する……いやいや、させて下さい!どうぞお通りくださいませ!」
立ち塞がっていた道を譲り、青年はショーベンの肩をポンと叩き「お願いを聞いてくれてありがとう」と呟き、配達人や国民が入り交じる城下町へと消えていった。
王都アルデンティアは今、第一回エアシップフェスティバルの真っ只中だった。フェスティバルの内容はと言うと各国の科学者と技術者が知恵を出し合い作り上げた戦艦を披露すると言うもの。その記念すべき第一回がこのアルデンティアに決定したのだ。
決定直後にアルデンティアは国を揚げて祭りを開始、本来ならば6日後に開始するこのフェスティバルの期間は3日間だが国は朝から晩まで大賑わいの有様だ。
食べ物は飛ぶように売れ、飲み物は雨のように流れる日々が続く。このような祭りでは飲食店は大繁盛だろう。
そんな中、一際盛況の店があった。
「レオン、これを6番テーブルに運んでくれ!」
「はいっ、分かりました!」
料理が置かれているトレイを頭の上に乗せて混雑している店内をとてててっと運ぶまだ幼き少年。
レオン•R•ディゼル、彼こそが6年前に預けられた子供だ。育ての親であるダグラス夫妻は恩人の願い通り思いやりのある優しい子供に育て上げていた。
「お待たせしました!ミックスピザに生ビール3つです!」
指定されたテーブルに到着するとまだテーブルの上に料理が置けずお客様に料理を並べてもらう始末、しかし小さい子供が店の手伝いをしている事を思うとお客からしてみれば些細な事だった。
「おーい、オーダー頼むわぁ!」
「はいっ、只今伺います!では、ごゆるりとお過ごしくださいね」
6番テーブルの客の面々に一礼をし、オーダーを求む声の方への向かい腰に備えていた注文票を片手にスラスラとペンが走る。
厨房ではダグラスの妻であるイザリアが心配そうな表情をしつつ自慢の料理を調理していた。折角の祭りなのにレオンは自主的に手伝いを申し出てきたのだ。本来ならば店の手伝いなど放ったらかして遊びに行きたがる年頃、自分が本当の子では無いから、しっかりと働かねば追い出されてしまうのではないか。彼女はそんな不穏な考えばかりしていたのだ。
確かにダグラスと交際した時に赤ん坊が居た時は驚いたのを今でも覚えている、しかし交際し、結婚をして子供に恵まれなかった夫婦にとってレオンは誰が何と言おうと自分達の子供同然に扱ってきた。そしてその生活は幸せそのものだった。
そんな幸せの時間も、今日で終わるかもしれないと思うとイザリアは上唇を噛みしめる。今日は夫が話していた6年目。
彼の話が本当ならば、今日……迎えに来る筈。
【王都アルデンティア 正門】
「今アルデンティアは通行許可証が無い物は入国を禁じている!入国したければ特別発行されている許可証を提示せよ!」
正門には大きな人だかりが出来ていた、その殆どが観光客や物資の配達人ばかり。その門番をしていたのが若き兵士であるショーベンだった。彼は国からの指令のもと、物資配達人を優遇して入国を許可していた。理由はその物資の殆どが食材や飲み物が多く占めていたからである。長期に渡って続いている祭り故に、観光客まで引き入れてしまったらそれこそ食料が枯渇してしまう。観光客を次々と門前払いする彼の前に黒髪で紅いコートを羽織るサングラスを掛けた青年の順番が回ってくる。
「……。入国許可証が無ければ入れないぞ」
ジロリとショーベンはその青年を下から上へ見上げるように見ると他の観光客同様に門前払いしようとする、しかしその青年は少し彼に近付き耳打ちをした。
「とある昔、寝小便の布団を洗ってやった事がある。母親に怒られると私に泣きついて来た少年は「何でもお願いを聞くから何とかして!」と私に悲願してきてだね……」
その話の内容にショーベンは目を見開いた。
それを知る者は自分ともう一人しかいない筈、そしてその出来事は自分にとって今でも恥ずかしい記憶だった。
「に、入国を許可する……いやいや、させて下さい!どうぞお通りくださいませ!」
立ち塞がっていた道を譲り、青年はショーベンの肩をポンと叩き「お願いを聞いてくれてありがとう」と呟き、配達人や国民が入り交じる城下町へと消えていった。
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