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春の章
第1話 悪戯な好奇心
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<舞台は1年前に遡る>
結婚5年目の専業主婦の真理子は、朝、夫を送り出した後にリビングで掃除を始めていた。
いつもは夫が帰ってくる前にするのだが、昨夜のことといい、ここ2,3日の真理子はいつもと少し違っていた。
「♪やり始めれば結構楽しいわよね。お掃除って。」
そんな独り言を言いながらソファテーブルの下に掃除機をかけた。その上には夫が使っているノートPCがあるので気を付けたつもりだったのだが。天板にあたってしまった。その拍子にパソコンのスリープが解け、見たことのないサイトが映し出された。
普段はそんなもの気にしない真理子だったが、今日の真理子はいつもと違う。真理子は夫のPCの画面を覗いてみた。
「・・・マッチングアプリにはまる主婦たち?・・・何?これ?」
それは週刊誌の内容が先読みできるサイトの記事だった。その下には中国株の危険性を煽る記事が。
(まさか・・・あの人、出会い系とかやってるのかしら?そんなはずは・・・)
お酒はよく飲むけど、根は真面目な夫だ。しかもベトナムへの出張も多く、出会い系で遊ぶ暇などない。
(大丈夫。大丈夫。きっと中国株の記事を読んでいただけよ・・・)
真理子は少し考えて自分の中で納得させると、このことは忘れようと思った。
正午をまわり、真理子の携帯に着信があった。大学時代の友人と明日ランチをするはずだったのだが、彼女の子供が熱を出してしまい、クリニックに行くため明日は会えないという連絡だった。
久しぶりに会えると思っていたのに・・・。おしゃべりできると思っていたのに・・・。
いじいじとスマホを当てもなく触っていた真理子だったが、ふとその美しい指が止まった。
(そうだ・・・。マッチングアプリ・・・。)
そう思った瞬間、真理子の心臓は高鳴った。何か悪いことを企んでいるときの黒い喜びのかけらを感じた。
真理子はリビングに戻って、夫のPCの前に座った。朝、掃除しているときに見たあれ。
彼女はマウスをあの記事にあて開いた。
(・・・やだ。え、嘘。そうなの?そんな感じなの?いやぁ・・・嘘でしょう?ぇぇ・・。)
清潔感のある真理子には嫌悪するような主婦たちの痴態が描写されていたが、最後まで読まずにはいられない。
記事にはアプリの紹介やQRコードなども載っていたが、流石にこれをダウンロードする気にはなれなかった。
動揺を鎮めようと紅茶をいれて飲んでみた。しかし、モヤモヤする。すっきりしたい。どうすれば・・・。
昨夜は勇気を出して自分から夫を求めてみたが、彼はすぐに寝入ってしまい、真理子はリビングで飲めないお酒を飲んで寝た。
確かまだ私でも飲めるものがあったはず、と冷蔵庫を探すとレモンサワーがあった。結論から言うと、これが真理子がマッチングアプリをダウンロードしてしまった原因となった。
「え?もうこんな時間!?お洗濯、取り込まなきゃ・・・キャッ!」
ソファで目が覚めた真理子が立ち上がろうとすると、いきなり足を取られて転んでしまった。
真理子がはいていたショーツがローテーブルに引っかかったからだ。真理子の下着は、右足だけに通されている。
これは真理子が自分を慰めるときのいつものスタイルだ。
「え?何?」
慌ててフルバックのピンクのパンティを履きなおすが、真理子は気づいていた。それはとても濡れていたことを。
ぼんやり覚えている、アプリをダウンロードして、プロフィールを見ていたことを。
そしてその中の下品な言葉にゾクゾクしながら、いつの間にかマスターベーションしていたことを。
(奥さんと生でパコりたいって何よ。もう。)
怒っているのはふりだけで、その言葉に魅了されているのは明らかだった。
この時の真理子に、何かが自分の中で変わっていくことの自覚はまだなかった。
結婚5年目の専業主婦の真理子は、朝、夫を送り出した後にリビングで掃除を始めていた。
いつもは夫が帰ってくる前にするのだが、昨夜のことといい、ここ2,3日の真理子はいつもと少し違っていた。
「♪やり始めれば結構楽しいわよね。お掃除って。」
そんな独り言を言いながらソファテーブルの下に掃除機をかけた。その上には夫が使っているノートPCがあるので気を付けたつもりだったのだが。天板にあたってしまった。その拍子にパソコンのスリープが解け、見たことのないサイトが映し出された。
普段はそんなもの気にしない真理子だったが、今日の真理子はいつもと違う。真理子は夫のPCの画面を覗いてみた。
「・・・マッチングアプリにはまる主婦たち?・・・何?これ?」
それは週刊誌の内容が先読みできるサイトの記事だった。その下には中国株の危険性を煽る記事が。
(まさか・・・あの人、出会い系とかやってるのかしら?そんなはずは・・・)
お酒はよく飲むけど、根は真面目な夫だ。しかもベトナムへの出張も多く、出会い系で遊ぶ暇などない。
(大丈夫。大丈夫。きっと中国株の記事を読んでいただけよ・・・)
真理子は少し考えて自分の中で納得させると、このことは忘れようと思った。
正午をまわり、真理子の携帯に着信があった。大学時代の友人と明日ランチをするはずだったのだが、彼女の子供が熱を出してしまい、クリニックに行くため明日は会えないという連絡だった。
久しぶりに会えると思っていたのに・・・。おしゃべりできると思っていたのに・・・。
いじいじとスマホを当てもなく触っていた真理子だったが、ふとその美しい指が止まった。
(そうだ・・・。マッチングアプリ・・・。)
そう思った瞬間、真理子の心臓は高鳴った。何か悪いことを企んでいるときの黒い喜びのかけらを感じた。
真理子はリビングに戻って、夫のPCの前に座った。朝、掃除しているときに見たあれ。
彼女はマウスをあの記事にあて開いた。
(・・・やだ。え、嘘。そうなの?そんな感じなの?いやぁ・・・嘘でしょう?ぇぇ・・。)
清潔感のある真理子には嫌悪するような主婦たちの痴態が描写されていたが、最後まで読まずにはいられない。
記事にはアプリの紹介やQRコードなども載っていたが、流石にこれをダウンロードする気にはなれなかった。
動揺を鎮めようと紅茶をいれて飲んでみた。しかし、モヤモヤする。すっきりしたい。どうすれば・・・。
昨夜は勇気を出して自分から夫を求めてみたが、彼はすぐに寝入ってしまい、真理子はリビングで飲めないお酒を飲んで寝た。
確かまだ私でも飲めるものがあったはず、と冷蔵庫を探すとレモンサワーがあった。結論から言うと、これが真理子がマッチングアプリをダウンロードしてしまった原因となった。
「え?もうこんな時間!?お洗濯、取り込まなきゃ・・・キャッ!」
ソファで目が覚めた真理子が立ち上がろうとすると、いきなり足を取られて転んでしまった。
真理子がはいていたショーツがローテーブルに引っかかったからだ。真理子の下着は、右足だけに通されている。
これは真理子が自分を慰めるときのいつものスタイルだ。
「え?何?」
慌ててフルバックのピンクのパンティを履きなおすが、真理子は気づいていた。それはとても濡れていたことを。
ぼんやり覚えている、アプリをダウンロードして、プロフィールを見ていたことを。
そしてその中の下品な言葉にゾクゾクしながら、いつの間にかマスターベーションしていたことを。
(奥さんと生でパコりたいって何よ。もう。)
怒っているのはふりだけで、その言葉に魅了されているのは明らかだった。
この時の真理子に、何かが自分の中で変わっていくことの自覚はまだなかった。
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