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27. 絶対はない
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27. 絶対はない
「穿て……『精霊の審判』!」
私が叫ぶと同時に、剣をふりぬくと、剣先から光が放たれそれが巨大な衝撃波となって魔物たちを飲み込んでいく。その威力は凄まじく、魔物たちは跡形もなく消え去り、『ゲート』をも飲み込み、そのまま壁を破壊し外にまで貫通していった。
「はぁ……はぁ……やった……」
少し無理をしたかもしれない……久しぶりに全力でスキルを使ったせいか、全身から汗が流れ落ち息が荒くなる。まだこのスキルに身体が慣れてないのもあるとは思うけど。
「おいっ大丈夫かよ!?」
「えぇ……なんとかね」
「なあ……今のは一体なんなんだ?」
アルフレッドは恐る恐るといった感じで尋ねてくる。まあ当然の反応よね。私は呼吸を整えてから答える。
「え……?ただの剣術よ!」
「そんなわけないだろ!」
アルフレッドが大声で突っ込んでくる。うるさいなぁもう。いちいち大声で突っ込まないで欲しいわ。
「じゃあ魔法よ!」
「もっとおかしいだろ!あんなの見たことも聞いたこともないぞ!」
「それより!あそこ出口でしょ?さっさと行くわよ」
「いや出口じゃねぇだろ。お前がぶち抜いたんだろうが!」
細かいこと気にしてんじゃないわよ。さっさと言いなりになってくれたら楽なのに。私はそう言ってさっさと歩き出す。後ろからは不満そうな顔をしながらついて来るアルフレッド。まったく手間がかかるんだから。こうして私たちはダンジョンから脱出することができた。
外に出ると、辺りはすっかり日が落ち始めていた。どうやらここは学園の東側にある海岸壁みたいね。さっきの場所はダンジョンとは別の地下洞窟だったのね。
とりあえず、フレデリカ姫様やオリビアが心配してるだろうから学園に戻らないと。あと今日は疲れたから早く家にも帰りたいわね。
「おい。本当にさっきのあれ。なんなんだよ」
「しつこいわね……ただの剣術か魔法って言ってんでしょ。それより!勝負は私の勝ちでしょ?あの穴には大量の魔物がいたものね?」
「ぐっ……。確かにそうだが……」
「男に二言はないでしょ?今さら何か言ってくるのはダサいわよ?」
よしよし。これで約束は守ってもらわないと。アルフレッドはアサシンをやめて学者に!……と思ったけどその前に大きな問題が発生したわよね……。
それはさっきの『精霊の審判』だ。このままじゃアルフレッドが他言しないとは限らないし、バレたら『魔王討伐フラグ』が立ったり、色々面倒だからどうにかしないと。
「なんだよ?オレの顔見て」
「さっきのやつ。見なかったことにして。そして他言無用よ。言ったらさっきのやつであんたを……」
「分かったよ。誰にも言わねえよ!ったく、マジでとんでもねえ女だな」
「うるさい。とにかくそう言うことだから」
はぁ……やっぱり口封じは必要だったか。まさかこんな所で『精霊の審判』を使うことになるなんて……。でもここで放置してあとで手がつけられなくなるよりはマシか。そんなことを思っているとアルフレッドが話し始める。
「でもよ……少し羨ましいぜ」
「羨ましい?」
「ああ。その力があればオレの夢だって叶うかもしれねぇ!最強のアサシンになるっていうな!絶対に誰にも何にも負けない力がオレには必要なんだ!」
絶対に誰にも何にも負けない力か……。前世の私もそう思っていたのかもしれない。この力は勇者の証。この力で私は何度も窮地を脱してきた。そして、多くの人を助けてきた。この世界を守るために。
でも……違った。本当に倒さなきゃいけない相手の魔王にはこの力ですら通用しなかった。
絶対はない。だからこそ私はこの先どんな状況になっても慢心してはならない。この人生は幸せになるんだから。
「どうしたイデア?腹でも減ったか?」
「……そうよ。だから何かおごりなさいよね?あんた負けたんだから」
「なんでだよ!約束は1つだろうが!あっおい待てよ!」
こうして実技訓練は終わりを迎え、私は改めて勇者の力を隠しながら生きていくことに決めたのだった。
「穿て……『精霊の審判』!」
私が叫ぶと同時に、剣をふりぬくと、剣先から光が放たれそれが巨大な衝撃波となって魔物たちを飲み込んでいく。その威力は凄まじく、魔物たちは跡形もなく消え去り、『ゲート』をも飲み込み、そのまま壁を破壊し外にまで貫通していった。
「はぁ……はぁ……やった……」
少し無理をしたかもしれない……久しぶりに全力でスキルを使ったせいか、全身から汗が流れ落ち息が荒くなる。まだこのスキルに身体が慣れてないのもあるとは思うけど。
「おいっ大丈夫かよ!?」
「えぇ……なんとかね」
「なあ……今のは一体なんなんだ?」
アルフレッドは恐る恐るといった感じで尋ねてくる。まあ当然の反応よね。私は呼吸を整えてから答える。
「え……?ただの剣術よ!」
「そんなわけないだろ!」
アルフレッドが大声で突っ込んでくる。うるさいなぁもう。いちいち大声で突っ込まないで欲しいわ。
「じゃあ魔法よ!」
「もっとおかしいだろ!あんなの見たことも聞いたこともないぞ!」
「それより!あそこ出口でしょ?さっさと行くわよ」
「いや出口じゃねぇだろ。お前がぶち抜いたんだろうが!」
細かいこと気にしてんじゃないわよ。さっさと言いなりになってくれたら楽なのに。私はそう言ってさっさと歩き出す。後ろからは不満そうな顔をしながらついて来るアルフレッド。まったく手間がかかるんだから。こうして私たちはダンジョンから脱出することができた。
外に出ると、辺りはすっかり日が落ち始めていた。どうやらここは学園の東側にある海岸壁みたいね。さっきの場所はダンジョンとは別の地下洞窟だったのね。
とりあえず、フレデリカ姫様やオリビアが心配してるだろうから学園に戻らないと。あと今日は疲れたから早く家にも帰りたいわね。
「おい。本当にさっきのあれ。なんなんだよ」
「しつこいわね……ただの剣術か魔法って言ってんでしょ。それより!勝負は私の勝ちでしょ?あの穴には大量の魔物がいたものね?」
「ぐっ……。確かにそうだが……」
「男に二言はないでしょ?今さら何か言ってくるのはダサいわよ?」
よしよし。これで約束は守ってもらわないと。アルフレッドはアサシンをやめて学者に!……と思ったけどその前に大きな問題が発生したわよね……。
それはさっきの『精霊の審判』だ。このままじゃアルフレッドが他言しないとは限らないし、バレたら『魔王討伐フラグ』が立ったり、色々面倒だからどうにかしないと。
「なんだよ?オレの顔見て」
「さっきのやつ。見なかったことにして。そして他言無用よ。言ったらさっきのやつであんたを……」
「分かったよ。誰にも言わねえよ!ったく、マジでとんでもねえ女だな」
「うるさい。とにかくそう言うことだから」
はぁ……やっぱり口封じは必要だったか。まさかこんな所で『精霊の審判』を使うことになるなんて……。でもここで放置してあとで手がつけられなくなるよりはマシか。そんなことを思っているとアルフレッドが話し始める。
「でもよ……少し羨ましいぜ」
「羨ましい?」
「ああ。その力があればオレの夢だって叶うかもしれねぇ!最強のアサシンになるっていうな!絶対に誰にも何にも負けない力がオレには必要なんだ!」
絶対に誰にも何にも負けない力か……。前世の私もそう思っていたのかもしれない。この力は勇者の証。この力で私は何度も窮地を脱してきた。そして、多くの人を助けてきた。この世界を守るために。
でも……違った。本当に倒さなきゃいけない相手の魔王にはこの力ですら通用しなかった。
絶対はない。だからこそ私はこの先どんな状況になっても慢心してはならない。この人生は幸せになるんだから。
「どうしたイデア?腹でも減ったか?」
「……そうよ。だから何かおごりなさいよね?あんた負けたんだから」
「なんでだよ!約束は1つだろうが!あっおい待てよ!」
こうして実技訓練は終わりを迎え、私は改めて勇者の力を隠しながら生きていくことに決めたのだった。
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