28 / 80
28. 尋問
しおりを挟む
28. 尋問
あのあと私とアルフレッドは無事に学園に戻ることができた。オリビアは泣きながら抱きついてきて心配してくれた。フレデリカ姫様は私が無事だと分かるとホッとした表情を浮かべていた。
そして次の日の放課後。私がフレデリカ姫様とオリビアと教室で話していると、突然先生に呼ばれる。
「イデア。ちょっと来てくれ」
「はい。どうしたんですか?先生」
「いや実はな……」
先生は言いにくそうに頬をポリポリと掻いている。その様子に嫌な予感がする。
「その……お前にお客様が来ているんだ……王宮から」
王宮から?誰が?なんで?私はそのままフレデリカ姫様を見る。するとフレデリカ姫様は首を左右に振る。どうやら何も知らないみたいね。
「分かりました。すぐ行きます」
私はため息をつくと立ち上がり、先生と一緒に来賓室へ向かう。そこには白衣を着て眼鏡をかけているいかにも研究者といった感じの女性とその助手らしき男性が待っていた。
「あの……」
「お待ちしてました。所長。この方が先ほど調査した地下洞窟を見つけた方です。」
「はじめまして。魔導科学研究所の所長をしているルージュ=ウェルドラよ」
そう言って右手を差し出してくる。研究所の所長さんがどうしてここに?それにしても……胸大きいわねぇ。私は差し出された手を握ったまま、目の前のルージュさんの胸に目がいっていた。いけないいけない。
「あっどうも。イデア=ライオットです」
「ボクは助手のキールと言います。少しお話を聞かせてください。ささっ座って」
私はそのまま案内されたソファーに腰掛ける。すると所長のルージュさんが話し始める。
「早速だけど。あなたが見つけたという地下洞窟。その時の出来事について教えてくれるかしら?」
昨日の地下洞窟?なんでそんなことを聞くのかしら?彼女はじっと私の顔を見つめてきている。なんだか全て見透かされてるような気がして落ち着かない。とりあえず質問に答えないと。
「えーっと……確かあの時は……」
「一つ言っておくわ。私はまどろっこしい事が嫌いなの。だから単刀直入に聞くけどいい?あの地下洞窟であなたは何を見たの?」
「…………」
やはりそういう事ね。私は何かを疑われてるのかもしれない。でもここで『ゲート』を見つけたことを話すわけにはいかない。それこそ『精霊の審判』のこともバレてしまう可能性がある。そうなれば間違いなく面倒ごとに巻き込まれる。私は少し考えたあと、ルージュさんの目を見て答える。
「……魔物に襲われて必死に逃げてたらいつの間にか逃げ道がなくなってて、そこで魔物の大群に襲われたので魔法で穴を作って逃げてきました」
「魔法で?それは土属性魔法ということ?それとも風属性魔法なのかしら?いえそれよりもその時に使った魔法の種類を教えて欲しいわ」
「種類ですか……?それは水属性魔法で……タイダルインパクトだったかな?あはは。必死だったので良く覚えてません。」
私の答えを表情一つ変えずに聞いているルージュさん。そして横には何かをメモっているキールさん。なんかとても気まずいんだけど……早く終わってくれないかなぁ。というかこれ尋問でしょ……。私は何も悪いことしてないわよ?その後も何個か質問に答えていく。
「ありがとう。これで私の聞きたいことは終わったわ」
「もう終わりですか?」
「ええ。これ以上は時間の無駄だから」
「そうですか。では失礼します」
私はそう言うと席を立ち、一刻も早くここから離れようとする。しかし、扉の前でキールさんに呼び止められる。
「待ってください。最後にひとつだけいいですか?」
「な、なんでしょうか?」
私は振り返ると引きつった笑みを浮かべながらキールさんを見る。うぅ……一体何を聞かれるのよ。も、もしかして私が転生した元勇者だってバレた!?もしそうだとしたらヤバイかも……。私はドキドキしながらキールさんの口が開かれるのを待つ。そしてゆっくりと開かれた口から出てきた言葉は……
「あの……イデアさん。あなたのステータスカードを見せてもらえますか?」
「えっ!?ステータスカードですか!?」
「はい。お願いします」
ななななんでステータスカードを!?ど、どうしよう!まさか本当に私のことを疑ってるんじゃ!これピンチだよね!絶対見せちゃダメだよね!私はダラダラと汗を流しながら、なんとか誤魔化そうと頭の中で思考をフル回転させて言い訳を考え始める。誰か助けて~!
あのあと私とアルフレッドは無事に学園に戻ることができた。オリビアは泣きながら抱きついてきて心配してくれた。フレデリカ姫様は私が無事だと分かるとホッとした表情を浮かべていた。
そして次の日の放課後。私がフレデリカ姫様とオリビアと教室で話していると、突然先生に呼ばれる。
「イデア。ちょっと来てくれ」
「はい。どうしたんですか?先生」
「いや実はな……」
先生は言いにくそうに頬をポリポリと掻いている。その様子に嫌な予感がする。
「その……お前にお客様が来ているんだ……王宮から」
王宮から?誰が?なんで?私はそのままフレデリカ姫様を見る。するとフレデリカ姫様は首を左右に振る。どうやら何も知らないみたいね。
「分かりました。すぐ行きます」
私はため息をつくと立ち上がり、先生と一緒に来賓室へ向かう。そこには白衣を着て眼鏡をかけているいかにも研究者といった感じの女性とその助手らしき男性が待っていた。
「あの……」
「お待ちしてました。所長。この方が先ほど調査した地下洞窟を見つけた方です。」
「はじめまして。魔導科学研究所の所長をしているルージュ=ウェルドラよ」
そう言って右手を差し出してくる。研究所の所長さんがどうしてここに?それにしても……胸大きいわねぇ。私は差し出された手を握ったまま、目の前のルージュさんの胸に目がいっていた。いけないいけない。
「あっどうも。イデア=ライオットです」
「ボクは助手のキールと言います。少しお話を聞かせてください。ささっ座って」
私はそのまま案内されたソファーに腰掛ける。すると所長のルージュさんが話し始める。
「早速だけど。あなたが見つけたという地下洞窟。その時の出来事について教えてくれるかしら?」
昨日の地下洞窟?なんでそんなことを聞くのかしら?彼女はじっと私の顔を見つめてきている。なんだか全て見透かされてるような気がして落ち着かない。とりあえず質問に答えないと。
「えーっと……確かあの時は……」
「一つ言っておくわ。私はまどろっこしい事が嫌いなの。だから単刀直入に聞くけどいい?あの地下洞窟であなたは何を見たの?」
「…………」
やはりそういう事ね。私は何かを疑われてるのかもしれない。でもここで『ゲート』を見つけたことを話すわけにはいかない。それこそ『精霊の審判』のこともバレてしまう可能性がある。そうなれば間違いなく面倒ごとに巻き込まれる。私は少し考えたあと、ルージュさんの目を見て答える。
「……魔物に襲われて必死に逃げてたらいつの間にか逃げ道がなくなってて、そこで魔物の大群に襲われたので魔法で穴を作って逃げてきました」
「魔法で?それは土属性魔法ということ?それとも風属性魔法なのかしら?いえそれよりもその時に使った魔法の種類を教えて欲しいわ」
「種類ですか……?それは水属性魔法で……タイダルインパクトだったかな?あはは。必死だったので良く覚えてません。」
私の答えを表情一つ変えずに聞いているルージュさん。そして横には何かをメモっているキールさん。なんかとても気まずいんだけど……早く終わってくれないかなぁ。というかこれ尋問でしょ……。私は何も悪いことしてないわよ?その後も何個か質問に答えていく。
「ありがとう。これで私の聞きたいことは終わったわ」
「もう終わりですか?」
「ええ。これ以上は時間の無駄だから」
「そうですか。では失礼します」
私はそう言うと席を立ち、一刻も早くここから離れようとする。しかし、扉の前でキールさんに呼び止められる。
「待ってください。最後にひとつだけいいですか?」
「な、なんでしょうか?」
私は振り返ると引きつった笑みを浮かべながらキールさんを見る。うぅ……一体何を聞かれるのよ。も、もしかして私が転生した元勇者だってバレた!?もしそうだとしたらヤバイかも……。私はドキドキしながらキールさんの口が開かれるのを待つ。そしてゆっくりと開かれた口から出てきた言葉は……
「あの……イデアさん。あなたのステータスカードを見せてもらえますか?」
「えっ!?ステータスカードですか!?」
「はい。お願いします」
ななななんでステータスカードを!?ど、どうしよう!まさか本当に私のことを疑ってるんじゃ!これピンチだよね!絶対見せちゃダメだよね!私はダラダラと汗を流しながら、なんとか誤魔化そうと頭の中で思考をフル回転させて言い訳を考え始める。誰か助けて~!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
168
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる